先週金曜(5月3日)には4月の米雇用統計が発表され、 その時点から直近(米国時間9日)まで、S& P500種株価指数は約3.0%の上昇。
株式市場が堅調なときによく頂く質問の一つが、
『今年の株式市場のリスクは何ですか?』です。
この質問、厳密に答えようとすると、とても難しいです。
なぜなら、
◎リスクというのは、不確実性(どちらに転ぶかわからないもの) について用いられる言葉で、リスク=損や下落には限定されない。 つまり、言葉の意味が聞き手によってまちまち。
◎投資家によって、ポジション(保有銘柄)が異なるし、 市場への期待や備えも異なる。備えていれば( どちらに転んでも大丈夫なようにしていれば)、 リスクにはなりにくい。
からです。
とはいえ、正確を期して、難しいことを言っても、 嫌われたり敬遠されるだけなので、
広く一般にお答えする際においては、なるべく簡潔に、 さくっとお伝えするようにしています。
その視点で、『今年の株式市場におけるリスクは? 』への、 私なりの答え方は、
◎利下げを巡る状況 : ディスインフレの最後の1マイルにおける困難
◎高政策金利継続の副作用 :商業用不動産向けローンや、住宅・ クレジットカード向けローンの不良債権比率上昇
◎地政学 :特にガザ・イスラエルを巡る情勢
◎米中の分断の進行 :サプライチェーンへの影響
◎中国における不動産不況の長期化 の影響
などが挙げられます。
もちろん、世界のシンクタンクである国際通貨基金(IMF)の国 際金融安定性報告書 にも上記の多くが取り上げられており、 ある意味で、すでに想定されている内容とも言えます。
ということで、本日は、書かれたリスクは知っている、 何となく理解している、という方に向けた内容 についても書きたい と思います。
上記の内容は、お気づきのとおり、 国家の政策に関連するものが多いです。 なぜなら一般的な事象に落としこんで、 広く多くの人に共通した内容として伝える必要があるから。
国家の政策に関するリスクの状況については、経済政策不確実性指 数 というものがあり、足元では、下落傾向(不確実性= リスクが低下している)状況とも言えます。
ただ、今年は米大統領選をはじめ、多くの国で首長選があり、 いつ、どんな不確実な事象が生じるか読めない(突発的な何かが起 こりやすい )といえ、踏まえておくと良いと思っています。
また、日本においては新NISAが導入され、 本格的にグローバル株への投資にデビューした方も多いです。
もし、一般的な投資の教科書に則って、長期・積立・ 分散を心掛けていたとしても、 急速な円安からの巻き戻しや米国株式市場の調整を受けて、 評価損となる状況となった際には、 投資を始めて間もない投資家はストレスを感じるかもしれません。
ストレスを感じるか否かは、それぞれの性格によりますので、 ご自身の性格や生活環境等を踏まえて、 投資のスタイルを決められると良いと考えます。
もしご自身が不安を感じやすいタイプだという初級の投資家の場合 は、以下の対策を検討されるといかがでしょうか?
◎投資対象を株式指数に限定するのではなく、個別株を選別し投資 する。(出来るだけ異なる特性のものをカバーし、すべての銘柄が 同じ方向に動かないように 心がける)
◎個別株の選別においては、業績(売上・利益)の動向を確認 し、 将来、もっと伸びそうだと思う企業に着目 する。
◎株式市場全体や個別株の株価が緩やかな下落基調にあったとして も、コツコツとリターンを積み重ねていく ための低リスク投資法に ついて、理解し、使えるように備える。( Oxfordクラブにてご提供しています)
なんだか難しいと感じられるかもしれませんが、 実は既に投資による資産形成に踏み出している方について、 私はあまり心配していません。
遅かれ早かれ、『リスクを低下させつつ、 効率的にリターンを獲得していく道』 に辿りつかれると思いますので。(陰ながら応援しています!!)
私が本当に心配なのは、 まだ投資による資産形成に踏み切っていない方々です。
既に十分な現金があり、 毎年のインフレによる現金の価値の目減りは気にしない、 というのでしたら良いのですが。
単に、『投資が怖い』、『時間が無い』、『少しでも、 一時的でも評価損となる可能性を避けたい』 という理由で取り組まないのであれば、いち早く、 備えるための検討をされることをお勧めしたいです。
今、世界各国では、物価上昇 のほか、格差の拡大 、長寿化 などの傾 向に直面しています。
2000年以降、数々の経済的な危機に見舞われながらも、S& P500種株価指数(ドル建て)は、年平均で6% 以上の成長を遂げています。
急成長するプライベートエクイティやプライベートクレジット市場 でも、高い利回りが想定されています。
『投資をしている人がより所得を増やし、経済を回す。 そして国全体でも成長率が上昇し、物価も上昇。 現金の価値が目減りする 』
というループは長期的に継続する と想定され、 このループを避けるのでなく、味方に付ける ことが重要です。
投資家が、まずは個別企業の業績を踏まえ、 選別するための環境を整えつつ、 投資を合理的に行うためのステップに踏み出すためのお役に立ちた いと思いつつ、日々研究を重ねています。
志村暢彦
追伸1
米国株を中心とした長期資産形成においては、配当投資にフォーカスしたインカム・レターと、成長株にフォーカスしたキャピタル・レターにおいて、グローバルな視点で銘柄アイデアをご案内しています。
マークの執筆する配当投資の月刊ニュースレター
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アレックスの執筆する成長株投資の月刊ニュースレター
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追伸2
グローバル投資に踏み出す方に向けて、 投資手法の高度化を支援する気持ちで記した拙著 では、投資の『 手法』についても記載しています。 米ドルを稼ぐための考え方を身に付けるとともに、 資産形成の計画を立てるうえでも役立つと考える内容に触れていま す。ダイヤモンドオンライン でも随時取り上げられています。
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