トレンド投資

グロース株か、バリュー株か?

新年を迎えて2週間が経とうとしています。
昨年の市場では、株価が変動と下落に見舞われていました。

そして今年の市場を考えると、
連邦準備制度理事会(FRB)が行う緩和政策の縮小(テーパリング)の加速、
また、厄介な「一過性の」インフレ、もはや一過性でないことは言うまでもないですが…
があり、投資家たちは、2022年にどのような投資をしようか考えているところでしょう

さて、
現在、市場には基本的に二つの投資対象があります。

一つは、グロース株(成長株)。

そして、もう一つはバリュー株(割安株)。

この二つの投資対象は、全く異なるものです。
今日は、2022年はどちらに投資をしておくのがいいか、お話ししようと思います。

 

1. 大胆に行こう


この二つのタイプの投資対象について、詳しく見てみましょう。

まずはグロース株。

私たち投資家は、企業の業績や売上が大きく増加することを望んで投資をします。
このような増加のことを「市場平均を上回る」と言います。

こういった企業は、市場の経済状況に左右されず、目標に到達する傾向にあります。

これは、グロース株が、未だ市場に出回っていない製品やサービス、あるいは競合他社がこれから倣おうとしているものなど、
非常に独特なものを提供していることも理由です。

また、このことはグロース株にとって有利に働き、
その株価が上昇していく一つの要因にもなっています。

グロース株の代表的な例である、
アマゾン (Nasdaq: AMZN)、メタ・プラットフォームズ (Nasdaq: FB)、ネットフリックス (Nasdaq: NFLX)、テスラ (Nasdaq: TLSA)
を考えてみれば、グロース株が提供する「非常に独特なもの」について、イメージがしやすいでしょう。

ただ、全ての成長株から利益を得られるかというと、
そうではなく、実際のところ、ほとんどのグロース株からは利益を得られません。

しかし、投資家は将来的にこれらの株が利益を生み出すと信じて投資をするのです。

なので、大きな潜在性と独特な製品・サービスを持つグロース株は、
少なくとも理論上は市場でアウトパフォームすると言えます。

これがグロース株が魅力的な理由です。

ただグロース株投資の難点は、それらが成長するにつれ、割高になることです。

こういった輝かしい成長企業の株価収益率(PER)、株価売上高倍率(PSR)、株価純資産倍率(PBR)は、
市場平均よりも高くなる傾向があり、時には驚くべき価格まで上昇することもあります。
それは、投資家が今後も上昇する可能性があると判断し、かなり割高になっても投資することを厭わないからです。

また、こういった理由から、グロース株は市場平均と比べて、かなり変動する傾向にあります。
例えば、企業の今後に関して不安要素があるニュースや、厳しい内容の決算報告があれば、株価は暴落してしまいます。

そう、グロース株は幸運をもたらしうると同時に、乱気流に巻き込まれやすい高値株でもあるのです。

 

2. 罠か、それともチャンスか?


バリュー株は企業のファンダメンタルズ、市場、競合他社と比較すると株価が割安なのが特徴です。

割安株は低い株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)であり、
高配当利回りである、つまり、少なくとも配当金はしっかりと支払う傾向があります。

あなたは、リスクを取ってバリュー株投資をすることは典型的な逆張り戦略であると思うかもしれません。
しかし、逆張りであることは当然です。
なぜなら、投資家は市場の非効率性だったり、他の投資家が見逃した貴重なチャンスだったりを狙って、
利益を得ようとするものだからです。

そして、こういった割安企業の株は、一般的に安定し成熟した企業でありながら、投資家が関心を示さないため、非常に安価なのです。

そしてバリュー株投資家は、他の投資家が最終的に自分の過ちに気づいた時を狙います。
なぜなら、そうして彼らがバリュー株を買い求めることで株価が上昇するからです。
一度バリュー株が日の目を見れば、人々がバリュー株に殺到することで、すでに陣取っていたバリュー株投資家は報われることになるでしょう。

バリュー株投資家と聞いて思い浮かぶのはウォーレン・バフェットです。
そしてバフェットのお気に入りであるバンク・オブ・アメリカ (NYSE: BAC)、クラフト・ハインツ (Nasdaq: KHC)、ベライゾン・コミュニケーションズ (NYSE: VZ) がバリュー株の代表例です。

バリュー株は市場平均よりも変動が少ない傾向があります。

そして多くの場合、バリュー株の企業は、投資家が株を保有し続けるよう配当を支払います。
もちろん、投資家が配当に「複利」という魔法をかける時間と忍耐がある場合ですが。

しかし、バリュー株の性質上、一般的に市場でアウトパフォームすることはありません。
これらの企業は、景気回復の初期段階では良好ですが、主に持続的な強気相場を上回る持久力がない循環型企業なのです。

 

3. 「トレンド」に対抗しない


過去1年間、グロース株は投資家たちの思惑通り成長しました。
バリュー株と市場平均を凌駕してきたのです。

グロース株、バリュー株、S&P500種株価指数の比較

グラフを見てみると、年初からバンガード・グロースETF (NYSE: VUT) はS&P500種株価指数を上回っていたわけではないことがわかります
そしてバンガード・バリューETF (NYSE: VTV)との差もおよそ6%程度しかないと言えるかもしれません。

このように2021年初期は、バリュー株が上昇していた時期もありました。
しかし、それは時に起こりうることで、歴史的に見れば、それは短期間で終わります。
過去10年間を振り返ってみると、「グロース株がバリュー株を上回る」というトレンドがあることは明らかなのです。

グロース株とバリュー株の上昇率の比較

ただ、2022年の利上げでグロース株のこの優位性は終わるに違いない
と言う人もいるでしょう。
しかし、上のグラフは、史上最悪となった三回の市場の暴落や、
FRBによる利上げを、1994年から前回のものまで含んでいます。

ですので、投資家はこのトレンドに逆らうべきではない、と私は思います。

最初の利上げ後、グロース株は不安定になったり下落したりするかもしれませんが、
長期的な動向は崩れないでしょう。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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