投資情報

UBERを呼んだらテスラが来ました!

社会貢献事業の一環として催行しているグローバル金融人材育成プログラム。学生さんと一緒に、世界の最前線で活躍するプロフェッショナルを訪問したり、グローバル金融の本場を視察してきました!

先週は、シンガポール、フランクフルト、ロンドンと巡ったところまでお伝えしましたが、今週は、ニューヨークとサンフランシスコ(シリコンバレー)を巡ってきました。

ニューヨークで印象的だったのは、経済は活況を呈していて、深刻な景気後退の兆しは見えないということ。マンハッタンのホテルはどこもほぼ満室で、今回は西のニュージャージー(ハドソン川を渡った対岸側)に宿泊しました。

街ではロンドン同様、皆マスク無しが基本。コロナ罹患しても、自宅待機は不要という状況でした。(幸い、我々は誰も罹患しませんでした!)。

入国については、イギリス程簡便ではなく、ウクライナ等からの入国者へのケアが必要なのか、はたまた英語ができなくてコミュニケーションに問題がある人が多いのか、入国審査の段階でブースから別室に連れていかれるケースが頻発していました。(我々一行は全員何事もなく、無事通過しました!ちょっとドキドキしました^^;)

当地の小売は堅調で、労働環境は逼迫していて(つまり人出不足)、物価高騰は顕著です。円安も加わり、アメリカから見ると、日本は『激安バーゲンの国』ということです。

2022年前半の株価下落も、2020年やそれ以前から投資している長期投資家からすれば、許容範囲内という認識が多い印象です。

中間選挙についての見通しは、予断を持っていない人が多いですが、気候温暖化対応については後戻りせず、このまま進むと見るのがコンセンサスです。

(ニューヨーク証券取引所。残念ながらまだ見学は出来ず)

 

サンフランシスコについても同様で、街は活況を呈しています。ガソリン価格の高騰の影響はニューヨーク同様ですが、一時の高値からは下落し、少し落ち着きを取り戻しています。

(とはいえ、かつての補助金の影響からか、街を走る車としては、テスラがとても多く、UBER(シェアライド)で呼んだらテスラ車が来たというケースもザラです。)

なお、サンフランシスコと言えば、アップルやグーグル、その他名だたるIT企業が本拠を置く、イノベーション創出の本場。

当地ではシリコンバレーではなく、『ベイエリア』と呼ぶのが一般的です。

米国滞在が30年を超える起業家・ベンチャーキャピタリストと話しましたが、足元ではリスク選好的な、イノベーション創出にかける資金の先細りしているという諦め感が印象的でした。

8月末には、SNSを運営するスナップ社が全社員の2割程度を削減する旨を示しましたし、ソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンドが出資する企業群にも、レイオフ(一時解雇)が多数出ていることなどが背景としてあると感じます。

労働環境が逼迫する、消費、運輸、ホテル関連との状況の違いが見られます。

 

サンフランシスコでは、あいにく異常気象に伴い連日40度超えが続きました。州全体の送電網に関する緊急事態宣言が出る程です。

杉並区ほどの敷地面積を有するスタンフォード大学の構内を歩いているときは、まさにサウナ状態で、良く言うインディアンサマーを超える状況。

さすがに健康被害を懸念する暑さで、移動に制限もでましたが、学生さんたちは其々に、イノベーション創出拠点のエコシステム(生態系)の一端を垣間見たのではないかと思います。

過去、多少の困難があっても、少しのミスがあったとしても、力強く乗り越えてきたのがアメリカです。

先行きが不透明なときであったとしても、打つべき手を打つのが優秀な経営者と言えます。

リスクを必要以上に恐れたり、ミスを完全になくすことを優先して一歩前に踏み出さない姿勢になりがちな、典型的な日本企業との差を改めて認識する場面も多くありました。

断片化(フラグメンテーション)という単語は、欧州のみに当てはまるものでは無く、今後、各国・各所で継続して起こる現象となると見ています。

投資の側面から見ても、リスクを取るべきか、取らざるべきか、答えは投資家のステージや状況によってまちまちのはずですが、無理ない範囲で、一歩前に踏み出すことから得られるものは多く、その先にある資産形成の進展をイメージして長期投資の取組みを続けていくことが大切だと、改めて実感しました。

良い投資を

志村 暢彦

 

追伸
Oxfordクラブでは、配当投資にフォーカスしたインカム・レターと、成長株にフォーカスしたキャピタル・レターをご用意して、それぞれ長期目線での投資アイデアをご案内しています。マクロファンダメンタルズの状況を見据え、『米国の今』について経験豊富なストラテジストが分析した内容も掲載しています。

志村 暢彦

Oxford Club Japan チーフ・ストラテジスト 助言統括者。金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。2019年Oxford Clubチーフ・ストラテジストに就任。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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