復讐の夏

私は2022年と2023年の夏の旅行シーズンを「復讐の夏」と名づけました。

そして、2022年の夏、私はアメリカ・ホテル・ロッジング協会が、10人の米国人のうち7人近くが旅行に対する感謝の気持ちを持つようになったと発表したことを紹介しました。

パンデミックの間、旅行業界は壊滅的な打撃を受け、いくつかの会社は倒産したのです。

そして、クルーズラインを運営するカーニバル・コーポレーション 、ロイヤル・カリビアン 、ノルウェージャン・クルーズ・ラインズ といった企業の株価は、過去数十年で最低の水準まで暴落。

航空会社も打撃を受け、アメリカン航空、デルタ航空、サウスウエスト航空、ユナイテッド航空 は2013年以来の水準まで急速に下落しました。

消費者は自分が使いたいようにお金が使えなくなると、感情的な反応が引き起こされることになります。

パンデミックで溜まったフラストレーションが“爆発”するときがやってきたのです。

米国では、2024年の夏の旅行シーズンが華々しく幕を開けました。

メモリアルデー（戦没者追悼記念日）の週末、44人近くの米国人が旅に出て、運輸保安局（TSA）は5月24日、過去最高の295万人の乗客を検査しました。

7月4日には、記録的な7,100万人の旅行者が飛行機を利用。

世界旅行ツーリズム協会（WTTC）は、2024年が記録的な年になると予測しているのです。

実際、WTTCは今年の世界観光の経済効果は11兆ドルを超えると予測しています。

これは前回の記録より7700億ドルも多い水準です。

世界中に渦巻く経済的・政治的不安を考慮すると、観光業は明るい話題であり続けています。

そして、フランスのパリで開催される2024年夏季オリンピックのような大規模なイベントが、この傾向に拍車をかけているのです。

実際、200万人の外国人を含む1,500万人がこの大会に足を運ぶと推定されています。

データから見れば、旅行株は2024年に絶好調となりそうです。

しかし、年初に旅行株に飛びついた投資家は、なかなか上手くいかない状態が続いています。

レジャーの空は暗い

年初来、旅行株は下落傾向にあります。

実際、業界の主要銘柄のうち、株価をプラスに保っているのはジェットブルー航空のみです。

しかし、私が2024年の旅行会社に慎重なのは、根本的な理由があります。

航空会社の予測では、2024年のフライト数は4,010万便。

これは2023年比でほぼ9％の増加であり、2020年の最低値から137％の増加です。

しかし、航空会社はインフレによりコスト増に悩んでおり、競合間で価格競争が繰り広げられているのです。

そのため、価格コントロールが難しくなっています。

例えば、サウスウエスト航空は第2四半期に74億ドルという記録的な収益を達成しました。

しかし、利用可能座席あたりの利益（RASM）は3.8％減少したのです。

これは営業費用が11.4％増加したことが原因です。

そして、デルタ航空は第2四半期決算でサウスウエスト航空と同じような報告しました。

同社は、航空券価格の下落、燃料費の上昇、運航コストの上昇が利益を圧迫していると述べました。

ユナイテッド航空は、過去どの第2四半期よりも多くの旅客を輸送したため、輸送能力が8.3％増加したと報告。

しかし、RASMは2.4％減少したのです。

アメリカン航空とサウスウエスト航空はすでに定員削減を発表しています。

特に夏の旅行シーズンが秋に近づくにつれ冷え込み始めるため、さらに多くの航空会社の不振が続くことになるでしょう。

このように、世界中で記録的な数の人々が空路や水路を利用しているにも関わらず、旅行業界で晴れの日を楽しんでいる企業はほとんどありません。

世界中の旅行会社がインフレに苦しんでいるのです。

しかし、旅行業界のある分野では、年初来で2桁のリターンを上げるなど、利益を上げている企業もあります。

そして、今年一番の繁忙期を迎えようとしているのです。

それはまた別の機会にお話したいと思います。

マシュー・カー

〜編集部〜

半導体大手エヌビディアのファンCEOが、

「これは自動車と同じぐらい普及する。そして、100年後にあらゆる生活の場面に登場するのはあたり前になっている」

と発言している分野。

これは、半導体でもなければ、AIでもありません。

一体、何の分野なのでしょうか？

そして、この市場の重要なイベントが本日7月24日に実施される予定なのですが…

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