投資情報

景気後退と株価の関係

 

日本はまさに夏到来ですね。

私は今、短期的に東京にいますが、昨日6日にはセミの声を耳にしました(今年初です)。

『青空や 今日はじめての 蝉の声』という、原石鼎先生による有名な句が頭をよぎりました。

米国は7月4日の独立記念日を過ぎ、本格的に下半期入り。

本日7日には、雇用統計の発表を控えています(日本時間21時半に発表されます)。

6日夕方時点の市場予想値としては、非農業部門の雇用者数が22万5千人増、失業率が3.6%、平均時給が前年比で4.2%増となっています。

 

引き続き、株式市場では
金融政策の動向 - 金融引き締めがいつ、どのように終わるのか』や、
景気の動向 - 懸念される景気後退入りについて、いつどの程度の深さになるのか』に対する見通しを踏まえ、一喜一憂が継続しやすい状況にあると見られます。

金融政策を司る連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーの意識は、『物価の安定と雇用の最大化』が軸となっていますが、雇用についてはすでに長期均衡水準であるNAIRU(Natural rate of unemployment:自然失業率)を下回った水準にあるので、意識はもっぱら『インフレ動向』に向かいます。

世界の中央銀行らのシンクタンク的な役割をになう経済協力開発機構(OECD)ですが、今週4日には、加盟国の総合インフレ率(5月)が6.5%に低下したと発表したと発表しています。

今後は、日本時間7月27日未明に発表されるFOMCの金利政策に向けて、12日に発表される消費者物価指数(CPI)や14日のミシガン大学が調査している1年先期待インフレ率といったインフレ関連指標への注目が高まる展開が想定されます。

最近、メルマガでご案内させて頂いている、APJ Media社の寺本CEOとの対談動画ですが、ありがたくも『こんなのを聞きたかった』という前向きなコメントを多く頂戴しています。

ご視聴頂きありがとうございます。

頂戴しているご要望のなかには、この先に想定される景気後退と株価との関係を説明してほしいといった内容が含まれているので、機会を見てご説明させて頂きたいと思っていますが、本日はさわりだけ、ポイントとなる視点をご紹介させて頂きたいと思います。

まずポイントとして挙げられるのは、良く取り上げられるキーワードの『景気後退』は定義が人によってマチマチとなりやすい点です。

つまり、2四半期連続のGDPのマイナス成長を『テクニカルリセッション』と呼び、それをもって景気後退入りするという表現がなされることが多いですが、

オフィシャルには、全米経済研究所(NBER)が認定しなければ『景気後退』とはされません。

NBERはGDPのほか、雇用や個人消費など多くの要素を踏まえ、経済活動の『著しい低下』を伴う期間をリセッションと定義していますので、語り手がどちらを指しているのか、理解していただくと良いと思います。

また、一般に株価は代表的な『景気先行指標』としての性質があるので、GDPを踏まえて景気後退入りが認定される頃には、違うテーマを主軸として動きがちです。

前述OECDはGDPの景気先行的な部分を抜き出して、『景気先行指数』を算出・公表していますが、それですら、株価に対して遅行して推移する傾向があります。

ということで、景気後退入りするか否かで株価を判断するよりも、株価の上昇・下落要因となり得る次の項目に着目する方が、効果が高いと見ています。

➀ 1株当たり純利益(EPS)…予想値と実績値あり
➁ 成長率 …キャッシュフローや配当
③ 売上高 …小型株・新興企業については特に重要
④ 金利…基本的には長期国債
⑤ 市場心理…リスク許容度
⑥ リスクプレミアム…株式市場のリターンと国債金利の差等

これらの項目に沿って、将来の推論を立てていく方が、現実的に近い結論が導き出されそうですし、もし結論が推論と異なったとしても、何が違ったのか要因分解がしやすいです。
また、現在は、従来よりも高いインフレ率が定着する感じとなっていますが、その環境下においては、色々な『格差』が広がる傾向にあります。

理論的な背景は、トマ・ピケティ氏による『21世紀の資本』で示されているものと同質のものがあるのではないでしょうか。

実際インフレ環境下ではお金を有する層は、より多くの富を得やすくなります。

勝ち組企業とそうでない企業のメリハリがつくなかにおいては、全米企業の上澄みともいえる『S&P500種株価指数の構成企業』などは、相対的に良い事業環境になっていることもあり、国全体の活動を示すGDPとは異なる視点で捉えると良いケースも出てきます。

世界のインフレは、日本においても他人事ではありません。

長寿社会と、高いインフレ率の甘受を踏まえ、将来を見据えた資産形成や株式投資について、従来よりも真剣に考えることが必要な世の中になったと感じています。

志村暢彦

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志村 暢彦

金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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