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投資情報 | なぜエヌビディアはAI業界を “支配し続けられる”のか?


米中対立が引き起こした、売上4割減の危機


米中の緊張関係が、また大きなニュースになっています。

ただし今回の争点は、
外交や軍事ではありません。

AI向け半導体、裏で動く資金の問題、そして中国政府による規制です。

米国に次いで、中国は
エヌビディア (Nasdaq: NVDA) にとって欠かせない市場です。

その規模は、500億ドルを超えるとも言われています。

そんな巨大な市場が今、
米中テック対立のど真ん中に放り込まれているのです。

そしてその背景にあるのは、米国政府の判断です。

中国がAI分野で一気に追い抜くのを防ぐため、
エヌビディアの最先端AIチップ「H200」の中国向け輸出が
止められました。

その結果、何が起きたのか。

中国と香港向けの売上は、4割以上も落ち込みました。

これは、
「少し調子が悪かった」というレベルの話ではありません。

エヌビディアの収益の柱に、強烈な一撃が加えられた、
――それほどの出来事です。

しかし、
エヌビディアCEOのジェンスン・フアン氏は、
この状況をただ黙って受け入れる人物ではありません。

数十億ドル規模の収益が失われるのを、
指をくわえて見ているつもりはなかったのです。

 


儲け話に乗り始めた米国政府


ジェンスン・フアン氏は、
米国と中国という二つの超大国に挟まれた状況で、
生き残るための現実的な選択をしました。

交渉に出たのです。

昨年の夏、エヌビディアと半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (Nasdaq: AMD) は、
中国向けに販売する「旧世代」のAIチップについて、

売上の15%を米国政府に支払う
その代わりに、対中輸出のライセンスを得る

という条件で合意しました。

要するに、エヌビディアは、
中国でビジネスを続けるために米国政府と取引をした
ということです。

ただし、
米国政府は、それで満足する相手ではありません。

当時のトランプ大統領は、
この半導体戦争から、さらに大きな収益を引き出す可能性を
探りました。

そして次に浮上した案は、
中国に最先端のH200チップを売る代わりに、
売上の25%を米国が受け取る、というもの。

しかしこの話は、交渉では終わりませんでした。

中国政府の神経を、完全に逆なでしてしまったのです。

そしてその結果、米国政府は、
いくつかの厳しい条件付きでエヌビディアに販売許可を出しました

しかし、中国側は、
完全に扉を閉ざしたのです。

中国政府は、
「本当に必要な場合を除き」
国内企業がH200チップを購入することを禁止しました。

もしあなたが
「中国製造2025(Made in China 2025)」政策を知っていれば、
この判断の意味はすぐに分かるはずです。

中国は、米国に技術の主導権を握られることを望んでいません。

AI分野ではなおさらです。

中国政府は、国内の大手テックに
はっきりとこう伝えています。

中国製を使え。それ以外は認めない。

しかし、
ここで見落としてはいけない事実があります。

エヌビディアの影響力は、
もはや米中の国境だけに収まるものではないということです。

そして、その影響の大きさは、
数百万ドル規模でも、数十億ドル規模でもありません。

桁が違うのです…

 


市場を動かす、5,000億ドル規模の黒幕


エヌビディアが新しいチップを発表すると、
慌てて動き出すのはプログラマーだけではありません。
  • 電力をどう確保するか
  • 熱をどう逃がすか
  • 工場や設備をどう作り直すか

 

電力の専門家や空調の設計者、産業機器メーカーまで、
一斉に動き始めます。

なぜなら、
エヌビディアのチップが変わると、
AIを動かす「土台」そのものを作り直す必要があるからです。

エヌビディアは、
AIの世界全体のスピードを決めている会社とも言えます。

CEOのジェンスン・フアン氏が動き出すと、
エヌビディアが提供するプラットフォーム「CUDA」上の
600万人の開発者と、6,000本以上のアプリが、
一斉に同じ方向へ動き出します。

これほど深く結びついた関係は、
簡単には切れません。

一度エヌビディアの仕組みに入った企業は、
そこから抜け出すのが難しくなるのです。

だからこそ、
ビッグテック各社は、
1999年のITバブルを思わせる勢いで、
AIに巨額の資金を投じています。

 

  • アマゾン・ドット・コム(Nasdaq: AMZN):1,250億ドル
  • メタ・プラットフォームズ(Nasdaq: META):700億〜720億ドル
  • アルファベット(Nasdaq: GOOGL):750億ドル

 

これらは全て、
データセンターやAI基盤への投資です。

合計すると、
ビッグテックのAI投資は、
年間で約4,000億ドルに達しようとしています。

しかも、これは
2025年の話にすぎません。

2026年は、さらに増えると見られています。


【まとめ】真の勝者はつるはしとシャベルを売る企業


では、
この競争で本当に得をするのは誰でしょうか?

それは、エヌビディアに投資している人ではありません。

SNSで「AIバブルがもうすぐ終わると叫ぶ分析家でもありません。

本当の勝者は、
AIを動かす裏側を支える会社です。

 

  • サーバーを冷やす
  • データセンターを建てる
  • 電力を安定して供給する

こうした企業こそが、
デジタル時代の「つるはしとシャベル」を売っています。

約100年前、カリフォルニアのゴールドラッシュでも、
一番儲けたのは金を掘った人ではなく、
道具を売った人たちでした。

いま起きているのも、まったく同じ構図です。

エヌビディアは、
投資家が無視できない存在であり、
簡単に手放せない企業です。

そして同時に、
米国と中国が何度もぶつかる原因になる、
極めて特別な会社でもあるのです。

 

マシュー・カー

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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