投資家が知るべき3つの弱気相場
質問です。
投資をスポーツで例えると何に近いと思いますか?
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いかがでしょうか?
これは私の考えですが、投資は「マラソン」に近いと思っています。
誤解しないで頂きたいのは、決して「短距離走」ではないということです。
今年の市場を見ていると、まるでジェットコースターに揺られているような気分になりますが、
落ち着いてください。
なぜならこれは、長いマラソンの途中の出来事に過ぎないからです。
そしてこの気持ちを落ち着かせてくれるのは、世界の大富豪や経験豊富な投資家が残してきた、数多くの言葉でしょう。
それらは、このような荒れ狂う市場を乗り越えるヒントを与えてくれます。
少しだけその言葉をご紹介しましょう。
「一番の買い時は、道路に血があるときだ。」
「大勢がどん欲な時に恐怖心を抱き、大勢が恐怖心を抱いている時にどん欲であれ。」
「終わりは近くない。人々と市場は、最悪の状況にも適応できる。」
どれも、状況が悪かったとしても悲観せずに将来を見据えている言葉です。
つまり、たとえ急落の真っ只中であっても、私たちは「未来のために投資をしている」ということを肝に銘じておかなければならないということです。
私たちが投資をするのは、今日のためではありません。
そして、明日のためでもありません。
それは何か月後、または何年か後のためなのです。
限界が迫っていた
2年前の2020年3月。市場が歴史的にも急速に下落しました。
S&P500種株価指数は、わずか22日間で30%下落したのです。
そしてその時、投資家たちは新型コロナウィルス感染症が市場に与える影響について、懸命に考えたことでしょう。
当時、私は「この弱気相場は短命だから、パニックになってはいけない」と発信し続けていました。
実際、弱気相場は短期で、それも“歴史的に最も”短期で終わりました。
さて、現在でもこのパンデミックは我々の悩みの種です。
では、この2年間で何が変わったのでしょうか?
それは、投資家にとっての悩みの種が、新型コロナウイルスだけではなくなったことです。
新たな悩みの種、それはインフレです。
今年は過去40年間でもっとも早いペースでインフレが進んでいます。
年始以来の下降トレンドは、これが原因の1つでしょう。
この長引くパンデミック、それを発端とした世界的なサプライチェーンの停滞は、市場の成長の妨げとなり、インフレ圧力に拍車をかけています。
また、人々が「人手不足」などによる労働環境の悪化を理由に大勢離職する「大辞職」が起き、それがサプライチェーンの問題をより深刻化させているという話すらあります。
もちろん、ロシアによるウクライナ侵攻も大きな影響を与えています。
ロシアに対する、世界中からの非難と制裁により、商品価格が高騰しました。
結果、それは、インフレ圧力がさらに増す一因となったのです。
また、金や米国債などの安全資産への逃避にも拍車をかけています。
3月16日、連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレを引き締めるために
金利の引き上げを発表しました。
つまり、限界が近いのです。
時間通りの調整
「今回は違う」
これは、投資をする上で、大きな損失に繋がりかねない危険な言葉の1つです。
もちろん2022年の市場の動きは、2020年のものと同じではありません。
しかし、この2つには共通点があります。
今年は市場が混乱しています。
下のチャートを見ると、それがよくわかるでしょう。
これは2週間ほど前までのチャートですが、
この時、ナスダック総合指数は、年初から20%下落していました。
そして、S&P500種株価指数は2020年以来の調整局面(株価の値上がりが続いた後、一時的に下落するような局面)にあり、ダウ指数も同じような状態でした。
そして現在、市場は持ち直してきました。
しかし、それまではまさに調整局面の底値とも言える状態にあったのです。
では、このような調整局面から何を予測できるのでしょうか?
