トレンド投資

今、市場から抜け出すのは正解か?

7月13日、米国における6月の消費者物価指数(CPI)が発表されました。

その前年同月比の伸び率は、市場予想を上回り、
約40年半ぶりの高い伸びです。

CPIは、消費者が購入するモノやサービスなどの物価の変動を現す指数で、
今回のこの動きは物価の伸びを反映したものと言えます。

このようなニュースを見ていると、

「今後の市場はどうなるのか?」
「株式投資を続けていいのか?」

と不安になるかも知れません。

そのような時は、一旦深呼吸をして、
一旦過去を振り返ってみるのがいいと思います。

なぜなら、「現在起きていることが引き起こす結果」を知ることはできませんが、
「過去に起きたことが引き起こした結果」を知ることはできるからです。

まず、2016年1月の市場です。

ダウ工業株30種平均(ダウ指数)は12月29日から1月20日までの期間で、
10%以上も下落しました。
ダウ工業株30株平均

また、ラッセル2000*の小型株は、大暴落していました。

*米国の代表的な株価指数の1つで、小型株を分析する際に参照されることが多い

それらの銘柄は弱気相場の中にあり、
2015年6月の高値から20%以上下落したのです。

投資家は恐れ慄いていました。

このような時、投資家心理を知る参考になるのが、米国個人投資家協会(AAII)のセンチメント調査です。

これは会員の個人投資家に対して毎週「6ヶ月後に株価は上がるかどうか」を質問し、
その週での投資家心理を分析するというもの。

調査に参加した投資家たちは、その回答を

・強気(6ヶ月後に株価は上がる)
・中立(6ヶ月後の株価は変わらない)
・弱気(6ヶ月後に株価は下がる)

の3つから選びます。

そして、当時のセンチメント調査の結果を見てみると、
緊張の高まりを示すように、全回答の中で、「強気」の割合は17.9%となりました。
これは、10年ぶりの低水準です。

つまり、今後6か月で株式市場が上向くと思った投資家は、18%未満だったということ。
それは、2015年10月末の「強気」の数値である、40.4%を大きく下回っています。

また、2015年末は原油価格も暴落し、石油輸出国機構(OPEC)が
市場への原油の供給量を増加させた結果、
米国の原油生産者は倒産に追い込まれ、業績も悪化しました。

当時、今後を悲観する空気に満ちていたことがわかると思います。

しかし、市場の冷静な判断がそれに勝り、
ダウ指数は2016年2月11日に底を打ちます。

そして、その後急騰しました。

次は、2018年12月です。

当時は米国と中国の間で、貿易戦争が起きていました。

その影響が市場に及び、ダウ指数は10月3日から12月24日にかけて、
18.5%以上も下落しました。

ダウ工業株30株平均
投資家たちはパニックに陥ったことでしょう。

実際、センチメント調査を見てみると、10月4日の週から12月13日の週までで、
「強気」の割合は半分以上落ち込みました。

しかしその後、市場はクリスマス前に底を打ちます。

結局、2018年終盤に暴落した株価は、
2019年には元に戻ったのです。

では、現在に視点を戻してみましょう。

センチメント調査の結果をみると、
今年に入ってから、
「強気」の割合は40%を下回り続けています。

AAIIセンチメント調査での強度の割合

実際、耳に入ってくるニュースは、
インフレや景気後退への懸念など不安になるようなものばかり。

そのため、投資家たちの多くが将来を悲観しているのも無理はありません。

しかし、過去を振り返ってみると、
市場は常に悪い時期と良い時期を繰り返しながら
成長してきたことがわかると思います。

ですので、焦って市場から抜け出すべきではないと思います。

冷静さを保ち、長期的な視点を持ち続けましょう。

 

~編集部コメント~

冷静さを保つこと、長期的視点を持ち続けること、
これらは投資をする上で非常に大切です。

もしあなたが
「そうは言っても、株価が下がると不安になってしまう…」
と思うのなら…

おすすめの投資戦略があります。

こちら

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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