10-12月期の決算発表シーズン入り目前!

2022年を終え、通期および10-12月期の決算発表シーズン入りします。決算発表においては、売上や1株当たり純利益(EPS)などの業績データのほかに、会社による通年の業績予想にも注目が集まります。
まずは本日13日(金)に、JPモルガン・チェースやシティグループ、ウェルズ・ファーゴ、バンクオブアメリカ、ブラックロックなどの大手金融機関が決算発表します。
最近ブラックロックのラリー・フィンク志向経営責任者(CEO)氏が景気見通しに弱気な発言をするなーと感じていたのですが、案の定といいますか、同社は12日(木)に社員500人の解雇を行う方針であることが発表されました。
同社の収益環境に逆風が吹いていることを理由として、コロナ禍で増やしてきた人員を削減する機会であると捉えていると見られます。
同様の対応(人員削減)はゴールドマン・サックスも発表していますし、また、アマゾンやセールスフォースをはじめとする大手ハイテク企業も大規模人員削減を年初に発表しています。
経営者の目線では、他社が人材の囲い込みをしているときには、その流れについて行かざるを得ず、そうはいっても永遠に拡大路線を続けることはできないので、パフォーマンスを生まなくなった人員を整理する機会を伺いつつ、機を見て削減するという、ごく当たり前の企業活動ということだと思われます。
長期で成長する優良企業は、この景気後退懸念がある際に、将来に向けて足場を固め、再び成長フェーズに入るときに備え収益改善のための種を蒔いているはずです。
そして、将来的な業績展望は決して悪くない(企業としては利益率改善を想定している)としても、人員削減する手前、経営者は、「将来に向けて良い環境にある」という趣旨の対外的なコメントを避けがちです。
従いまして、人員削減する企業の経営者による「2023年通年の業績予想」は、本音や実態よりも保守的なものになりがちであるという点は留意しておきたいところです。
株式市場全体としては、インフレ動向への注目が依然として高い状況が続いています。
今年は徐々に企業業績を素直に反映する展開になることを期待していますが、利上げの最終到達点(ターミナルレート)の方向性が見え、議論が終わるまでは、金融政策を巡るニュースや連邦公開準備委員会(FOMC)メンバーによる株価楽観論への差し水を意識する必要があります。
また、ターミナルレートに到達し、一定期間金利が据え置かれたのちに利下げに向かうとしても、消費者物価指数(CPI)などのインフレ指標は、従前の低い状態まで、完全には戻らないのではないかという感覚で見ています。
これは、ロシア・ウクライナ問題が長引いているうえ、米中問題がくすぶっており、高度人材や先端技術の囲い込みがなされるなかで、これまで長きにわたってみられた、グローバリゼーション(グローバル化)の流れが逆回転する傾向がみられることも影響しています。
実際、日本でも防衛力強化を巡る財源の議論が活発に行われており、東西冷戦の終結以降、平和の恩恵を受けてきた国々が、国際間の対立に備える増税(コスト)を払う構図となっています。
(防衛力強化を巡る財源の大綱については、例えばこちらで解説されています
(出所:NHK)
2022年は株式市場が大きく下落した年となりましたが、下落幅はリーマンショック時よりも軽微なものでした。
そのリーマンショック時には、株式市場が下落する一方で、債券市場は上昇し、うまくバランスが取れている面もありました。
ところが昨年は、債券市場も大きく下落し、米10年国債については、この100年間で最も価格下落(金利は上昇)した年とも言われます。
株式市場とともに債券市場が大きく下落する異例の事態でしたが、今年は金融政策が正常化する見通しが立つにつれて、株式市場も正常化に向かうと期待しています。
欧米に遅れて実質的な利上げに踏み切った日本ですが、もう少し利上げの流れが続く可能性もあります。そして、世界の先進国で最も早く利下げするイメージがつくのは米国で、米国だけでなく、グローバルに活躍する優良企業に着目するには良いタイミングであると考えます。
コロナ禍や他の事象でもみられるように、世界で起こっている社会課題を解決する主体は、常に企業です。
株式市場は今年後半の緩やかな景気後退局面入りを織り込んでいますが、企業収益、特に利益率に関しては想定程に悪くはならない可能性もあるというシナリオも頭の片隅にいれたうえ、株式市場全体でなく、優良・有望な個別企業を選別するという発想のもと、あなた好みの企業を探して頂くと良いと考えています。
志村 暢彦
追伸1
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軟調な相場でも活用が期待できる投資戦略やグローバル優良企業の着眼点に関しては、拙著『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』でも触れています。
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