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世界経済には何が待ち受けているのか?

昨日は米国で4 – 6月期の実質GDP速報値が発表されました。

結果は、前期比での実質GDP成長率が2.8%増ということで、市場の事前予想値2.0%増と、前期(1 – 3月期)の1.4%増を、それぞれ上回る結果となりました。

2022年以降、インフレ率を巡る状況が金融政策と株価に大きな影響を与えてきたので、

国の成長率が増加する(前期比での実質GDPが伸びる)と、その期間の株価(S&P500)は下落し、

反対に、国の成長率が減速する(前期比での実質GDPが下がる)と、その期間の株価(S&P500)が上昇する

という構図となっていました。

簡単にいうと、利上げ期待の増減という要因を介して、『GDPでのバッドニュースが、株価のグッドニュースとなる』という逆相関の状況が2022年から続いていたということです。
 

出所:Oxfordクラブ

※横目盛りにある1Q22は2022年第1四半期(1-3月)の略です。

 

しかし、昨日のGDP発表を受けて、24年の第2四半期(4 – 6月)が前期比で拡大し、その期間の株価も上昇していたということで、その逆相関が久しぶりに崩れる形となりました。

これが意味するところは何でしょうか?

9月または11月の利下げが確定的な見方となった期間といえるので、ある意味、今後の株価動向は、利下げ期待(金利政策)ではなく、別の要因を基に動いていくということなのだと理解しています。

今後については、例えば、大統領選挙は最重要ファクターの一つです。

国の施策の優先順位が変わりますし、地政学にも大きな影響を与えますので。

財政に対する考え方や規制の対象業種も変わる想定ですので、政権交代となる場合は

『既得権益が崩れ、新たな権益が生まれる』視点も踏まえた投資ポジションの構築が重要となります。

このメルマガでもたまにお伝えしていますが、

個人における資産形成を効率的に行う、すなわち、リスクを低下しつつ、リターンを最大化していくという視点に立ち、その手段を分解して考えると、以下のとおりとなります。

個人の投資リターン = マクロ経済動向 + 個別銘柄動向 + 投資行動

1つ目の『マクロ経済動向』については、世間では多くのエコノミストがいるので、ニュースでも多数報じられている通りです。

考え方・捉え方は多数あり、将来は不確かです。近年では、世界最高峰の情報をもとに精鋭が分析する連邦準備制度理事会(FRB)であってもインフレ認識を見誤ったのは印象的な事象の一つと言えます。

なお、世界の中央銀行のシンクタンクの役割も担う国際通貨基金(IMF)のページでも、世界経済見通しを含め、分かりやすく解説されていて、定期的に更新されています。

メインページの少し下にある『世界経済には何が待ち受けているのか?』の動画も、初級者が分かりやすく世界情勢を理解するうえで、役立つ内容が提供されています。

また、3つ目の『投資行動』は、いつ買っていつ売るかというキャピタルゲインにまつわるもの、買っておいて配当を受け取るインカムゲインにまつわるもののほかにも、

市場全体の変動幅が上昇するときにリターンを得やすくする方法株価が少し下落したとしてもコツコツとリターンを積み重ねていける方法があります。

個人投資家にとっては、デリバティブを効果的に利用することが、『出来たらいいな』、『増えたらいいな』を実現するカギとなるはずです。

一口にデリバティブといっても、単に、より高いリスクを求めるものだけでなく、リスクを回避するためのものもあり、両者の性質は全く異なります。

もっというと、オプションと先物と信用取引は別物です。

リスクを低下させたり、ヘッジ目的のために使うデリバティブ取引は、投資家には必須の考え方ですが、日本の金融機関の職員は、規制により、自身のために行うデリバティブ取引を全面的に禁止されています。

よって、世間では専門家と称される金融マンであったとしても、デリバティブの利用に関する知識が乏しかったり誤解しているケースが多々あり、旧態依然とした組織においては『デリバティブは全てリスキー・利益追求目的のもので、悪いもの』といった誤認識や制度がなかなか修正されません。

しかし、個人投資家の皆さんにとっては、リスク回避の視点でも有効ですので、リテラシーを高めると長期の資産形成に大きな効果を発揮するという思想のもと、先入観なく知識(=自らを守る武器)を持って頂きたいです。

志村暢彦

 
 
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志村 暢彦

Oxford Club Japan チーフ・ストラテジスト 助言統括者。金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。2019年Oxford Clubチーフ・ストラテジストに就任。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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