トレンド投資

投資家は市場のブームに飛びつくべきか?

市場は、常に変化し続けています。
なので、 ETF(上場投資信託)や暗号資産のような新しい投資対象は続々と生まれます。

また、ワクワクするような、これまで見たことのない投資の機会に出会うこともあります。

そして、過去数年にわたり、私たちは市場において“ある分野”がブームになっているのを見てきました。

その分野に正しく投資をすることができれば、大きな利益を狙えるでしょう。

しかし、事前にその分野について勉強をしないまま、
勢いで飛び込んでしまうと…

投資資金が消えてしまいかねません。

今日は“ある分野”に触れながら、
投資をする上で1番大切なことをお話ししようと思います。

 

ある分野とは?


“ある分野”とは、IPO(新規公開株)。

つまり、新規に上場し、誰でも株取引ができるようになった銘柄のことです。

2012年に制定された法律の一つであるJOBS法(中小企業や新興企業のIPOを促進する法律)により、中小企業の株式上場への門戸が広がりました。

このJOBS法によって、
米国証券法によりEGC(新興成長企業)と定義された企業に対する
規制が緩和されたのです。

つまり、上場のハードルが下がったということです。

そして、これが近年の動きの火付け役となり、
昨年、記録的なペースで企業が新規上場をしました。

IPO数の推移(1994〜2021年)

これは、過去に新規上場した企業数の推移を表した図ですが、
これを見ると、2021年の上場数はおよそ1,000社。

2000年以降で最も多く、そして1年間のIPOの数が過去最も多かった1996年を上回りました。

しかし、ここからが本題です。

新しいと言うだけで、その後着実に成長していくとは限りません。

これが、非常に多くの投資家が勘違いをしているところです。

どういうことかというと、
ある企業が上場すると、
投資家たちは我先にとその株を買おうとするのです。

彼らの考えはこうです。

「新規上場をするということは、最も革新的で刺激的な企業だ…」
「つまり、市場で人気を集めるに違いない…」
「きっと株価はこの後大幅に上昇する…」

しかし、それは間違っていることが多いのです。

金融の本場、ウォール街では、そのような考え方はほとんどありません。

少なくとも、一般投資家に対して、
そのような解説がされることはないはずです。

私は、IPOの上場初日に投資する人たちのことを「初日投資家」と呼んでいます。

しかし、近年の市場における、短期間のパフォーマンスで言うと、
彼らが損失を出しがちなのは間違いないでしょう。

 

IPOヘの投資で儲かった時代も…


しかし、1980年代や1990年代では、IPOへの投資によって、
多くの大富豪が簡単に生まれました。

しかも、投資家はどのIPOに投資をするかを考える必要がありませんでした。

投資先がIPOでさえあれば、ほとんどの場合で利益を得ることができたのです。

実際、1990年から1999年までのIPOの最初の6か月間の平均リターンは、12.9%でした。

それは、同期間における同業他社の平均リターンの約2倍の数値です。

さらに、1980年代においては、IPOの最初の6か月間の平均リターンは、
そのさらに3.5倍でした。

投資家たちは、新規上場というチャンスを逃すまいと、
競ってIPOへ投資をしたことでしょう。

例えば、イーベイ(Nasdaq:EBAY)という企業は、
上場後の6か月間で、株価はなんと1,200%以上も上昇したのです。

イーベイの株価推移(1998年9月〜1999年5月)

しかし、過去20年間でその状況は様変わりしました。

これは、先程お話しした、新興成長企業への規制を緩和が理由の1つです。

というのも、上昇した新興成長企業が
過去の企業ほど強固な財務基盤があるとは限りません。

そのため、その後も利益を出し
株価が上昇し続けるとは限らないのです。

実際、IPO後の最初の6か月の平均リターンは、マイナス1.9%
といったデータが出ています。

1980年代から1990年代にかけての爆発的なリターンと比べると、大幅に下落しています。

それだけではありません。

同業他社の同期間の平均リターンと比較しても、6.2%低く、
市場平均も下回っているのです。

そして、さらにデータを掘り下げて見ていくと、その厳しい現実がより鮮明になります。

 

1年後に後悔しないために


上場初日のIPOの株価の大幅な上昇は、主要金融メディアによって大きく報じられます。
そして、それを見た投資家たちは熱狂し、その銘柄へ投資をするのです。

しかし、厳しい現実を突きつけるような統計があります。

上場から6か月も経つと、IPOのうちの50%の企業の株価が、市場平均を下回るのです。
しかも、その中の多くが10%以上も平均を下回ります。

そして、1年が経過すると、市場平均を10%以上、下回る銘柄の数は
全体の半数以上にまで増えてしまうのです。

つまり、現在のIPOは、市場平均と比べても、着実に株価を上昇させる銘柄とは言えません。

そして、時間が経つにつれて、パフォーマンスという点ではさらに明暗が分かれていきます。

これはIPOした企業のリターンが日数の経過とともにどのように推移していったのか?を表したグラフなのですが…

IPO後のリターン配分

つまり、10社中リターンがプラスになっているのは3社しかないということを示しています。

そう、IPOで成功した企業と成功していない企業の差はこのようにどんどん開いていくのです。

以前までのIPO投資は、ただそれに投資をするだけでした。
実際、ほとんどの場合でそれは上手くいきました。

しかし、今はそうはいきません。

IPO投資で成功するためには、選択をすること、

つまり、見込みのある企業とない企業を選別する戦略が必要とされるのです。

しかし、現実では、IPOに上場初日に投資をし、
大きな損をしてしまう人は多いのです。

彼らは、IPOに関する加熱した報道を見て、
直感的に株を購入してしまっています。

そしてこれは、IPO投資に限った話ではありません。

市場のニュースや、株価の激しい値動きなどを見て、
直感的な投資をしてしまう…

これは投資家がよく陥ってしまうミスです。

投資で成功するためには、
落ち着いて、長期的な視点で市場を見ること。
これが1番大切なのです。

ハイリターンを願って。

マシュー

~編集部コメント~

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford Club チーフ・トレンド・ストラテジスト。金融業界20年の経験を持つトレンド投資の専門家。マシューの専門知識は石油・ガスや小売といった伝統的な産業から、5G、新興技術、サイバーセキュリティ、大麻といった最先端の市場まで多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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