トレンド投資

投資の常識「1月に投資すべき」は本当か?

ウォール街の通説のひとつに、
「1月は株価が良くなる傾向がある」というものがあります。

それを指す「1月効果」という言葉が存在するほどです。

しかし、これは信頼性の低い仮説にもとづいているものだと私は思っています。

その仮説とは、こうです。

・個人投資家「節税したい」
・機関投資家「保有資産レポートをよく見せたい」

・12月末に株式による損失や利益を確定する

・1月にそれを買い戻す

・結果、株式は年明けに利益をもたらす

これが1月効果の仮説です。

ただ、金融の本場とも言えるウォール街の通説だからと言って、
これを鵜呑みにしてはいけません。

なぜなら、私は長く株式市場に関わっていますが、この主張が現実となったことがほとんどないからです。

なので、1月効果の存在は疑わしいと考えているのです。

では、真実は一体何なのでしょうか?

 

1月効果への反論


過去26年間において、1月は株式が最も不調な月の1つです。

なぜかというと、この26年間で平均リターンがマイナスになったのは4ヶ月だけでしたが、
1月は、その中の1つだからです。

ですので、1月は株式にとって良い月だという主張は信頼性が低く、
それをそのまま信じて株を買うべきではないと思います。

事実、1996年以来、ダウ工業株30種平均(ダウ指数)が下落で1月を終えた年は14回もあるのです。

つまり、年初の1か月を上昇で終えたのは、わずか46%ということです。その成績を記録すると、半分以下ということになります。

2022年1月4日現在のダウ指数は好調でした。

しかし、12月が不調だったために上昇するというのはよくあることです。

例えば、2019年1月の8.4%の上昇は、2018年12月にダウ指数が9.51%という壊滅的な損失を出した後でした。

さらに、重要なことがグラフからわかります。
それは、過去8年間でダウ指数が1月に上昇したのは2回のみということです。

また、2017年は、マイナス0.04%とほぼ変動なしに近いですが、それ以外は1.3%以上の大きなマイナスとなっています。

市場は10月、11月、12月と堅調な上昇を続けて年末を迎えるのが通例です。
好成績で走り続けた後、株式は一休みが必要になるのです。

その結果、1996年以来、1月のダウ指数は平均0.17%下落して終わっています。
つまり、1月に下落するのは自然なことなのです。

このように、1月が投資家にとってベストな月とは言い切れないでしょう。

 

結局、年末には高い利益が出た


私はこれまで、投資家は否定的な意見や変動に目を向けず、長期的なトレンドに注目するべきであると言い続けてきました。

ですので、
“The trend is our friend. (トレンドには逆らわずに、トレンドに乗った方がよい)”
と、ここでも言っておきましょう。

2021年最後の3か月の市場は、傾向通りに極めて高い利益を生み出しました。

例年その時期は、ホリデーシーズンの購買による需要が10月に始まり、12月までその需要は伸び続けるので、株式にとっては1年のうちで最も好調な3か月となります。

実際昨年は、11月の終わりは乱高下したものの、10月1日以降、
ダウ指数は約8%、ナスダック総合指数は11.2%、S&P500種株価指数は9.2%上昇しています。

2021年のインデックスの上昇の約半分は、年末最後の3か月に達成されました。

10月のダウ指数は5.57%上昇。
そして、11月の米国優良株指数は3.77%下落し、2008年以来最大の月間下落率となり、11月の月間リターンがマイナスになるのは2012年以来となりました。
これは、新型コロナウイルス・オミクロン株の流行と、連邦準備制度理事会(FRB)のテーパリングに関する発表による株式市場のパニックによるものです。

しかし、そのパニックはあっという間に過ぎ去り、ダウ指数は5%以上上昇し、12月は終わりました。

このように、11月の大きな下落があっても、12月に埋め合わせされるのです。

何度でも言いましょう。
参考にするべきは、こういった長期的な傾向なのです。

 

2022年の市場を見てみよう


市場の動きは、経済状況や、どちらの政党が政権を取っているかに関わらず、
同じパターンになる傾向があります。

これは、私たちに安心感を与えるだけでなく、大きな利益をもたらしてくれます。

例えば、この四半世紀、ダウ指数やその他米国の主要株価指数は、
1年の最後の3か月間を高値で終えることが多くなっています。

そして、2021年は11月末から12月初旬にかけて、
相場が激しく上下変動していました。

このような相場になると、多くの投資家は感情的になりがちです。

しかし、歴史的な傾向を知っていれば、私たちは冷静に市場を見ることができます。

では、2022年についてお話をしましょう。
残念なことに、12月のクリスマス商戦による需要の勢いが、
1月に持ち越されることはほとんどありません。

つまり、1月効果の存在は今年も疑わしいのです。

それにつけ加えて、2022年は、新大統領が政権を取って2年目の年です。
今年は中間選挙があり、これは機会があればお話しますが、
4年任期の周期の中で最も株価が悪くなる傾向もあります。

2021年は上昇相場でしたから、
もしかするとあなたは、今年の市場にも期待しているかもしれません。

しかし、気持ちを改めて市場の動きを見ていきましょう。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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