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80年前のSF世界が 実現される現代社会

30年前、ロボット革命が始まりました。

私はたくさんのSFを読んで育ったのですが、その中で私のお気に入りはアイザック・アシモフのロボット短編小説です。

アシモフが描いたのは、人間と機械が肩を並べて働く未来。

そこでは、「陽電子頭脳」と呼ばれる機械によって動かされ、ロボット工学の三法則に従うロボットが反乱を起こす物語でした。

アシモフがこのような物語を書き始めたのは80年近く前のことです。

ただ、今の時代にロボットが出ていることに私は魅了されています。

これは、数年前からすでに起き始めていることです。

ロボットは私たちの家庭にいますし、工場にもいます。

病院や戦場で人間の兵士と一緒に戦ってもいるのです。

実際、ロボットや人工知能(AI)がなければ停止してしまう産業があります。

多くの投資家が見過ごしがちなこの産業は、20年近く前からAIに依存しているのです。

 

現実世界におけるAI


1990年、日本のコマツは自律型運搬システム(AHS)の開発に着手しました。

これはドライバーレスの採掘トラックに利用されるものです。

そして30年以上前、同社はこれを「採掘の未来」と認識していました。

2008年、AHSはチリのCODELCO社ガブリエラ・ミストラル銅鉱山で稼働を開始。

そして同年、コマツの“夢”がリオ・ティント (NYSE: RIO) で実現しました。

それ以来、この鉱山会社はオーストラリア全土の鉱山で、ドライバーレス車両と自律走行車両を採用しています。

覚えておいてほしいことは、これらは自動車やトラックでは無いということです。
何十万ポンドもある巨大な機械だということ。

しかも毎日ノンストップで動いているのです。

西オーストラリア州ピルバラにあるリオ・ティントの鉄鉱石鉱山では、現場に運転手はあまりいません。

その代わりに、同社は作業の多くをロボットと自律走行車に任せているのです。

そのために同社は130台以上の自律走行トラックを運行しています。

そして2016年、同社はすべての鉄鉱石をドライバーレスのトラックと車両で輸送する世界初の企業となりました。

2018年以降、AHSトラック1台あたりの稼働時間は従来のトラックより700時間長く、一方でコストは15%低いと推定されています。

しかし、リオ・ティントの産業用ロボット事業はこれだけでは終わりません。

同社は世界最大級の自律型ドリルフリートも採用しており、7つの採掘場で5つのドリルプラットフォームに40台の自律型ドリルを使用しています。

そして2019年、リオは世界初の自動化された重鉄道ネットワーク、AutoHaulを立ち上げました。

*出所:リオ・ティント ホームページ

 
これには1,700キロメートルを走る200両以上の自律走行機関車が含まれ、1日当たり100万トンの鉄鉱石を輸送できるのです。

現在、リオ・ティントの採掘用トラックの85%、および列車の80%が無人運転となっています。

また、コマツのAHSはオーストラリアとチリで操業を開始して以来、20億トン以上の原料を輸送してきました。

これが現代の採掘なのです。

 

迫り来る人手不足をロボットが緩和する


自律走行車は、オーストラリア西部の鉄鉱石鉱山だけでなく、一般的になりつつあります。

実際、コマツのライバルであるキャタピラー (NYSE: CAT) は、世界中で600台以上の自律走行車を稼働させています。

そして、約60億トンの資材を運搬しているのです。

ほとんどの人が気づいていないのは、鉱業はロボット革命が始まるのにうってつけの産業だということ。

私たちの現代世界は、銅、リチウム、レアアースのような重要な素材を必要としていますが、これらの素材を見つけるのは難しくなり、採掘するのはさらに難しくなっています。

実際、2030年までには、世界の銅鉱山は世界の需要の80%しか満たせなくなると推定されているのです。

つまり、銅鉱山にとって生産レベルを維持することはますます難しくなっています。

年中無休、24時間365日、フル稼働しなければ実現が難しいのです。

これは人間だけで実現するのは、なかなか難しいことでしょう。

人間の労働力は鉱山の操業コストの43%を占めています。

ロボットや自律走行車に移行することで、鉱山は安全性と生産性を向上させながら、人員を削減することができるのです。

そして、AI、ロボット、オートメーションは反復作業を得意としています。

作業員が同じことを何度も何度も繰り返す必要がある仕事なら、自動化するのは簡単です。

トラックは同じルートを何度も走りますし、これらは自律走行車にとって、最も実行しやすい仕事と言えるでしょう。

これが、鉱業や石油・ガス産業で自律走行車が今以上に普及していく可能性がある理由です。

事実、彼らはすでに動き始めています。

そして間もなく、他の多くの仕事に従事するロボットが増えていくことでしょう。

危険で単調な仕事が自動化され、新たな冒険を追求する自由が与えられる世界がやってくるのです。

これこそ、アシモフが書き、思い描いた世界なのです。

 

マシュー・カー

 

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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