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政策当局が戦っているものは何か?

こんにちは。

日本はゴールデンウィーク。 皆さま、いかがお過ごしですか?

私は、2時間15分程度に及んだモーサテプレミアムのセミナー2時間30分を超えたOxfordクラブのセミナーを無事終えました。

モーサテの方は、3人の専門家がそれぞれ見通しを出し、複合的な議論が展開されましたし、Oxfordクラブのセミナーでは、そもそも論も交えた本質的で大事なお話をさせて頂いたつもりです

申し込んだけどまだ視聴していない、という方は、是非ご覧頂けると良いのではないでしょうか。

私は深夜(カリフォルニア時間)に開催された大きなイベントを終え、ライフサイクルを普通に戻して、日中は太陽光を浴びながら散歩したり買い物したりしています。

粘着質なインフレが続くなか、人気スーパーのトレーダージョーズでは、家計に優しいバナナも売っています。

出所:筆者撮影

大きくて立派なバナナが一本23セント(36円程度。税抜)ということで、これは日本の格安スーパーに匹敵する値段なのではないでしょうか

買い物に来ると、つい他のものにも手が伸びてしまうので、結局大きな出費になりがちですが。

 

私が好きなロブスターのビスク。美味です。4.99ドル。 
出所:筆者撮影

 

さて、米国では、現地時間5月1日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)の会合が開催され、政策金利据え置き(5.25% – 5.5%)が発表されました。

声明文、量的引き締め(QT)の縮小開始と、発表後パウエル議長の会見(ハト派寄り)を受け、当日の株価は引けにかけて上昇。米国債金利は下落しました。

また、ドル円為替市場については、日本時間4月29日に一時160円を付けた後に急落(円高推移)。また、FOMC後に、157円台から153円付近まで急落しました。

政府が介入に関する明言を避けているので、各種報道でも観測として報じられていますが、そこは推して知るべしということで認識頂くと良いと思います。

さすがに中小企業の業績に悪影響が出る(賃上げにも支障が出るところが多いかもしれない)という声も踏まえ、総合的な判断がなされていると考えています。

話を米国の政策金利に戻しまして、今回の据置判断ですが、根強い物価上昇が確認されるなか、先行的な意味合いの強い経済指標を見ても、年末のインフレ指標見通しが引き上げられる可能性が高まっていることが背景にあると見られます。

年内のFOMCのスケジュールを踏まえると、利下げ開始タイミングが年後半(11月以降)になるというのが、現在の市場の織り込み(コンセンサス)です。

(4月22日時点では、利下げ開始は9月となる見方がコンセンサスでした)

今後の政策金利の行方については、本日5月3日(金曜)に発表される4月の米雇用統計で、雇用・賃金の状況がどうなっているのかも踏まえて判断されることになります。

2日の日中時点では、非農業部門の雇用者数が前月の30万3千人から減速し、24万人になるというのが市場の見方です。平均時給(前年比)は4.0%増の見通し。

また、5月15日に発表される4月の米消費者物価指数(CPI)も重要な指標となります。

マクロ指標については、『FOMCやパウエル議長が見据えているもの・戦っているものは何か?』という視点で見通して頂くと、よりすっきりと理解できると考えています。

(彼らはいつも、『市場の期待値』を見据えてコメントしています。そして今は、高金利が継続することで発生する悪影響や金融システムへの不安の芽』への意識が高まっていると感じます
 

米国株式市場では1 – 3月期の決算発表も本格化しています。

足元の業績は堅調だけれども、4 – 6月期や通年の業績見通しが市場参加者の高い期待値に届かないということで、株価が急落するケースも目につきます。

これまでよりも、株価が業績動向を受けて動く傾向が強くなっていと感じており、投資家の興味や判断ポイントが、政策金利から個別の企業に移っていることが見てとれます。

この傾向はもう少し続きそうです。

また、話題の人工知能(AI)関連でも、データセンターやインフラへの投資から、それを活用した大規模言語モデルの学習(ラーニング)への着目が集まるフェーズに差し掛かっています。

良いゴールデンウィークをお過ごしください!

志村暢彦
   

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志村 暢彦

Oxford Club Japan チーフ・ストラテジスト 助言統括者。金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。2019年Oxford Clubチーフ・ストラテジストに就任。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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