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決算発表真っ只中。長期投資に有効な戦略は?

米国株式市場は先週金曜日から今週水曜日にかけて反発・上昇しています。

昨年12月10日にお送りしたメルマガでは、
・・・・(前略)目安としては、仮に現時点から株式市場が10%程度下落したとして、その段階で『よし、追加で買おう!』と前向きに買い向かえる分を手元に取っておくと良いのではないでしょうか。
10%という基準自体は、いつでも使える万能な絶対的なものではなく、あくまで来年秋に向けての水準であるとご理解ください。局面によってより株価下落する事象も発生します。(後略)・・・・
とお伝えし、

また、今年1月14日にお送りしたメルマガや、会員の皆様限定でお送りしている市場のフォローアップ解説動画では、長期投資家が下落局面を活用して買い向かっていくための考え方について、お伝えしました。

今回の下落局面で、短期目的の投資は損切を余儀なくされたものもある一方で、長期目的の投資に関してはうまく仕込むことができた、という方もおられると思います。

その方々は、資産形成ピラミッドの概念を活用し、1銘柄当たりの投資金額を抑制することで、長期投資をベースとした資産形成の礎をより強固にすることができる、と実感されたのではないでしょうか?

また、短期目的の投資については、市場が落ち着きを取り戻す中で、あらためて投資チャンスが増えていくと考えています。

現在米国では、10 – 12月期の決算発表の真っ只中ですが、個別銘柄に関しては、時価総額が巨大な銘柄群についても、株価が大きく上下しているものが見受けられます。

例えば、グーグルの親会社であるアルファベットは、決算発表を受けて株価が約7.5%上昇した一方で、オンライン決済サービス大手のペイパルは、発表後に約24.6%下落しました。

また、メタ・プラットフォームズに名称変更した旧フェイスブックは、水曜日の引け後に発表した決算が嫌気され、引け後市場において水曜日の引け値(323ドル)から約22.9%下落した水準(249.05ドル)になっています(日本時間2月3日10時、引け後市場の引け時点)。

メタ・プラットフォームズ社の株価収益率(PER)は、一株当たり純利益(EPS)の2021年実績と引け後市場における株価250ドルを前提にすると約18.2倍となり、2020年3月の新型コロナショックによる株価暴落時と同水準となります。

S&P500種株価指数構成銘柄の現在の平均値である約24.2倍を下回るものです。

2022年以降の市場の予想値を踏まえてみても下回っており、つまり、株式市場はメタ・プラットフォームズ社の成長を考慮していない(S&P500種株価指数の構成銘柄ほど成長しないと見ている)ということです。

株式市場では、指数全体に投資するパッシブファンドが非常に増え、個別銘柄を選別するアクティブファンドの総額を上回ったとも言われます。

パッシブファンドが大きくなりすぎると、市場が下がるから売る、売るから下がるという悪循環に陥りやすく、今回のような特に大きな材料が出たわけでもないのに株式市場全体が10%下落するという状況も起きやすくなります。

また、PERで見ると、GAFAMの一角であるメタ・プラットフォームズはすでに成長株と呼べるものではなく、アルファベットのPER水準もS&P500種株価指数並の水準です。

ハイテク株=高PERという構図は例外も多くあります。

個別に中身を見ていく、アクティブファンドの運用の発想があると、個別に割安なものに投資をしていくという視点を持つことができます。

10 – 12月期の決算発表はS&P500種株価指数構成銘柄のうち、約200社が発表を終えました(水曜日時点)。

情報提供会社リフィニティブなどの集計によると、S&P500種株価指数構成銘柄の予想EPS成長率は前年同期比+25%程度と事前予想値よりも数ポイント改善していますが、前述ペイパルやメタ・プラットフォームズの例からも分かる通り、予断は許しません。

また、今年最大のテーマの一つといえる、米国金融当局による2022年の利上げ回数については、大手投資銀行群の予測値もまばらで、3回〜7回までと大きな開きがあります。

個人投資家としては、引き続き、長期視点での投資をベースに、分散投資や短期投資の発想を加えていく戦略が有効と見ています。

また、下落局面においてもキャッシュを稼いだり、長期投資の利回りを向上させるための戦略について、近々あらためて会員の皆様にご案内させて頂く準備も進めています。(すでに実践し、着実に成果を上げている投資家の方もおられます。)

ご期待頂ければ幸甚です。

良い投資を。


志村 暢彦


追伸
Oxfordクラブでは、配当投資にフォーカスしたインカム・レターと、成長株にフォーカスしたキャピタル・レターをご用意して、それぞれ長期目線での投資アイデアをご案内しています。マクロファンダメンタルズの状況を見据え、『米国の今』について経験豊富なストラテジストが分析した内容も掲載しています。

志村 暢彦

金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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