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1.25% → 0.5%

メールタイトルの数字、何のことかピンと来られましたか?

答えは、日本生命が企業から預かる確定給付型の年金保険の予定利率です。報道によると、同社では来年2023年4月から予定利率を引き下げるとのことです。

2002年以降1.25%を維持してきたそうですが、来年からは0.5%に引き下げということで、実に21年ぶりの変更となります。

同社によると、対象となる契約(確定給付企業年金、新企業年金、厚生年金基金)は約5200団体にのぼるとのことで、契約企業数でシェア4割程度を占める同社の利率変更は、他社の追随も想定され、将来受給する年金額が引き下げられる連想が働きます。

世界、特に米国では、現在想定を上回るインフレ率に苦しんでおり、金融引き締め政策の結果、長期金利は上昇しています。年央にかけてはさらに上昇することも想定されます。

資源弱小国の日本も世界のインフレの影響を受けており、物価上昇が想定されますが、日本銀行が強力な金利誘導政策を取っているため、長期金利自体はそこまで上昇せず、コントロールされています。

(日銀がとっているのは、「指値オペ」という手法で、指定する利回りで無制限に国債を買い入れる強烈なものです)

世界で金利上昇が起きているなかでの、生命会社による年金利率の引き下げ。残念ですよね。

 

国の公的年金における給付額は、賃金や物価の上昇率を基本として改訂されます。

日本の賃金は伸びていませんし、諸外国と比べて伸び率で劣後しているのが明らかですので、年金給付額の上昇もなかなか期待できない状況にあります。

(賃金の伸びの国際比較については、例えばダイヤモンド誌の以下URLリンクに見やすい表が掲載されています。二つあるうちの下の表です↓
https://diamond.jp/articles/-/278127?page=2 )

あなたもご存じの通り、日本の人口動態を踏まえると、将来の年金納付者は減少すると見られています。

たたでさえ、公的年金の財源が不安視され、心もとないなかで、私的年金の予定利率も低下するということで、ますますもって、ご自分で年金的な位置づけの資産形成に取り組み、対処していく必要性が今後も高まっていくだろうと感じます。

 

Oxford クラブでご案内している資産形成は、個人による長期株式投資をベースとするもので、想定する利回りは、0.5%より高いです。

もちろんリターンはリスクとの兼ね合いで考えるべきものなので、数字が高ければ盲目的にそれでよし、というわけではありません。

ただ、長期で平均7%程度、代表的な株価指数が上昇してきた米国株と、企業年金の運用の中にも巨額に組み入れられている日本の長期国債、どちらが魅力的な投資先なのだろうかという視点で考えて見られると良いと思いますし、

あなたも払っている(払ってきた)であろう公的年金のなかに既に日本の長期国債はたんまりと組み入れられていますから、これ以上自ら進んで個人の資産を国債に突っ込むことは、分散投資の観点からみてもバランスを欠く行為と感じます。

ゼロイチの議論で、資産のすべてを米国株にしましょうという話ではありませんが、ゼロのままで良いのか(資産を日本のものだけにしておくことは適切なのか)と発想する人は間違いなく増えているという実感があります。

年利回り0.5%を30年続けると(複利運用すると)、100万円は30年後に116万円になります。
一方、年利回り7%を30年続けると(複利運用すると)、100万円は30年後に761万円になります。

すごい差です。

さらに、10%を30年続けると(複利運用すると)、100万円は30年後に1744万円になります。
(嘘だろ、と感じられたら、表計算ソフト等で計算されてみてください!)

将来に向けた取組みは時に困難も伴いますが、先の見えない世の中だからこそ、大切だと感じます。

(株式市場が横ばい、または下落する局面においても、リスクをコントロールしたうえで投資利回りを上積みしていくことが期待できる手法もあります)

30年なんてあっという間に経ちます。
まずは始めの一歩から。

一緒にがんばりましょう!!

 

志村 暢彦

追伸
Oxfordクラブでは、配当投資にフォーカスしたインカム・レターと、成長株にフォーカスしたキャピタル・レターをご用意して、それぞれ長期目線での投資アイデアをご案内しています。世界の状況を見据え、『米国の今』について経験豊富なストラテジストが分析した内容も掲載しています。

志村 暢彦

Oxford Club Japan チーフ・ストラテジスト 助言統括者。金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。2019年Oxford Clubチーフ・ストラテジストに就任。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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