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行き違う日米の政策と 株式市場

今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催。

当初の予定通り、金利据置が発表されました。

FOMCメンバーによる金利予想(ドットプロット)も前回から大きな変更なく、今年は3回の利下げ想定が維持されました。

足元の経済指標では、粘着質なインフレ傾向が残っていたため、利下げ想定時期が後ろ倒しになるという懸念を示すエコノミストも一部にはいましたが、

結果として、米連邦制度準備理事会(FRB)のパウエル議長からは、ハト派(利下げに積極的)なトーンが保たれました。

この背景にある重要な視点としては、次のポイントが挙げられると考えられます。

<利上げ時の出遅れ>

FOMCメンバー、およびFRBのパウエル議長は、利上げ時に、ビハインド・ザ・カーブ(Behind the curve)の姿勢を取り、結果として出遅れました。

前回の反省を踏まえ、先を見据えたフォワード・ルッキング(Forward Looking)な姿勢を考慮する必要性を感じていると見られます。

前トランプ政権時には、FOMCの利上げ姿勢に対して、トランプ氏は、フォワード・ルッキングな姿勢であるべきという批判を繰り返したことも影響しているかもしれません。

何が正しかったのか、後になってからでないとわかりませんが、少なくとも、インフレ目標の2%に到達する時期が想定より先延ばしになろうとも、今のFOMCメンバーのスタンス、優先順位としては、『今回は出遅れない』ことが高いのは理解できます。

<大統領選を見据えた政策変更時期>

今年は大統領選を11月に控えます。そして大統領選に近い9月以降は、政策の方向性を変更する(据置から利下げとする)ことへの躊躇が伴います。

政策金利というのは文字通り『政策』を踏まえた金利となりますので、物価がどうこうというだけでなく、それ以外の外圧というか条件が付いて回るものです。

時期を逆算していくと、6月には利下げに踏み切る(変更の舵を切らねば)という思いがあるかもしれません。

いずれにせよ、米国の利下げ姿勢に変更が無いことが確認された会合でしたね。

状況としては、ようやく、拙著で一昨年に記載したファンダメンタルズとなってくる年とも言えます。

また、今週は、スイス中央銀行(SNB)が利下げに踏み切り政策金利は、0.25%の利下げで1.5%となりました。

利下げは9年ぶりで、世界の中央銀行に先駆けた対応と報じられています。

一方、日本銀行。

19日に開催された金融政策決定会合において、植田総裁はマイナス金利の解除を決定しました(前週アナウンスのとおり)。

利上げは17年ぶりです。

そして、効果を疑問視する(弊害が伴うという)声が大きかった、金利をゼロ%程度に誘導する、いわゆるイールドカーブコントロール(YCC)』の撤廃も決定。(とはいえ、影響を軽微にするため、当面、大量の国債買い入れを継続するようです)

あわせて、リスク性資産である上場投資信託(EFF)や不動産投資信託(REIT)を買い入れる政策も撤廃

いずれも、これまで、しっかりと議会や市場参加者に刷り込んできた内容であり、サプライズはありませんが、重要な舵を切ったことは、改めて認識する必要があります。

ということで、世界の中央銀行が利下げに踏み切る今年、日銀は逆行し、利上げ政策を検討していくこととなります。

もちろん、金融政策は株式市場とにらめっこしながら決めるものでなく、物価や雇用の安定を踏まえて決定されるものです。

また、利下げ VS 利上げ という構図よりも、大きく乖離している政策金利の水準が近づいていくというポジティブな捉え方をできる側面があると思われます。

とはいえ、株式市場は全体としては、利上げによるマイナスの影響を嫌って動くものであるという側面もあり、気になる方も多いのではないでしょうか。

なお、私としては、今月から、世界の株式市場の動向や、企業のイノベーション、個人の投資のレベルアップなどに関して、ソーシャルメディアの一つであるLINEを使った動画を使った配も始めています。

しむLINEというタイトルで、噛み砕いてお届けしつつ、実験的な取り組みも混ぜてご案内して行けたらと思っています。

現状では、Oxfordクラブが発行する月刊のニュースレターを購読されている方を対象とする取組みを充実させると良いのではないかと考えていまして、

該当される方には改めてご案内をしていきたいと考えていますので、未加入の方は次回のご案内時にご検討ください!

(既に入っているよ、という方。ありがとうございます!がんばります!!)

では、日米金融政策が行き違う今年。個人投資家としてどう動いていくのが良いのでしょう?

世界の株式市場の中心は米国、年金や投信を含む機関投資家の多くが指標(ベンチマーク)としているインデックスにおいては、米国が3分の2程度を占めます。

日本にずっと住むとしても、米国の株式市場動向や米金融政策を見る癖は付けておいた方が、産形成には有利であると考えます。

長期的にみて、米国の成長率と、米国の株式指数の業績成長率が、日本より上回ることから、長期的に米国の株式市場が上昇してきたことも説明がつきやすいです。

とはいえ、市場が上下するタイミングを当て続けることはできません。

個人投資家は、個別株を複数保有し、企業の業績動向にも目を向けることで、結果として、株式市場全体の方向性に関する肌感覚が身につくと考えます。

『難しいことは出来ない、避けたい』

『そもそも忙しい、時間がない、お金もない』

という場合もあると思いますが、人生100年時代を見据え、少しずつでも外堀を埋めていった方が安心です。

少なくとも、そういった思考があった方が、結果として将来の好リターンに繋がると考えます。(また分散投資によるリスク低下にも繋がりやすいです)

もちろん資産形成は、ギャンブルではありません。

現代ポートフォリオ理論がノーベル賞を取り、世に広まって早30年以上。

もう昔ながらの視点で『株式投資=ギャンブル』という捉え方をするよりも、

『我々の生活を良くするサービスを提供する企業を理解し、自分の将来の生活に繋げる』ためのものという捉え方をした方が、良いと考えます。

もちろん、理論的に考えても、株式投資自体は理にかなった行動となり得ますので、長期的な取り組みの視点で、まずはベースとなる保守的な投資を固、そして定期的にバランスが取れているか確認されることをお勧めします。

特に今年は、金融政策の方向性が変わる年となりますので。

ベースを固めつつ、生まれたリターンのなかから、積極的な投資に結び付けていくという循環を作ることができれば、さらに高い効果に繋がると考えられます。

そのためにも、資産形成に取り組むメソッドや、個別の有望企業に関する目利きとなると良いので、Oxfordクラブとしても、そのためのサポートをしていければと考えています。

 

志村暢彦

 

追伸1

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志村 暢彦

Oxford Club Japan チーフ・ストラテジスト 助言統括者。金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。2019年Oxford Clubチーフ・ストラテジストに就任。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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