American dollar and Yen symbols standing on a seesaw in front of grey wall. Horizontal composition with copy space. Great use for American dollar and Yen concepts. 志村です。こんにちは。 円安が進行していますね。 ドル円の為替レートは121円74銭を付けています( 24日16:30時点)。 2015年12月18日以来の円安水準です。 米国の当局がインフレを抑える意図をもって金利を上昇させている 一方で、日本は円金利上昇が抑制される想定がなされており、 つまり「日米の金利差拡大」が背景にあります。 そういった動きのなかで、会員の方々から、 「為替をどう見たら良いですか?」とか 「米国株への投資において、為替の取扱い方針について、 意見を聞きたい」という声が寄せられます。 あなたはドル円の上昇は今後も続くと考えますか? または上昇ペースが急すぎるということで、 スピード調整が入ると思いますか? その目測のなかで、 あなたはもっと米ドルを買いたいと思いますか? それに対する僕の考えは、 メルマガでさらっと書けるようなシンプルなものでは無く、 がっつりと動画等でお話していくと良い内容であると考えます。 そして、 このメルマガの読者の方々の背景や経験値や状況はバラバラでしょ うから、多岐にわたる説明を細かくすると、 結論が分かりにくいものになってしまいます。 なので、ここではシンプルに、 原則論を中心に書きたいと思います。
金融のプロにありがちな為替レートの決定理論はさておきまして、 結論としては、 為替レートは二つの通貨の相対的な強弱で決定されるもので、 ドル円で言えば、 米ドルと日本円の強さを踏まえた相対的な視点に基づき、 決まります(刻々と変わります)。 長期的には利益成長をベースとして取引される株価とは違い( 企業はゼロからイチを生み出したり、税金を払い、 という経済活動を通じて成長し、株価が成長していきます)、 為替レートそのものは利益を生みません。 なので、その動きを予測し、当てっこをすることは困難です。 決定要因と取引参加者があまりに多岐にわたり、 何がきっかけで動き、その先いつ時点で転換するのか、 タイムマシンが無いと分からないからです。 例えば、今回のケースでいうと、 ロシアがウクライナに現実に侵攻したこと自体は、 軍事の専門家でロシアの動きを掴んでいた人や政治家、 名うての評論家であっても予測していた人は少ないです。( 侵攻後に、後だしじゃんけん的に、 自分が予測していた通りで危ないと思っていた、 という人はいるでしょうけれども) 停戦合意し、原油供給不安が解消されれば、 原油価格は下がる可能性が高いですし、また、 米当局を悩ませるインフレが落ち着くとか、 反対に景気後退懸念を背景に利上げした後に再び利下げに転じると か、量的引締め(QT)をせず、 緩和状態を維持ということになれば、 これまで急速に上昇してきたドル円は反転する可能性も高いです。 でも、ウクライナ侵攻はいつ終わるか分かりませんし、 インフレがどのように落ち着くのか、 米国は景気後退入りするのか、 人による判断や行動が介在するので、 つまりは短期的な動きや日柄を正確に見通すことはできません。 どさくさに紛れて北朝鮮が新型ICBM級弾道ミサイルを発射して いますし、中国が今後どう出てくるのか、 米国の中間選挙がどうなるのかなど、不確定要因だらけです。 もちろん為替にも長期的にはサイクルがあり、 また国力や成長力の差などを背景に金利差が拡大する局面と縮小す る局面、憶測などを背景に、 理論的にはこう動くという予想を立てることは可能です。また、 短期的に急激な動きが出れば、 日本の当局がスピード調整のためのシグナルを発しがちです。 ただ、大事なのはその予想は個別銘柄の上下以上に、不透明で、 予想があたったとしても「たまたま当たった」 的な側面を拭うことができないし、 短期的な為替レートの予測の再現性は、 個別銘柄の株価の上下の予測の再現性よりも低いという表現をして も、あながち間違いではないと思います。 それでは個人投資家の皆さんはどう動いたら良いのでしょう?
個人投資家が米ドルに対してどう向き合うとよいのか。 結論としては、為替レートの予測をベースに売買するよりもまず、 ご自身がどの程度米ドルを保有すべきか、 ご自身の収支やライフプラン、趣味や家族の状況、 老後の生活などを踏まえたうえで、 検討を深堀していくことを行なうと良いと考えます。 将来の収入については、 日本円で入ってくるものがほとんどだという人が多いと思いますが 、最近では米国株投資を進めるなかで、 株主配当は米ドルで受け取る人も増えたと思います。 米国株投資を進めれば進める程、 受け取る配当の額は増えるでしょうし、 また株価自体が成長すれば、 米ドル建ての資産額も増えるはずです。 そういった状況を踏まえ、 米国ドルをどの程度買い進めていくと良いのか( 例えば10年後20年後の自分はいくら米ドル建ての資産を持つと 良いのだろう)、という思考を深めると、自ずと、 ドルをどの程度持つべきか否かを決める情報の一部が整理されます 。 また、自分だったらどうするかと考える一方で、 あの人だったらどうするかなーと考えると、 客観的に状況を俯瞰できます。 僕の場合は、米国企業に長く勤めた経験を持ち、 投資においても再現性ある形で高い成果をあげている「ロジャーパ パ 」さんと、ちょくちょく意見交換をさせて頂いていますが、 そこからお聞きするためになるお話はもとより、 「ロジャーパパさんだったらどう考えるだろう」とか、「 自分はこう考えるということを何と説明しよう」 という思考を深めると、頭の中の整理に役立つことも多いです。 自分の中の投資の軸ができると、 外部環境の変化への対応もしやすくなります。 仮説をたて検証するという過程も加えられると尚良いです! 一歩一歩ですが、着実に前進していきます! 自転車に乗るのと同様、一度乗れるようになれば、 もうずっと乗れます。そして、 そのスキルの土台のうえにさらに新しいものを上積みできます。 金融の良い点は、いつ取組みを始めても良いし、 生まれついての格差や階級など一切関係ない点です。 適切な取組みはあなたの未来を裏切りません。 良い投資を。 志村 暢彦 追伸 Oxfordクラブでは、配当投資にフォーカスしたインカム・レター と、成長株にフォーカスしたキャピタル・レター をご用意し て、それぞれ長期目線での投資アイデアをご案内しています。 マクロファンダメンタルズの状況を見据え、『米国の今』 について経験豊富なストラテジストが分析した内容も掲載していま す。
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