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投資情報 | 【14兆円】 アップルが米国内への投資を加速させる理由


トランプ大統領とアップルCEOの握手が示す新潮流


米国時間8月6日。

アップル (Nasdaq: AAPL) のティム・クックCEOは、 カメラの前でドナルド・トランプ大統領と握手し、並んで写真に収まりました。

数か月にわたり、中国、ベトナム、フィリピンからの撤退を進めてきた同社を、トランプ大統領は大歓迎しています。

その背景には、年間7,000億ドルを超える利益を生む巨大市場の存在があります。

数十年にわたり、その果実に占める米国のシェアは減少の一途をたどってきましたが、この流れが変わる可能性があります。

少なくとも、トランプの思惑どおりに事が運べば…。

「最も愚かな投資判断」になりかねないのです。


90%の衰退


かつて、米国は半導体製造で世界の王者でした。

半導体の創成期には、世界の生産能力の100%を米国が握っていたのです。

今では想像すら難しい数字ではないでしょうか?

米国半導体シェアの推移:

  • 1970年代
    国内需要の98%を自国生産で賄い、国際市場の70%を供給
  • 1982年
    世界シェアが51%に低下
  • 1989年
    世界シェアがさらに減少し、35%にまで縮小
  • 現在
    世界シェアはわずか8%にとどまる

ですが、この下降トレンドは終わりを迎えつつあります。

しかも、全く異なる二つの政権をまたぐ「二正面作戦」によって…


「メイド・イン・アメリカ」への殺到


何十年もの間、政治家たちは「米国製造業の復活」を約束してきました。

しかし、アウトソーシングや海外移転による産業空洞化が、かつて米経済の中核を担っていた製造業を弱体化させたのです。

今、その一部を米国に呼び戻そうとする新たな動きが始まっています。

実際、その動きに参加する企業の名前は日々増えています…

代表的な米国半導体関連企業:

  • アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (Nasdaq: AMD)
  • アナログ・デバイセズ (Nasdaq: ADI)
  • ASMLホールディング ADR (Nasdaq: ASML)
  • アムコー・テクノロジー (Nasdaq: AMKR)
  • ブロードコム (Nasdaq: AVGO)
  • コヒレント (Nasdaq: COHR)
  • インテグリス (Nasdaq: ENTG)
  • フォームファクター (Nasdaq: FORM)
  • HP、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ (NYSE: HPE)
  • インテル (Nasdaq: INTC)
  • マイクロン・テクノロジー (Nasdaq: MU)
  • NXPセミコンダクターズ (Nasdaq: NXPI)
  • コルボ (Nasdaq: QRVO)
  • 台湾積体電路製造(TSMC) (NYSE: TSM)
  • ロケット・ラボUSA (Nasdaq: RKLB)

 

彼らは、世界で最も重要な資源の一つである半導体に「Made in America」の刻印を押すべく競争しています。

しかも、計画はこれだけではありません。

現在、28州で130件以上のプロジェクトが進行中で、これにより50万人以上の雇用が創出される見込みです。

すでに発表された投資額は6,000億ドルを超えています。

アップルの最新の1,000億ドル(約14兆7,000億円)規模の国内投資は、
この投資の山にさらに上積みを加えるものです。

さらに、アップル単独で、今後4年間に6,000億ドルの米国内投資を約束しています。


関税100%の脅しと「抜け道」


今、話題を集めているのは、トランプ大統領による半導体への関税100%の可能性です。

しかし、抜け道もあります。

トランプ大統領はこう述べています。

「…アップルのように、米国内で生産している、または米国内での生産を確約している企業には、一切課税しない。

このため、TSMCのように米国に1,650億ドルの新工場投資を約束している主要メーカーは、こうした関税の適用外となる見込みです。

もちろん、トランプ大統領はこの成果を自らの手柄としてアピールしていますが…

実際には多くのプロジェクトがCHIPS法の高度製造投資税額控除(Advanced Manufacturing Investment Credit)のもとで、トランプ大統領が再任する以前から始まっていました。

 


【まとめ】逆転へのレース


トランプ大統領が脚光を浴びようが浴びまいが、米国は近代史上最大級の衰退を巻き戻すべく、すでに動き出しています。

そして、その回復は迅速に進むとみられます。

予測によれば、米国の半導体製造能力は2032年までに3倍以上に拡大するとされています。

製造拠点も、台湾・韓国・日本から、アリゾナ州、テキサス州、カリフォルニア州、オレゴン州へとシフトしていくでしょう。

これは脅威ではなく、半導体メーカーにとって、

新たな「メイド・イン・アメリカ」への大競争なのです。

この動きを投資家として今後も注目していきましょう。

ハイリターンを願って。

マシュー・カー

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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