トレンド投資

投資するのに”ベストな”季節とは?

トレンド投資家の利点のひとつは、市場でどのようなことが起こるか予想できることです。
以前に私はこのようなことをお伝えしました。
「9月は市場の下落が予想されますが、それは極めて典型的なことなので心配する必要はありません」と。
投資家たちはマクロ経済の動向に関するニュースに注目し、7 – 9月期の業績を懸念します。
そしてもちろん、今年の9月もS&P500種株価指数は約5%下落しましたが、10月、11月と市場が回復する月が続きます。
10月は株価が大きく下落しやすいとの悪評を立てられやすいですが、実際には株式市場としては素晴らしい月となることが多く、企業が7 – 9月期の決算発表を始めると、9月に抱いていた不安が一掃されることを実感できます。
2021年10月のS&P500種株価指数は約6.67%急伸しました。
しかし…

その上昇はそれで終わりではありませんでした。

過去のパターンから見ると、10月に始まる決算発表に関する株価上昇は11月に入ると、喜びで満ち溢れる冬のホリデーシーズンの消費に後押しされ、さらに上昇する傾向にあります。
(編集部注:2021年11月の初旬から中旬の米国株式市場は記録的な続伸を見せましたが、下旬は新型コロナウイルスの新たな変異ウイルスであるオミクロン株の感染状況や連邦準備制度理事会(FRB)のテーパリング(量的緩和の縮小)加速の懸念から株式市場は全体的に下落。)
このような短期的なカタリスト(株価上昇の材料)を利用して、短期間でリターンを高めたいと考える投資家もいます。
彼らは我々のお気に入りのポートフォリオを活用することでチャンスを生かしてリターンを高めることができるかもしれません。

5月に売り逃げろ

 

長年にわたり、我々はどんな業種にもシーズンがあることをお伝えしてきました。
「5月に売り逃げろ(Sell in May and go away)」という季節需要に関する格言は、とても有名ですが、実は広く誤解されています。
一見、この戦略はとてもシンプルに思えますが、この格言には続きがあります。
「5月に売り逃げ、レーバーデイ(労働の日/9月の第1月曜日の祝日)まで市場に戻ってくるな (Sell in May and go away. Don’t come back ’til Labor Day)」
しかし、ここで「どの株を売却したらよいのか?」という大きな疑問が起こります。
全ての株でしょうか?
毎年5月にポートフォリオの全ての株を売却して、現金を手にしたらいいのでしょうか?
それはとても危険な考えだと思います。
今後の資金繰りに大きなダメージを与えてしまうかもしれません。この戦略をやみくもみに信じて実行すると、意に反して良いことよりも悪いことが起こるでしょう。
実際には「5月に売り逃げろ」戦略は全ての株と投資信託に当てはまるのではなく、該当するのはほんの一握りの業種だけなのです。
ですが、この格言はキャッチーで親しみやすいので、何十年も人々の耳に残る言葉となっています。
11月、12月は季節性を意識した投資では一年で最大の繁忙期の一つとも言える時期です。年末商戦であるこの時期は、特に小売業者にとってとても重要になります。
例として、私が「プライムシステム小売り指数」と呼んでいる小売りセクター株25種類の10月から5月までの指数動向をご覧ください。
プライムシステム小売り指数のパフォーマンス
2000年から「プライムシステム小売り指数」に含まれる銘柄を10月から5月まで保有した場合、平均の利益率は約17.88%、勝率は約76.2%となっていますが、5月から10月まで同じ銘柄を保有した場合、勝率はわずか40.9%ほどで、リターンはマイナスでした。
そのため、これらの株は「5月に売り逃げろ」戦略にあてはまることになります。
チャートが下降している2019年10月から2020年5月は、金融崩壊の時期だったことにも気がつくかと思いますが、回復した年には素晴らしい数値を示しています。

取引はシンプルに

季節性を意識した投資を成功させるには、時間と労力を有効に使うことが必要です。
投資家は、特定の企業の株を一年のベストシーズンの時だけ保有することが良いと思います。
それはランダムではありませんし、変則的でもありません。銘柄やその時々のマクロ状況にもよりますが、毎年、同じ月になるものも見られます。
多くの場合、ベストシーズンは企業の事業内容、売上高や1株当たり純利益(EPS)によって決まります。
季節性を意識した投資においては、シンプルに好調な四半期に投資を集中させて、それ以外の四半期は忘れてしまうのも一案です。
ハイリターンを願って。
マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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