トレンド投資

この言語を喋るヒトは資産形成できない?

あなたは、普段どれくらい先のことを考えていますか?

私は常日頃から先のことを考えています。

明日のことだけでなく、
半年先のことのような…
もっと先のことまでです。

昨日のうちに今日のことを考えておけば、
今日起こることを不安に思う必要はありません。

なので、私はボラティリティ(価格の変動幅)の動きや
株価の暴落にも動じずにいられます。

先のことを考えれば、
それらがチャンスになり得るのがわかるからです。

例えば、市場の低迷期に
ある銘柄が10%以上下落したとしましょう。

普通の人はあたふたするでしょうが、
実はチャンスになる可能性があります。

その銘柄は、数か月後…
もしかしたら数日後には
元に戻る、つまり株価が高くなるかもしれないからです。

市場全体の崩壊は、たいてい急速にやってきます。

しかし、株価の上昇ははるかに長く続き、
大きな利益をもたらしてくれます。

目先の暴落に引っ張られて、
長期的な利益を失ってはいけません。

このような考え方は、
投資に役立つだけではありません。

ある研究によれば、長期的な目線で考えることは
資産を管理する上でより良い判断に繋がるといいます。

この考えを取り入れる上で、
あなたの人生に影響するものがあります。

それは、
「話す言語の種類によって未来が左右されるのではないか?」
という考え方です。

これは、言語的相対論といいます。

 

言語が違うと未来が変わる?


この理論は1930年代、
言語学者のエドワード・サピアと
ベンジャミン・ウォーフが提唱しました。

「話す言語の構造がものの見方にどのような影響を与えるか?」
を考察しています。

例えば、この理論によると…

・英語を母国語として育った人
・中国語を母国語として育った人

この2者間においては、
同じ概念に対して異なる考え方をする傾向があるというのです。

「文化が違うからではないか?」

と思うかもしれませんが…
言語の構造によるものだというのです。

数年前、行動経済学者のキース・チェンは
この言語的相対性という考えを再び取り上げました。

彼は、この考えが
「貯蓄や将来設計を立てる能力にどのように関係しているのか?」
を調査したのです。

彼の疑問はこうでした。

「ある言語で現在と未来の間に明確な文法的区別がない場合、
その言語の話者は、未来と現在について異なった見方をするのだろうか?」

これだけではわかりませんから、例を出しましょう。

例えば、英語では
「I will go to the play.(私は芝居を観に行くつもりだ)」と言います。

これは、未来形がある言語ですから、
現在と未来の出来事を区別するために、
時制で区切る必要があります。

しかし、中国語では
「I go to the play.(私は芝居を観に行く)」と言います。

これは、未来形がない言語ですから、
現在と未来の区別がありません。

フィンランド語では、
「Today be cold.(今日は寒くなる)」
と言うのと同じように、

「Tomorrow be cold.(明日は寒くなる)」と言います。
現在の話でも、未来の話でも、同じ時制を使うのです。

はたしてこれらの言語の違いは、
資産形成にどのような影響を与えるのでしょうか?

 

資産形成への影響


チェンが先進国と発展途上国の76カ国を調査した結果、
フィンランド語のように未来形が不明瞭な言語を使うグループの方が、
将来への備えをしっかりしている傾向があったのです。

世界各国の各国の平均総貯蓄率(1985~2010年)

この事実は、さまざまな経済的要因を考慮し、
また収入や宗教観などが同じ世帯を比較した結果、判明しました。

同じ国の中でも、言語が違えば異なる傾向が現れます。

英語のような、未来形がある言語を話す人は、
老後の資産が39%少ないことがわかりました。

また、一般的にあまり貯蓄しない傾向もあるようです。

スイスのように3つの言語が話されている国でも、
はっきりと未来形がある言語を話す人は、
そうでない人に比べて貯蓄は36%程度でした。

実際上のグラフを見てみると、
イギリスとアメリカが貯蓄グラフの下位に
いることがわかるでしょう。

そして、他の未来形のある言語圏の国々も
同じような位置にあります。

一方で、

・ルクセンブルク
・ノルウェー
・スイス
・日本
・フィンランド

などの未来形が不明瞭な国々は、
GDPと比較して貯蓄率が高かったのです。

またそれらの国々では、
人々が現在のことと同じくらい未来を重要視していました。

明確な基準や区分けがないからですね。

そして、それに応じて計画を
しっかり立てる傾向もあるようです。

この考え方に対して
懐疑的な意見が多いのも事実です。

しかし、大事なことはその調査そのものではありません。

私がお伝えしたいのは、
「老後のために貯金を始めよう」とか、
「次の暴落後に投資しよう」という発言は
やめるべきだということです。

このようなある種の言い訳をして投資を始めないのは、
結果的に損をすると思うからです。

未来は遠いところにあるもので、
待っていれば理想の形で訪れてくれるわけではありません。

毎日毎日、ひっそりと近づいてきます。
しっかり意識を向けていないと通り過ぎてしまいます。

ですから、現在よりも未来に目を向けるべきなのです。

そして資産運用に関する判断、
投資に関してはなおさらそうするべきでしょう。

今日、あなたがするべきことは
未来、つまりあなたの前にある
すべての明日に目を向けていくことなのです。

 

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

関連する記事

Back to top button