投資情報

8月は荒れ相場?

 

8月に入りました。年初来で堅調を維持してきた株式市場には、一服感が見え始めています。

CNNによる恐怖・貪欲指数(Fear & Greed Index)67まで低下。(日本時間3日12時時点)。31日時点では77だったので、適度な調整の過程をたどり始めたようにも見えます。

指数が「極端に貪欲(Extreme Greed)」な状況から脱した背景には、投資家のリスク選好度合が低下したこともあげられます。

米国時間2日には、格付け機関のフィッチ・レーティングスが米国債の外貨建て長期債格付けを最上位の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げたとのこと。

これを受けて米国10年国債の金利が上昇し、株式市場が下落したというニュース報道が見られました。

もちろん長期金利上昇は株価の下落要因となるので、その意味では下落したと言えますが、個人的には、格下げで下落としたという理解をするよりは、格下げや金利上昇は単なるきっかけとなっただけと見る方が、賢明な投資家としては適切なのではないかと感じています。

AAA格の債券のみを組み入れるとしている投資信託が、AAA格を失った債券を自動的に売却とするケースはあり、国債価格の下落(金利の上昇)を誘発したといえますが、それは債券サイドの話であり、格下げがあったからと言って、保有する株式資産の売りに直接的には繋がらないケースが一般的です。

そして、仮にフィッチで格下げになったとしても、他の格付け機関大手のムーディーズやS&Pにおいて格付維持されていれば大事には至らないはず。
また、フィッチは5月24日に、債務上限問題を背景として、米国債を格下げ方向で見直す可能性があるネガティブウォッチとして格下げする可能性を示唆していましたので、まるっきり想定外であったわけでもありません。

そして、実際、手続きやスケジュールを含む仕組み上の問題として、米国が政府閉鎖に陥る可能性はあるので、米国債がデフォルト(破綻)する可能性は皆無とはいえ、テクニカルな連邦政府の閉鎖のリスクを考慮するという理由に基づく格下げであれば、ある意味やむなしとも感じます。

ということで、今回の格下げの影響の話は現時点では長引かないと感じます。

過去のメルマガでもお伝えしている通り、長期的な株価は、業績動向に連動しやすいものであるとともに、短期的には金利動向やリスクプレミアムも影響するものですので、そういった視点でうまく対応していきたいところです。
 

投資家がリスク回避的な投資姿勢となると、短期的な株価にはマイナスに寄与しやすいものですが、リスク回避的かどうかを判断する材料の一つに、「ボラティリティ・インデックス(VIX指数)」があります。

別名「恐怖指数」と呼ばれるもので、ボラティリティ=変動幅が上昇すると株価は下落する傾向にあります。

このVIX指数の動向を月別に見てみたいと思います。

次の表は、VIX指数の2009年から2022年まで(14年間)の月次平均値です。
 

月時平均値
(出所:Bloombergを基にOxfordクラブが計算)

 

8月の変動幅(上昇幅)が大きい傾向があります。

また、次の表は2023年の単月の推移です。

 

単月の推移
(出所:Bloombergを基にOxfordクラブが計算)

 
6月7月と、インフレの鎮静化や好調な企業業績などを背景に、変動幅が下落する展開が続いてきました。

8月は、年末に向けて改めて投資スタンスを見直す機関投資家も多いことから、これまで買われたものは利益確定され、下落しているものには見直し買いが入る余地があると見られます。

年毎の数値の調整に追われることのない個人投資家が、長期目線で投資を続けるにあたっては、短期的な株価の上下をうまく活用頂くと良いと思っています。

 

本日8月4日は毎月恒例の雇用統計発表日です。

今回発表される7月の数値としては、

非農業部門雇用者数:20万人増(前月は20万9千人増)
失業率:3.6%(前月は3.6%)
平均賃金(前年比):4.2%増(前月は4.4%増)

となっています。

2日水曜日に発表されたADP雇用統計においては、事前予想を上回る強い数値がみられ、引き続き強い労働環境が確認されています。

(ADP雇用統計とは、米国の給与計算代行サービスを提供するオートマティック・データ・プロセッシング(ADP)社のデータを基に毎週出されている統計で、恣意性が排除されており、速報性が高いということで注目が高まっています)

労働需給が強く、インフレ継続の根源の問題の進展がなかなか確認できていませんが、市場参加者による政策金利予想としては、大きく変わっておらず、次回9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きが予想されています。

今月の材料としては、来週10日の消費者物価指数(CPI)と、毎年恒例のジャクソンホール会議もあります。

ジャクソンホール会議は、カンザスシティ地区連銀が主催する経済シンポジウムで、先進国の首脳が集まり、世界経済・金融にかかわる重要テーマについて議論を繰り広げるのですが、インフレ率の高さや利下げ時期、注目すべき指標についても、直近の世界情勢を踏まえた形で新しい材料が示されることが期待されます。

市場の変動幅(VIX指数)がどう動くのかも踏まえて、投資環境をチェックしていきたいと思っています。

 

志村暢彦

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志村 暢彦

金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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