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今年のノーベル経済学賞と株価の方向性

今年のノーベル経済学賞が発表されました。

受賞したのは、
バーナンキ元FRB議長(元プリンストン大教授)ほか3名です。
(残り2名は、シカゴ大のダイヤモンド教授と、
セントルイス・ワシントン大のディビッグ教授です)

日経新聞によると、
受賞理由は『金融危機における銀行の役割』とのこと。

バーナンキ氏といえば、リフレ派の代表格。

リフレについてウィキペディアでは、次のように説明されています。

『リフレーション(英: Reflation)とはデフレーションから抜け出たが、本格的なインフレーションには達していない状態のこと。日本語では通貨再膨張とも訳される』

なんのこっちゃ分からないという方も多いかもしれませんが、簡単にバーナンキ氏の功績をご説明すると

『緩和政策によって、リーマンショックから脱却した』ということかと。

当時、日本は頑なに白川日銀総裁が緩和政策を拒んでいたので、FRB議長を務めるバーナンキ氏の政策とのコントラストが目立ちました。

 

このメルマガで政策論争を喚起するつもりはありませんし、色々な見方が存在するのも事実です。

バーナンキ氏も当時は、ヘリコプター・ベン(ヘリコプターでお金を上空からばら撒くかのようにふるまうベン・バーナンキ氏)などと、一部で揶揄されていました。

とはいえ、コロナ禍の2020年に緩和政策が用いられたのは、リーマンショックからの回復を遂げたFRBの金融政策への信認があったでしょうし、

また緩和政策に慎重だった日本が長くデフレに苦しんだと目されているのも事実です(もちろん、人口動態の問題をはじめ、根っこの原因は一つではありません)。

病気の治療法に色々な考え方やアプローチがあるように、金融政策にも色々なアプローチがあります。

個人投資家の視点でいうと

『リフレ派の理論』がベースとなった考え方が、ノーベル経済学賞を受賞したことで、今後の危機対応にも同様の施策(緩和政策)が用いられる前提で投資家は語るでしょうし、

株式市場にとってみても、緩和政策の反動の影響を踏まえてみたとしても、トータルとしてみれば、持続的な経済成長や長期的な株価の形成にプラスに寄与するという発想で捉えると良いのではないでしょうか。

 

さて、足元の株式市場は引き続き変動幅が高く、一般的な機関投資家が積極的にリスクを取りに行くのが難しい状態にあります。

CNNが出しているFear & Greed Index(恐怖と強欲指数)は、13日時点ではExtreme Fear(極端に恐怖)にふれています。


(出所:CNN)


(出所:CNN)

また別名、恐怖指数とも呼ばれるボラティリティ・インデックス(VIX)は足元上昇していて、1年で見ると以下の推移をしています。


(出所:Bloomberg)

ですが、このボラティリティ・インデックスもずっと高値のままというわけではなく、上下を繰り返します

この数値の右目盛りを逆にして(下を高い値にして、上にあがるにつれて低くなるようにして)、S&P500種株価指数のチャートと重ねると以下のようになります。


(左目盛りがS&P500で、右目盛りがボラティリティ・インデックス。 出所:Bloomberg)

ご覧のとおり、現状では、恐怖指数の数値が低くなると株価にはプラスの傾向が強いです。

今後、7-9月期の決算発表が本格化し、随時発表されていくインフレ関連指数(CPIやミシガン大消費者信頼感)のほか、米国時間11月2日の連邦公開市場委員会(FOMC)、11月4日の雇用統計、および11月8日の中間選挙を通過すると、ボイラティリティを高めている、市場における不確定要素が大分減ると期待しています。

長期投資家として、先を見据えながら準備していただくと良いと考えています。

志村 暢彦

 

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志村 暢彦

金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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