歴史的に見て、どの市場でもおよそ2年8か月毎に平均10%の調整(株価が大きく上昇もしくは、下落した後に適正な価格に戻ろうとする動き)が起きます。
「どの市場でも」と聞くと、大袈裟に思われるかもしれません。
しかし、実際に多くの市場においてこの傾向は共通して起きていることなのです。
そして、調整局面では、株価は4か月間で平均13.7%下落します。
今年S&P500種株価指数が最高値となったのは、1月3日でしたが、
実際2週間ほど前は、その最高値の13%ほど下がった数値でした。
そして、これまでの傾向によると、調整後の下落から元のレベルまで回復するのに、およそ4か月かかります。
つまり、2週間ほど前が調整局面の底値だったと考えると、S&P500種株価指数は7月まで完全に元に戻らないということです。
ではもし仮に、このような下落が続いたらどうなるのでしょうか?
3種類の弱気相場
下落が続いてしまうと、弱気相場に入る可能性があります。
弱気相場には
1. 構造的な弱気相場
2. 循環的な弱気相場
3. イベント由来の弱気相場
の3種類があり、それぞれ異なった性質を持ちます。
1. 構造的な弱気相場
構造的な弱気相場は、金融バブルや構造的な不均衡が原因です。
例えば、2000年のドットコム・バブル(1990年代前期から2000年代初期にかけてIT関連企業の銘柄が異常な高値になったバブル)や2008年の金融危機(リーマン・ショックなどによって連鎖的に起きた金融危機)などが挙げられます。
実は、3つの弱気相場で1番避けたいのはこれなのです。
なぜなら、下落が大きく、回復までに長い時間がかかる傾向にあるからです。
この相場の場合、平均3年半続き、市場は57%前後下落します。
そして、市場が回復するまで、9年以上かかる傾向があるのです。
2. 循環的な弱気相場
次の循環的弱気相場は、金利上昇、差し迫った景気後退、減益の影響によって始まります。
これは景気循環の一部と言えます。
株価は、平均27か月にわたり31%ほど下落し、50か月ほどかけて回復する傾向があります。
3. イベント由来の弱気相場
そして、イベント由来の弱気相場は、1973年のオイルショックや新型コロナウイルス感染症のパンデミック、そしてロシアのウクライナ侵攻のような外的な要因によって引き起こされます。
このような外的要因は通常、国内不況には繋がらない傾向があります。
最大の特徴は、他のものと比べて、とても短命で終わりがちなところです。
株価は、平均9か月間で29%程度の下落にとどまる傾向があります。しかも、わずか15か月前後で完全に回復する場合がほとんどです。
しかし、時々「構造的な弱気相場」のレベルにまで落ち込むこともあります。
さてこのように、イベント由来の弱気相場は、構造的または循環的な弱気相場と比較すると回復までにかかる期間がかなり短いのです。
つまり、1番管理しやすい弱気相場と言えるでしょう。
もし、最近の市場を見ていると、世界の終わりかもしれないと感じる時があるかもしれません。そんな時は、このように過去の傾向を見てみるといいでしょう。
実は「思っているほど悪くはない」ということがわかると思います。
また、パニック、不安、そして不確実性などといった悲観的なことは、楽観的なことよりも大きく拡散されやすい傾向にあります。
しかし、そのようなネガティブに思われがちな調整局面や弱気相場にこそ、大きな利益を得られるチャンスがあるのです。
なので、そのような時に私たちがすべきことは、周囲の悲観論に流されることではありません。冷静に市場を見ることです。
そして、もし悲観論がピークに達する瞬間を捉えることができれば、それは最大のチャンスにつながるかもしれません。
実際、現在の市場はこの2週間で下落のどん底のような相場から上昇してきました。
今後再び下落するのか、上昇が続くのか、それはわかりません。
しかし、どうなっても、これまでの傾向を知っていれば、パニックに陥ることはないでしょう。
そうすれば、将来、大勢の人が恐怖で怯えていた時にどん欲であって良かったと過去の自分に感謝できる日が来るかもしれません。
ハイリターンを願って。
マシュー
~編集部コメント~
市場の傾向を知っていても、いざ持っている株の価格が急落したとなると、不安になってしまうこともあるでしょう。
でも、株を買ったら「ほったらかし」にしておくだけでいい、配当投資なら不安にならずに済むかもしれません…