トレンド投資

投資家にとって3月はどういう月か?

3月は投資家にとって「良い月」の1つです。
これは過去25年間の株式市場を見るとわかります。

その一方で、同時に不安を感じさせる月でもあります。

3月は様々な新しいことが始まる月ですよね。

例えば、冬から春に移り変わるのは3月です。
春は開花の季節で、日が長くなり、気温も上がり、前向きな気持ちにさせてくれるでしょう。

また、2月に発表される10-12月期の業績は、予想を上回る水準になる傾向があります。
そして、企業は1-3月期に楽観的な見通しを発表するのです。

それが3月を迎えるにあたり、株価の上昇を後押ししてくれます。

さらに、様々な景気のサイクルや感情のサイクルが市場を押し上げる傾向にあります。

例えば、「新年度」「新生活」に関連するようなマッチングアプリ、ダイエット、そしてフィットネス事業を展開する企業の株価は上がる傾向があります。

5月末からは、夏のドライブシーズンが始まります。
するとガソリン業者は、これに備えて生産量を増やし始めます。
そして、エネルギー関連株の上昇に繋がります。

さらに、消費者による冬服の購入が、
1-3月期の小売企業の株価を支えています。

また、1996年以来、3月はダウ工業株30種平均(ダウ指数)が、平均0.94%上昇しているのです。

このグラフを見ると、3月はダウ指数の平均上昇率が高い月の1つであることがわかるでしょう。
2月、3月、4月は、1年の中でも上昇傾向がある時期です。

その中でも、4月は1年の中で最もダウ指数の平均上昇率が高い月であり、素晴らしいパフォーマンスを見せることが多いのです。

しかし、過去25年にわたり株式投資において「良い月」とされてきた3月ですが、 近年はその様子が変わってきています。

近年の3月は“悪い”月?


このグラフをみてください。これは過去25年間のダウ指数ですが、3月のみを示しています。

これを見ると、3月は上昇しやすい傾向にあることが分かりますよね。中には5%以上も上昇している年がいくつもあります。

もう一度言いますが、3月は1996年以来61.5%の上昇率を記録している、素晴らしい月なのです。
しかし、逆にダウ指数が3月に下落してしまった場合、その後「負の連鎖」として続いていく傾向があります。

実際、2015年以降は感情が不安定になるような下落が何度もありました。
グラフを振り返ると、過去7年間で、2015年、2017年、2018年、2019年、そして2020年の5回にわたって下落しています。

特に、新型コロナウィルス感染症が流行し始めた2020年が、投資家にとって過去最悪の3月となったことは明らかでしょう。

このように近年の3月は”悪い月”になってしまっているのです。

そして、重要なのはこの「負の連鎖」が2020年のパンデミック以前から起こっているということです。

実はこれには、3月だけでなく1月や2月の動きも関係しているのです。

一般的に、1月は下落しやすい傾向がありますが、2月にまで持ち越されることはほとんどありません。

実際に2月まで下落が持ち越されたのは、1993年以降で5回だけです。

そして、そのほとんどが最近起きたものです。

つまり、1月から2月まで続く下落と3月の下落は、どちらも最近の傾向なのです。

そこで、1月から3月までの流れに注目してみます。

すると、2月にダウ指数が下落し、3月まで下落が続いたのは、
1996年以降で2001年、2008年、2018年、2020年の4回でした。

つまり、下落が2月まで続いた場合、そのほとんどが3月まで下落していたのです。

さて、これに関して、興味深い傾向がいくつか見えてきます。

選挙と下落の関係


下落した年は1996年以降で4回。
そのうち2008年と2020年は米国大統領選挙、2018年はその中間選挙がありました。

次に、2001年、2008年、そして2018年は、ダウ指数が少なくとも6%下落して年を終えています。
その中で一番大きかった下落は、強気相場が短期で終わった2020年3月です。

つまり、2月の下落が3月まで続いた4回のうちの3回は、年末に市場が下落しています。
そして、これらの年の下落による損失のほとんどは、7-9月期と10-12月期に起こりました。

これが、私たち投資家が注意する必要がある、本当の「3月の狂気」なのです。

現在、地政学的な事象が市場動向を不安定にさせています。
グローバル市場は、ロシアのウクライナ侵攻により非常に不安定です。
これが引き金となり、2月には予想外の下落が起きました。

過去30年間にわたり、投資家にとって「良い月」の1つであった3月は、直近の7年は、「悪い月」に変わっています。
そして、これはパンデミック以前からのものなので、これからも起きる可能性があります。
なので、もし2月の下落が3月まで続くようであれば、その後起こるかもしれない下落に備えて準備をしましょう。

現在、私たちにできることは、ウクライナ情勢の終結を願うことだけです。
これ以上事態がエスカレートせずに終息することを祈っています。

いずれ、投資家が再び利益を得ることだけに集中できる日が来るでしょう。
そして、それは最近の3月の下落の傾向を打ち破るかもしれません。

ハイリターンを願って。

マシュー

~編集部コメント~

下落の傾向が終わったとしても、
全ての銘柄の株価が上昇するわけではありません。
では、どの銘柄が株価を伸ばすのか?

こちらで解説しています。

→続きを読む

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

関連する記事

Back to top button