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“ごちそうの祭典”が 株式市場に与えるインパクト

カレンダー上で最も重要な週がやってきました。

メニューは計画済みです。

もうすぐごちそうの準備に取り掛かります。

今週の木曜日は米国の感謝祭です。

祝日にはいつもごちそうを食べることで知られるこの国にとって、感謝祭は「ごちそうの祭典」です。

その食べ物の量は罪深いほどです。

私は、アップルクランブル、洋梨のクランブル、ピーカンパイ、パンプキンパイ、スイートポテト・キャセロール、コーンブレッド、フォカッチャ、そしてビスケットを焼くつもりです。

七面鳥を丸ごと一羽ローストし、マッシュポテトを作り、スタッフィング、クランベリーソース、グレービーソースを用意し、芽キャベツからインゲン豆まで、さまざまな野菜を蒸したりローストしたりもします。

妻と私は何時間もキッチンで料理に費やす予定です。

七面鳥の準備には、1日から3日かかります。

これにオーブンで焼く時間は含んでいません。

一日がかりの食事を楽しみます。

そして、残った料理は1週間かけて食べるのです。

これは米国で最も長い歴史を持つ伝統であり、建国以前から続いているものです。
そしてこの感謝祭は祝うだけでなく、投資家や市場にも大きな影響を与えます。

 

食料品から航空会社まで


まず、簡単に歴史を振り返ってみましょう。

感謝祭の起源は1621年に遡ります。

マサチューセッツ州プリマスにいたピルグリム(清教徒)たちは、その年の収穫に感謝し、ワンパノアグ族とパタクセント族とともに祝いました。

この2部族は、食糧が不足していた前年の冬をピルグリムが生き延びるのを助けてくれたネイティブアメリカンでした。

つまり、これは米国で最も古い祝日なのです。

400年以上も祝われてきましたので、米国人は独立戦争の150年前から感謝祭を祝っていたことになります。

感謝祭は家族中心の祝日です。

そのため、感謝祭の週は旅行者数が年間で最も多くなる週となります。

実際、今週は8,000万人もの米国人が家族や友人と会うために旅行すると予想されています。

これは新記録となるでしょう。

カル・メイン・フーズ (Nasdaq: CALM) 、タイソン・フーズ (NYSE: TSN) 、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(NYSE:  ADM) 、ブンゲ・グローバル (NYSE: BG) 、ドール (NYSE: DOLE) などの食品会社にとって重要な日になります。

それだけでなく、デルタ航空 (NYSE: DAL) 、ユナイテッド航空ホールディングス (Nasdaq: UAL) 、サウスウエスト航空 (NYSE: LUV) 、チョイス・ホテルズ・インターナショナル (NYSE: CHH) 、マリオット・インターナショナル A (Nasdaq: MAR)などの旅行関連株にとっても、年間で重要な時期の一つです。

また、毎年恒例のNFLの試合を観戦せずに感謝祭は終われません。

そして、試合結果に少額を賭けることも欠かせません(私が取り上げた企業については、スポーツのピークシーズンの記事をご覧ください)。

しかし、これから起こるある出来事と比べると、これは取るに足らないものです。
 

ショッピングの“スーパーボール”

何世代にもわたって、食後の皿が片付けられた後、感謝祭で消費したカロリーを確実に消費する方法が1つありました

それは買い物をすることでした。

そして、米国では年間で最も重要なショッピングの1日が、この休暇の週に発生します。

感謝祭の翌日の金曜日は「ブラックフライデー」と呼ばれています。

米国では、この日がホリデーシーズンのショッピングの正式な始まりとされています。

 

さて、私がまだ駆け出しのアナリストだった頃、この日が「ブラックフライデー」と呼ばれるのは、小売業者が「黒字になる」からだと教えられました。

この時期にショッピングモールやショッピングセンターに駆け込むことで、米国人が年間を通しての損失を帳消しにするからです。

しかし、後に「ブラックフライデー」という言葉は、工場経営者たちが最初に使い始めた造語であることを知りました。

感謝祭の翌週の金曜日には、異常に多くの労働者が病欠するからです。

また、フィラデルフィア警察は、クリスマスプレゼントを買い求めるために店に殺到する人々による大混雑と交通渋滞を表現する言葉として、この言葉を使用していました。

1960年代には、「ブラックフライデー」を「ビッグフライデー」と名称変更しようとしたこともありました。

しかし、それは遅すぎたのです。

長い間、「ブラックフライデー」は暴力や無作法な行動で悪名高いものでした。

しかし、最近では「ブラックフライデー」はかなりおとなしくなったと言えるでしょう。

銃で撃たれる人はほとんどいなくなりました。

その理由は、ますます多くの買い物がオンラインで行なわれるようになったからです。

2023年には、米国における「ブラックフライデー」のセール総額は95億ドル、世界全体では709億ドルに達しました。

そのうち、オンラインでの売上は164億ドルでした。

 

しかし、「ブラックフライデー」は単なる始まりに過ぎないことを覚えておいてください。

感謝祭の翌月曜日はサイバーマンデーと呼ばれ、「ブラックフライデー」のオンライン版です。

そして、サイバーマンデーは、私たちがサイバーウィークと呼ぶ週の始まりです。

2023年には、米国人がサイバーマンデーに費やした金額は124億ドルでした。

また、セールスフォース (NYSE: CRM)  は昨年のサイバーウィークに世界中で、2,980億ドルがオンライン上で使われたと推定しています。

注目すべきは、その総額のうち人工知能(AI)が影響を与えたのが510億ドルであったということです。

もちろん、これら全てはクリスマスというビッグデーにつながるものです。

そして2024年には、全米小売業協会は米国のホリデーシーズンの売上高を9,795億ドルから9,890億ドルと予測しています。

 

これは昨年の2.5%から3.5%増にあたります。

小売業者にとって重要な週と言えるでしょう。

長年「メイシーズ・サンクスギビング・デイ・パレード」を開催してきたメイシーズ (NYSE: M)だけでなく、アマゾン・ドット・コム (Nasdaq: AMZN)、アバクロンビー&フィッチ (NYSE: ANF)、エッツィ (Nasdaq: ETSY)、先週素晴らしい業績を発表したギャップ (NYSE: GAP)、ノードストローム (NYSE: JWN)など、その他にも数多くの企業が注目されます。

今週は市場全体に影響を及ぼすでしょう。

小売業に限ったことではありません。

この祝日とその意味は、ほぼすべてのセクターに影響を及ぼします。

また、11月28日(木)は米国市場が休場となります。

また、11月29日(金)は午後1時(東部標準時間)に早期終了となります。

さらに、休暇の長さと移動時間を考慮すると、休暇週の間は米国の取引量は低くなる傾向があります。

例えば、感謝祭直前の水曜日の取引量は通常の80%です。

感謝祭直後の金曜日の取引量は通常の45%です。

ですから、数字に注目し今年の感謝祭の機会を認識してください。

今週は、幅広い業界や企業に影響が及びます。

そして、どのような祝日を祝うにしても、正しい選択はクリスマスまでに報われることになるでしょう。

マシュー・カー

 

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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