トレンド投資

【原油サイクル】 原油価格のピークは◯月

今日お話ししたいのは、

ハイテク株でもなく、海外の優良株でもなく、ビットコインでもありません。

古き良きアセットである原油についてです。

年初来で米国産原油は22%以上上昇し、S&P500種株価指数を3倍近く上回っています。

そしてここ7か月で最高値を更新しているのです。

しかし、ほとんどの投資家が気づいていないことなのですが、原油価格は季節的な波で動いています

これを理解すれば、この動きを利用して大きな利益を狙うことができるでしょう。

私は何十年もの間、原油とガソリン市場をリサーチしてきました。 これからお見せする二つの図は、米国産原油についての考え方を変えることになるでしょう。 まず一つ目は、1986年から今日までの原油1バレルの月平均価格です。
 

 
なだらかの丘のようになっていますね。

通常、原油価格は1月から上昇し7月にピークを迎えた後、年の後半には下落に転じる傾向があるのです。

過去38年間の1月から7月までの原油価格の平均上昇率は8.64%。

一方、7月から12月までの原油価格の平均下落率は1.48%です。

これには大きな理由があります。

それは、夏の旅行シーズンです。

このシーズンはメモリアルデーの週末(5月最後の週末)から始まります。

この時期は、空港や道路が最も混雑する時期の一つ。

実際、2023年には4,200万人以上の米国人が自宅から50マイル(約80Km)以上離れた場所に出かけていたデータが出ています。

そのため、多くのガソリンが消費され、価格が上昇する傾向があるのです。
  
そして、もう一つ注目すべき統計データがあります。

それが、米国の製油所の稼働率です。

原油はガソリン、ディーゼル、ジェット燃料に変換する必要がありますが、その際に必要なものが製油所。

そして、これは月平均の製油所稼働率を表した図。
 

 
この図を見ると、製油所が毎月平均してどの程度稼働しているかを把握することができます。

稼働率が高ければ高いほど、製油所が消費している原油などの原材料の量が多いということです

そして、この図のパターンは毎年繰り返されているのです。

赤丸で囲った2つの部分は製油所のメンテナンス・シーズン。

これは毎年、春と秋に同じ時期に起こります。

この時期に近づくと、米国の製油所は稼働している燃料の量を減らし始めるのです。

製油所は夏用燃料(春)と冬用燃料(秋)を生産する前に、一時的に操業を停止し工場を洗浄しなければならないからです。

これを見ると、米国の製油所は6月、7月、8月に最大の能力を発揮すると言えるでしょう。

ちょうど夏の旅行シーズンのピークと同じ時期ですね。

製油所の稼働率が1%上がるごとに、原油需要は1日当たり約10万バレル(bpd)増加します。

需要が高まるということは、価格は高騰することになりますよね。

一方、需要が減少すると価格は下落することになります。

すべての資産には波があると言えますが、コモディティはその中でも特に波が大きいのです。

多くの米国人は子供の頃、夏休みの間、数え切れないほどの時間を休暇の行き帰りに費やしてきました。

数年後、その経験が投資に役立つとは、当時は誰も考えなかったでしょう。

その経験を自分のポートフォリオに生かし、原油の季節的なピークとそれに伴う暴落に備えることができるのです。

マシュー・カー

P.S.
マシューも執筆の一部を担当するOxford インカム・レター。

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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