下落相場との向き合い方

昨年は上昇した米国株式市場は今年に入って軟調な滑り出しとなっています。
主要指数であるS&P500種株価指数の米国時間1月19日(水)の終値は1月4日に付けた高値4,818.62から6.3%下落した水準となっており、昨年12月上旬来のレベルです。
また、ハイテク株が中心で構成されるナスダック総合指数は、昨年11月22日に付けた高値16,212.23から13.1%下落し、昨年10月上旬来の水準となっています。
軟調に推移している背景としては、金融当局が、追加的な緩和政策を終了したうえで、実質的なゼロ金利を解除し徐々に利上げしていく方針を示したことが背景にあります。
Don’t fight the Fed.
米国の投資家の相場格言にDon’t fight the Fed. というものがありまして、
つまりは、金融当局が示す金融政策に逆らったポジションを取らない方が良いということを意味しています。
年初からの下落に関していうと、追加的な緩和政策を終了し、利上げさせることに伴う影響を、機関投資家が先読みし、Fightしてはダメだから株式売却という対応を取るという行動が多少なりとも影響しています。
ただ、株を購入すること自体が、金融当局であるFedと対峙している(Fightしている)行動なのかというと、決してそうではないと感じています。
金融当局の後ろにはパウエル政権内における金融関連の大きな勢力が控えており、その意向が少なからず反映される政権運営となっていますが、その勢力自体も決して景気と株価を冷やそうと意図していないですし、政権支持率が低い現在、景気が冷えて企業業績が悪化し、雇用拡大に響くとなれば、利上げ回数の想定も見直されると、考えられます。
要するに、政権・当局が対応可能な株価下落であるということで、今回の下落局面自体をどのように、プラスの方向に活かしていくのかという発想を持って、行動していくと良いと考えます。
どのように下落局面をプラスに捉えるのか
それは、長期投資と短期投資で、戦略が異なります。長期投資の場合は、下落局面は単純に株を買い向かっていくということで良いと考えます。
このOxfordClubマガジンでは、上昇局面の昨年終盤にも、下落したときに買い向かえる資金(現金)を残しておきましょうとお伝えしてきましたので、いよいよ、その資金の出番がくるレベルなのではないでしょうか。
残しておいた資金のうち、どの程度を使って、今回の下落局面に使用するのかは、投資の目的やゴール、投資に使える時間や経験によって、投資家の皆さんそれぞれ異なります。
今が株式市場の底であるか否かは誰にも分かりませんが、少なくともあと5%程度株式市場が下落すると、当局が静観し見過ごすことが出来ないレベルになってくると、考えています。
また、今年は指数全体が大きく上昇しないなかでも、個別銘柄間の格差(上昇銘柄と下落銘柄の格差)が開く年になると想定しています。
一般的な視点でいうと、現在投資銀行からピカピカの評価がなされている銘柄よりは、投資銀行の評価がまだ低い銘柄の方が、株価の下落余地が限定的で、上昇余地が大きい局面ということもできます。
具体的な個別銘柄の話はここでは触れませんが、株式投資のセオリーを踏まえたうえで投資銘柄を決定されると、今回の下落局面を有効に使って頂けると考えます!
良い投資を。
志村 暢彦
追伸
Oxfordクラブでは、配当投資にフォーカスしたインカム・レターと、成長株にフォーカスしたキャピタル・レターをご用意して、それぞれ長期目線での投資アイデアをご案内しています。マクロファンダメンタルズの状況を見据え、『米国の今』について経験豊富なストラテジストが分析した内容も掲載しています。