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投資情報 | アメリカの「負け犬」企業に 2.3兆円の投資が集まった理由


苦境に立たされた名門企業


1年前、ある名門企業は苦境の中にありました。

インテル(Nasdaq:INTC)の株価は、年初来で40%以上も下落していたのです。

出所:Trading View

まるで老いた犬のように、元気に走るAI業界の仲間たちをただ見送っているだけ。

シェアは落ち込み、利益も減少。

実際、2021年には200億ドルを超えていた売上は、2024年4 – 6月期には128億ドルまで減ってしまいました。

立て直しを図ろうと、インテルは100億ドルの再建計画を打ち出し、社員を1万5,000人リストラしましたが…。

それでも赤字は止まらず、「もうインテルの黄金時代は過去のものだ」と多くの人が思っていました。

ところが、思わぬ展開で、ウォール街の大物投資家たちにとって「お宝企業」となっていったのです。


「負け犬」から「人気者」へ


最初に動いたのはソフトバンク (SFTBY) 。

20億ドルを投じてインテルの株を買いました。

次に、米国政府が歴史的な取引を行い、89億ドル分を取得。

そして今度は、AIチップの巨人・エヌビディア (Nasdaq: NVDA) が50億ドルを出し、インテル株の4%を購入したのです。

つまり、「負け犬」企業にまで落ちぶれていた同社に合計160億ドル(約2兆3,653億円)もの投資が集まったのです。

このニュースでインテル株は急騰し、52週ぶりの高値を更新。

さらに1987年以来となる最大の一日上昇を記録しました。

昨年7月の大暴落以来、最高水準にまで回復したのです。

出所:Trading View

結果、2024年のインテル株は50%以上も上昇し、苦境の物語 から「復活の物語」へと変わりました。

やはり投資の世界では「タイミングが全て」だと言えるでしょう

とはいえ、最近はエヌビディアに逆風が吹いています。

米国と中国の間で貿易交渉がこじれる中、中国から次々と厳しいニュースが飛び出したのです。

  • 「2020年のメラノックス買収は独禁法違反だ」と中国政府が指摘
  • 中国政府は国内の大手ハイテク企業に対し、エヌビディア製AIチップの購入を禁止
  • さらに「中国のディープシークというAIモデルは、たった24万9,000ドルで開発できた」との報道

特に、ディープシークの開発コストは、ライバルに比べてあまりにも低コストで衝撃的でした。

つまりこれは、米中の貿易戦争とAI競争が一段と激しくなっていることを意味します。

しかし、結果として 、インテルの重要性が一気に高まることになったのです。


「アメリカ製シリコン」の価値


なぜインテルの重要性が高まったのか?

それは、インテルは米国内で設計から製造まで行なっている唯一の大規模半導体メーカーだからです。

しかも、AIチップは国家安全保障に直結する重要分野になっています。

つまり、インテル自身が奇跡的に問題を解決したわけではありません。

「アメリカ製のシリコン」という存在そのものが、いまや世界で最も価値のある“保険”になったのです。

ソフトバンクも、米国政府も、エヌビディアも、この未来を手に入れるためにインテルの株を押さえました。

つまり、AI時代のサプライチェーン競争でにおける “主導権”を買っているということです。

その結果、インテルは勝者となりました。

 


【まとめ】復活の物語が教える投資の真実


ウォール街では、運命は一夜で変わります。

去年は「負け犬」と言われていた会社が、翌年には「人気者」になり、みんなが注目する存在に変わるのです。

だからこそ、私たちはいつも「有名企業を完全に見限るな」と言っています。

株価を動かす力は「革新」だけでなく、「再生」にもあるのです。

 

マシュー・カー

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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