投資情報

ハイテク企業は “優秀な投資家”?

成功した投資家から話を聞きたいと思っている人は多いのではないでしょうか。

ウォーレン・バフェット氏、ビル・アックマン氏、ピーター・リンチ氏、ラリー・フィンク氏、孫正義氏、ジョン・テンプルトン氏、キャシー・ウッド氏といった投資家たちです。

それぞれ、いわばカルト的な人気を誇る投資家たちと言えるでしょう。

多くはファンドや持ち株会社を運営しています。

バークシャー・ハサウェイ、パーシング・スクエア、ブラックロック、フランクリン・テンプルトン、ソフトバンク、アーク・イノベーションなど、名だたる企業です。

しかし、多くの人に人気がある企業もまた、精通した投資家であることを忘れてはいけません。

例えば、アルファベット、アップル、マイクロソフト、エヌビディアのようなハイテク企業は、競合他社や人気のブランド、ハイテク新興企業を買収することに熱心な企業です。

そして、このような大手企業が小さなライバルを無くすため、あるいは将来の協力者を獲得するために数十億ドルを投じ始めたら、ウォール街の投資家たちは良くも悪くも注目せざるを得ません。

なぜなら、彼らはその業界の最先端にいるからです。

そして、彼らはしばしば、市場が次の大きなものを知るずっと前から、次の大きなものを見抜いています。

 

買収による成長

誰もがその可能性を認識する何年も前から、ゲームチェンジャーは存在しているのです。

例えば、マイクロソフトが2019年にOpenAIに10億ドルを出資したように…

この巨大ハイテク企業はChatGPTが大きな話題となる遥か前から、ChatGPTクリエイターと提携していました。

そして、私が2019年にこの話を調査していたとき、ほとんど投資家は見向きもしませんでした。

ただ、マイクロソフトの株価はそれ以来204%上昇しているのです。

このことを念頭に置いて、現在の“AI大富豪メーカー”であるエヌビディアが、積極的な買収と投資を通じて頭角を現してきたことを忘れてはいけません。

エヌビディアは過去20年間で、3dfx Interactive、MediaQ、Hybrid Graphics、Mellanox Technologiesといった有名企業を買収してきました。

また、ライバルのアーム・ホールディングスを買収しようとしたこともありましたが、半導体分野の競争維持のために当局に阻止されたこともあります。

そして、エヌビディアは現在、40社以上に投資しており、複数の上場企業の株式も保有しているのです。

その中には、個人投資家を驚かせるようなものもあれば、エヌビディアの重大発表を何年も前から予測する可能性があるものも含まれています。

 

エヌビディアが投資する企業に注目すべき理由とは?

2024年3月末時点で、エヌビディアは3億3270万ドルの株式ポジションを保有していました。

そして現在、エヌビディアが保有する最大の株式は競合のアーム・ホールディングス (Nasdaq: ARM) です。

同社は196万株強を保有しています。

率直に言って、この投資は好調と言えるでしょう。

アーム・ホールディングスの株価は年初来で80%以上上昇しているからです。

また、半導体企業の次に大きな株式ポジションを持つのは、リカーシオン・ファーマシューティカルズ (NASDAQ:RXRX) です。

このヘルスケア新興企業は、AIの力を利用して希少疾患の治療薬の発見を加速させています。

2023年7月、エヌビディアは5000万ドルを投資し、リカーシオン社の770万株を取得しました。

この発表がされてから、同社の株価は大きく上昇しました。

ただ、それ以来株価は上昇せず、2024年には10%以上下落しています。

また、エヌビディアは別のヘルスケアAI採用企業であるナノエックス・イメージング (Nasdaq: NNOX) の5万9000株を保有しています。

この企業はAIを使って医療画像を検査し、慢性的な状態や病気を特定しています。

そして、株価は今年に入ってから27%近く上昇しているのです。

しかし、エヌビディアが2024年に最大の利益を獲得する株式は、サウンド・ハウンドAI (Nasdaq: SOUN) と言えるでしょう。

この企業は、私が1年以上にわたって調査してきた企業です。

そして3月末、エヌビディアは同社に少額出資したと発表しました。

SoundHoundは、音声アシスタントがより会話的、あるいは「人間的」な方法で対話できるようにするAIプラットフォーム、Houndifyを提供しています。

Houndifyは、Speech-to-Meaningテクノロジーとディープ・ミーニング・アンダースタンディング・テクノロジーによってこれを実現します。

これは簡単に言えば、音声アシスタントAIがユーザーの意図を理解することで、より複雑な質問に答えることができるようになるものです。

SoundHoundはすでに、ヒュンダイ、メルセデス・ベンツ、パンドラ、クアルコム、ネットフリックス、スナップ、ブロック、その他いくつかの企業と提携しています。

そして、SoundHoundの株価は今年累計で130%上昇しているのです。

ただ、今日私が一番伝えたかった話はここからです。

エヌビディアが2年前に行ったもう一つの投資先についてです。

それは世間ではあまり知られていない、サーブ・ロボティクス (Nasdaq: SERV) の株式1000万ドルを取得したことです。

この企業は自律型ロボットによる食品配達会社で、以前は西海岸の食品配達大手ポストメイツの一部門でした。

それから約2年後、エヌビディアは最新の画期的なプロジェクトを発表しました。

ジェンセン・フアンCEOが「これはエヌビディアの魂だと述べたものです。
(これは、アレックス・グリーンが人生を変えるような利益をもたらす可能性があると信じているものでもあります。)

ウォール街の伝説は、ファンによって熱心にフォローされます。

彼らの実績は先見の明の証明とも言えるでしょう。

しかし、アップル、アルファベット、マイクロソフト、エヌビディアのような偉大な企業は、偉大な頭脳つまり経営者によって率いられています。

そして、彼らがどこに資金を投入しているのか、私たち投資家も注目しておくべきでしょう。

マシュー・カー

 
 

〜編集部〜

マシューも執筆の一部を担当するOxford インカム・レター。

 

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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