トレンド投資

将来の資産を守る3つの投資戦略

あなたはどのような老後を過ごしたいですか?

退職し、趣味や家族との時間をゆっくりと過ごす…

このような生活が理想の1つだと思います。

しかし、現実にはその理想が叶えられない人が増えています。

今年の1月、アメリカでは退職した人のうちの2.8%が復職をしました。
そして、この傾向は1年間で高まりつつあるものです。

なぜ彼らは復職をしたのでしょうか?

その理由は2つあります。

  • 市場の変動率の高さ
  • 過去40年間で最も急速なインフレ率の上昇

そして、これらは現在、アメリカで暮らす人たちの大きな負担になっています。

 

“車の販売店”にとって素晴らしい1年


インフレはもはや一過性のものではありません。
今もインフレの渦中と言えます。
2月、消費者物価指数(CPI)は7.9%上がりました。
これは1982年1月以来、最大の上昇率です。

 

消費者物価指数 12ヶ月間の変化率の推移

このような上昇をアメリカ人のほとんどは経験をしたことがないでしょう。

特にガソリン価格はこの月、国内の多くの地域で6.6%も上昇しました。
これは過去最高の高値で、インフレが日常生活に与える影響の1つとなっています。

しかし、これはその影響の氷山の一角に過ぎません。

消費者市場を見渡してみましょう。
すると、

  • 現在いかに供給が滞っているのか?
  • 現在いかに消費者が苦しい思いをしているのか?

がよくわかります。

例えば、自動車です。
自動車調査会社Edmunds社の2月の調査によると、新車の82%がメーカー希望小売価格よりも高く販売されていました。

書き間違いではないか?と思われたかもしれませんが…
現実に、10人中8人のアメリカ人がメーカー希望小売価格よりも高い金額で新車を購入したのです。

では、ここ2年間の同月と比べてみましょう。
メーカー希望小売価格を上回る金額で販売されたのは、
2021年はわずか2.8%。
2020年ではほんの0.3%でした。
今年は車を売るのには素晴らしいタイミングだと言えるでしょう。

しかし、ここからが本題です。
2月の消費者物価指数(CPI)は、他のインフレ統計と同様、ロシアのウクライナ侵攻以前に記録されたものです。
つまり、現在の状況はさらに悪いのです。

実際に、2022年の年初からの原油価格のチャートを見てみましょう。

 

アメリカの原油価格の推移

アメリカはロシアへの制裁として、ロシアからの原油、液化天然ガス、石炭の輸入を禁止しました。
結果として、アメリカ国内の原油価格は1バレル当たり140ドル近くにまで跳ね上がりました。
そして、インフレ率は上昇し、自動車から、ガソリン、食料品、ペット用品、さらにはトイレットペーパーのようなものまでが影響を受けています。

当然、その中には生活必需品もあります。

日常が混乱し、将来の資産形成のこと、投資のことを落ち着いて考えられなくなっている人も多いでしょう。

では、こんな時はどのような投資をすればいいのでしょうか?

実は、このようなインフレ下においても、リスクを抑えて投資を進めていく方法があります。

 

インフレから資産を守る3つの方法


1つ目は「金に投資をすること」です。

金は、インフレが進んでいる時に「安全な資産」として最初に考えられる投資先の1つです。
実際、金は過去1年でS&P500種株価指数に大差をつけてアウトパフォーム(比較する指標に対して、一定期間の収益率が上回っていること)しています。

 

金とS&P500種株価指数の比較
2022年の市場は不安定です。
さらに、その傾向は過去1ヶ月でさらに強まっています。
このような状況では、金はまさに「安全な資産」と言えるでしょう。

そして歴史的に、連邦準備制度理事会(FRB)が利上げをすると、金のパフォーマンスが良くなる傾向があります。

しかし、金には配当金や利回りのようなものはありません。
つまり、「持っているだけで何かリターンを得られる投資先ではない」ということに注意が必要です。

2つ目は「コモディティ(商品)に投資をすること」です。

例えば原油は、年初から60%以上も上昇しています。
しかも、これは最近の最高値ではありません。
そこから下落した後の数値です。

また、小麦は40%以上、大豆油は30%以上も上昇しました。
そして、豚の赤身肉、トウモロコシ、パラジウムの上昇値はすべて25%以上になっています。

それも、多くの株価指数が下落しているのにも関わらずです。

このように、コモディティ(商品)価格とインフレは密接に関わっています。
例えば、ガソリンや食料品の価格の上昇といった日用品の価格上昇は、インフレによって引き起こされます。
また、価格の上昇がさらにインフレを加速させることもあります。

つまり、インフレ下でコモディティに投資をすることは理にかなっているのです。

実際、このセクター(銘柄の特性で分類したグループ)の銘柄は52週高値(過去約1年で取引された株価の最高値)を更新したばかりで、S&P500種株価指数や金をアウトパフォームしています。

 

各セクターの上昇率の推移の比較

3つ目は「ポートフォリオに株式と債券を含めること」です。

これはインフレ時にリスクを最小限に抑える、いい方法です。
この戦略は見過ごされがちですが、この組み合わせはポートフォリオの安全性を高めてくれるでしょう。

 

将来の資産を守るために


022年の市場の変動、そして40年間で最も急速なインフレ率の上昇。
これらは、多くのアメリカ人の「経済的な安全」を脅かしています。
特に既に退職をした人たちは不安に駆られているでしょう。

実際、退職後に再び働き始めるアメリカ人の数はますます増えています。
もちろん、彼らは仕事をしたいのではありません。
仕事をしなければいけないのです。

そしてこれは何もアメリカに限ったことではありません。
日本でもインフレ、特にスタグフレーション(経済が停滞しているのに物価が継続的に上昇していくこと)の可能性はあります。

でも、安心してください。
インフレが進む中でも、あなたの資産を守る方法があります。
それは先ほども言ったように、
「金」、「コモディティ」、「株式」、「債券」
に分散して投資をすることです。

そして、このような分散投資が有効なのはインフレ下だけではありません。
市場のあらゆる局面において、
あなたのポートフォリオ、そして資産を守ってくれることでしょう。
ハイリターンを願って。

マシュー

~編集部コメント~

分散投資をすれば、例え株式市場が不調でも、他の市場がそれをカバーしてくれることを狙えます。
それによって資産が守られるのです。

しかし、そうは言っても、持ち株の価格が下落すれば、不安な気持ちになるかもしれません。

では、株価の動きを気にしないでいい投資戦略があるとしたらどうでしょうか?

その戦略をこちらから知ることができます。

P.S
この戦略なら「株を一度買ったらほったらかし」でいいんです。

→続きを読む

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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