投資情報

なぜ新規公開(IPO) 直後の株を買ってはいけないのか?

米国大統領選挙まで、およそ1か月を切りました。

米国では、目まぐるしい速さで、最新の世論調査の結果が次々と報道されています。

しかし、この政治的な騒動の裏には、別のストーリーがあるのです。

それは、失敗、強欲、拙い判断、そして投資家への厳しい警告でしょう。

それは、次期大統領候補のドナルド・トランプ氏からくる影響です。

トランプ・メディア&テクノロジー・グループ  (Nasdaq: DJT) の株価は、最近、過去最低値を更新しました。

しかし、それは驚くことではありません。

その理由を説明しましょう。

政治やビジネスセンスなど、他の要因とは何の関係もありません。

私は長年追跡し、成功裏に採用してきたトレンドに基づいて、この株価の低迷を予測することができました。

 

DJTの株価暴落は確実だった理由


私の専門分野のひとつに新規株式公開(IPO)があります。

私はこの成長株グループを中心にトレーディングサービスを運営していたこともありました。

そして、ほとんどの投資家が損失を被ることが多い中、新規公開株の取引で利益を得るための独自の戦略を考案したのです

企業が株式公開すると、誰もがそれを“確実な賭けになる”と考えます。

これらは市場で最も革新的でエキサイティングな企業であり、「注目の新商品」と言えるでしょう。

そして、大幅な株価上昇が予測されるのですが、それは誤りです。

実際、DJTのような新規株式公開(IPO)に投資すると、短期的には損失を被ることが多いでしょう。

少なくとも、現代の市場では…

確かに、1980年代と1990年代の栄光の時代には、新規株式公開(IPO)で簡単に億万長者になることができました。

企業を厳選する必要も、それほどありませんでした。

いわば投資家はボードにダーツを投げるだけで、プラスのリターンが得られたのです。

そのような活況の市場では、誰もが天才のように見えていました。

実際、1990年から1999年にかけて、新規公開株の平均6か月間リターンは12.9%。

これは、ほぼ同じ期間における同業他社のリターンの2倍に相当します。

また、1980年代の新規公開株の最初の6か月間の平均収益率と比較すると、3.5倍も高い数字です。

当時、新規公開株は4,000以上もありました。

中には、最初の6か月間で1,200%以上も急騰したイーベイ (Nasdaq: EBAY) のような、まさに「掘り出し物」も存在したのです。

しかし、過去20年間では、状況は大きく異なっています。

現在、新規株式公開(IPO)の取引開始から6か月間の平均リターンは、-3.6%です。

しかも、データを詳しく掘り下げていくと状況はさらに悪化しています。

実際、株式公開から6か月後には、50%以上の企業が市場を下回るパフォーマンスとなっているのです。

そして、その大半は10%以上も市場を下回るパフォーマンス…

トランプ・メディア&テクノロジー・グループは2024年3月26日に取引を開始しましたが、それ以来6か月間で70%以上も下落し、S&P500種株価指数を大幅に下回っています。

私の個人的な投資の原則の一つは、「新規株式公開株を初日に購入しない」ということです。

データによると、少なくとも6か月間は待つべきであり、これには根本的な理由があります。

 

ロックアップ期間


IPO投資家が犯す最大の過ちは、ロックアップ期間を無視することです。

これはIPO後の一定期間、株式を売却できないことを指します。

これは、株式公開時の流動性を維持し、市場の安定性を保つために設けられています。

株式公開企業は通常、90日から180日のロックアップ期間を設けているのです。

ロックアップ期間の対象となるIPO前の投資家には、エンジェル投資家、ヘッジファンド、企業の役員などが含まれます。

そして、ロックアップ期間終了後の彼らの行動は、非常に重要な意味を持ちます。

だからこそ私は、エンジェル投資家や内部関係者がその意向を示してから、購入を待つようにしているのです。

彼らは株式を保有し続けるのか、それとも売却するのか、あるいはさらに株式を購入するのか?

しかし、ここで問題となるのは、市場は不確実性を嫌うということです。

そして、この種の不確実性が最近の新規株式公開を悩ませています。

これが、ロックアップ期間満了日までの間、あるいは満了直前に株価が下落する理由です。

ロックアップ期間満了日が近づくにつれ、株価は下落傾向になります。

これが、新規株式公開(IPO)が初年度に著しく業績不振に陥る主な理由です。

つまり、現在の投資家は、ロックアップ期間が終了すると内部関係者がすぐに株を売却すると想定することが多いのです。

そのため、今後起こるであろう株式の希薄化を避けたい投資家は、株を手放すのです。

トランプ・メディア&テクノロジー・グループのロックアップ期間の終了日は9月19日でした。

トランプ氏は1億1475万株を所有しており、株価が12ドル以上で引けた場合、その翌日以降、それらの株式を売却することが可能になります。

ここまで説明したことを全て知っていれば、ロックアップ期間終了日とその前後で、同社の株価が過去最低値を更新しても驚くことではありません

これは、2024年だけでなく、過去数十年にわたってIPOで何度も見られる傾向です。

新規公開株は辛抱強さが試される絶好の機会であることを忘れないでください。

ロックアップ期間終了までの6ヶ月間は待つことが賢明でしょう。

トランプ・メディア&テクノロジー・グループ  (Nasdaq: DJT)、CGオンコロジー (Nasdaq: CGON) 、アメリカン・ヘルスケアREIT (NYSE: AHR) 、CAVAグループ (NYSE: CAVA)など、どの銘柄であっても同じことです。

誇大な宣伝文句やFOMO(乗り遅れる恐怖)に惑わされてはいけません。

それは利益どころか、苦痛をもたらすことになるかもしれないからです。

しかし、忍耐は多くの場合、利益という形で報われることになるでしょう。

 

マシュー・カー

 

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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