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「11月5日」に向けた 劇的なドラマが始まっている…

米国の大統領選挙の年はドラマに満ちています。

米国以外の国の人々にとっては、2024年の大統領選挙の444日前に、米国人が共和党予備選挙の最初の討論会にチャンネルを合わせたことを知っておいてほしいのです。

1年以上も前のことになりますが、米国人はテレビやモバイル端末の前に座り、2024年11月5日の選挙に向けて賞賛や非難のツイートを次々と発信しました。

2024年の共和党大統領候補者たちにとっては、「日本版ゴット・タレント」のシーズン・オープニングだったのです。

そして、忘れないでください…

これは、共和党の公式予備選挙の最初の討論会に過ぎないのです。

 

広告主にとって160億ドルのチャンス

米国では、選挙運動は前回の選挙が終わると同時に始まります。

選挙は4年に1回実施されますから、長いスパンと言えるでしょう。

日本の選挙運動期間はわずか12日間ですから、それと比較しても長期間です。

フランスでは、選挙運動は2週間程です。

そしてカナダでは、平均して50日間、つまり2ヶ月弱の選挙運動期間があります。

しかし米国では、“政治期間”は何年も続くのです。

さて、世界の他の国々では、政治支出について議論することはおろか、政治支出にお金を使うことなど選択肢にほとんどありません。

例えば、2022年の日本の政治支出総額は1058億円でした。

これは、今年米国の政治家が費やした額の22.5分の1にすぎません。

出所:OpenSecrets

そして、今回の大統領選挙キャンペーンは、名目上の支出総額で終了するでしょう(ただし、2020年のインフレ調整後の支出額を超えることはないかもしれません)。

この数十億ドルが、AppLovin(APP)、Magnite(MGNI)、Trade Desk(TTD)などの広告プラットフォームの株価を今年上昇させるのに役立っています。

しかし、まだ終わりではありません。

選挙日まであと1か月を切りました。

そして、それは最後の米国の伝統が動き出すことを意味します。

 

10月のサプライズ

200年以上もの間、米国政治には伝統があります。

10月の驚きです。

それは、しばしば選挙の行方を左右する“爆弾”のようなものです。

なぜなら、11月初旬の投票日まであと数週間に迫った10月に、対立候補に関する最も不利な情報が報道機関にリークされるからです。

過去2世紀にわたって「10月の驚き」はこのようなものがありました。

○1880年10月に共和党候補ジェームズ・ガーフィールドが『ニューヨーク・トゥルース』誌に偽の書簡を掲載した事件

○1912年10月14日のセオドア・ルーズベルト暗殺未遂事件

○1992年10月のキャスパー・ワインバーガー元国防長官の起訴

○2016年の「トランプ・テープ」の公開およびヒラリー・クリントン氏に対する捜査の発表

そして、これらの出来事は市場を動かしてきたのです。

米国の大統領選挙の年には、必ずドラマが起こることは周知の事実です。

そして、それは自業自得、野党の計画、あるいは自然災害(2012年10月のスーパーストーム・サンディが選挙の流れを変えたような)のいずれかによるものとなるでしょう。
 

さて、2024年には米国人がどれほどのドラマに耐えられるかという問題があります。

現職の民主党候補であるジョー・バイデン大統領はすでに退陣しました。

そして、再選を目指したドナルド・トランプ前大統領には暗殺未遂が1度ならず2度も起こっているのです。

これらはすべて10月よりも数ヶ月早く起こったこと。

そして10月には、「ヘレネ」と「ミルトン」という2つの壊滅的なハリケーンがフロリダ州と米国南東部を襲いました。

ヘレネは、2005年のハリケーン「カトリーナ」以来、米国を襲ったハリケーンの中で最も被害の大きいものだったのです

現政権のハリケーンへの対応は政治的なものとなりました。

しかし、2024年に待ち受ける「10月のサプライズ」はこれでしょうか?

私たちは固唾を呑んで見守るしかありません。

しかし、これだけは言っておきたいのです。

もし「10月のサプライズ」がまだあるとしても、すでに目にしたものよりも劇的な展開にはならないでしょう。

11月に米国人が投票所に向かうまで、あと3週間を切りました。

しかし、それまでに何が起こるかに関わらず、私の友人であるアレクサンダー・グリーンのアドバイスを最後に紹介したいと思います。

「政治的信念だけでなく、多くの驚くべきことが起こるため、今後起こるであろうと考えることを基にポートフォリオを運用するのは間違いです。つまり、2016年にヒラリー・クリントンが勝利すると誰もが考えていたのに、ドナルド・トランプが勝利したことを考えてみてください」

米国民と海外の投資家は、今後しばらくは冷静さを保つ必要があります。

今後、多少の起伏や荒波、さらには新たな嵐が待ち受けているかもしれません。

しかし、今後のコラムでは、選挙の年における低迷が、皆さんの将来の経済にとってなぜ強みとなり得るのかをご紹介したいと思います。

マシュー・カー

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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