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インフラ→インフレ

米国株は足元堅調。S&P500種株価指数は、7月に9.11%の上昇となりました(6月は8.39%の下落)。

1970年以来の下落幅となった1-6月期を終え、少しずつ、投資家のリスク回避的な投資行動が減りつつあります。

とはいえ、GDPが2四半期連続でマイナス成長になったり、引き続き金融引き締め的な政策がとられ、利上げが想定されたりと、手放しで株を買い漁りましょうという状況には無いですよね。

マクロ経済を俯瞰するアナリストからも、景気後退(リセッション)に備える旨のコメントが多く見られます。

そんな中、米国では経済・外交対策への検討が積極的に進められ、困難な状況に立ち向かう姿勢が示されています。

 

そんな動きを反映してなのか、民主党政権の支持率も足元では回復しているようです。

中間選挙を控えるなか、上院では民主党が多数派を占める確率が上昇しています。(下院は共和党が占める見通し)

これから秋にかけて、より一層両党のせめぎ合いが続くでしょう。

なお、昨年秋のバイデン政権の目玉政策の一つであった「インフラ投資法案」は身内のマンチン議員の反対もあり、実現に及びませんでしたが、

米国としての看板政策が、高進するインフレを抑制するための「インフレ抑制法案」にすげ替えられ、実現に向けて動きが進められています。

このインフレ抑制法案は、政権の最優先課題である物価上昇の抑制が表に掲げられている一方で、中身は気候変動対策や医療制度の拡充なども含まれており、投資額もインフラ投資法案の頃よりも大きく削減されているなど、理想とは遠い妥協の産物であると言われます。

そうはいっても、合意にこぎつけたところなど、評価される面はあるでしょう。

また、先週27日には、米上院が「半導体補助金法案」を可決。今後下院の可決を経て法案として成立する見込みです。

経済安全保障の観点から半導体の国内生産体制を強化し、ハイテク分野での国際競争力を高めることが目指されています。

この他、ペロシ下院議長が台湾を訪問し、米国としての台湾へのスタンスを明確にするなど、国際情勢を巡る動きも活発化しています。

 

経済成長や国力の維持に向けて対策を打ち、中長期的で建設的な議論を繰り返すことが出来るのが、米国の強みの一つなのかもしれません。

もちろん米国が完璧な国だということではなく、根本的な諸問題、例えば格差拡大や銃社会、差別の問題などは残ります。

ただ、出来るところから手をつけ、国際競争力を向上させる仕組みがあるという点で、米国は他国より優位な面が多く、

そして、日本に住む日本人であっても、投資を通じてその経済的な恩恵を享受することができます

投資効率は、ぱっと見ではちょっとの差と見えるものであっても、長期で考えると大きな差となって現れるものです。

個人投資家の強みは、長期間、自分の軸を貫いた投資を継続できることです。

あなたなりの「資産所得倍増プラン」の実践について、検討を進めて頂くと良いと考えます。

 

志村 暢彦

 

追伸
Oxfordクラブでは、配当投資にフォーカスしたインカム・レターと、成長株にフォーカスしたキャピタル・レターをご用意して、それぞれ長期目線での投資アイデアをご案内しています。マクロファンダメンタルズの状況を見据え、『米国の今』について経験豊富なストラテジストが分析した内容も掲載しています。

志村 暢彦

Oxford Club Japan チーフ・ストラテジスト 助言統括者。金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。2019年Oxford Clubチーフ・ストラテジストに就任。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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