トレンド投資

バリュー投資は一時的なブームで終わり?

かつてウォーレン・バフェットは、世界で最も裕福な男だと言われていました。

オマハの賢人と呼ばれた彼は、いとも簡単に財産を築き上げているかに見えました。そして、億万長者でバリュー投資家の彼は、次のような金言を授けてくれています。

「他人が強欲な時は気をつけろ。他の人が気をつけている時は強欲であれ。」

「その株を10年間保有する気がないのなら、10分間保有することさえ考えるな。」

「機会はめったにありません。金が降ってきたら指ぬきではなく、大きなバケツを出しなさい。」

もし投資家のラシュモア山 (編集部注: サウスダコタ州キーストーンにある国立公園。ジョージ・ワシントン初代大統領、トマス・ジェファーソン第3代大統領、セオドア・ルーズベルト第26代大統領、エイブラハム・リンカーン第16代大統領の顔が彫られている) があったとしたら、間違いなくバフェットの顔も刻まれるでしょう。

バフェットと同様に、ベンジャミン・グレアム、チャーリー・マンガーとジョン・テンプルトンといった名だたる投資家たちはバリュー投資を広め、バリュー株(割安株)の方がグロース株(成長株)よりも長期的に利益を上げられるという考えを浸透させました。

しかし、実際のところ、そんなことはないようです。その考えを信用すると投資家は痛い目をみるかもしれません。

目減りするバフェットの資産


投資で成功するということは、耐えなまい進化を求められます。これは、テクノロジーが目覚ましく発展する現代においては、特に当てはまることです。

10年前に使えた戦略が今でも機能するという保証はありません。仕組み、つまり基本となる部分が変わってしまっているのです。

私自身も新しい市場の状況に合わせて、戦略を常に微調整しています。

現在、バフェットの資産はとてつもなく、私の資産など比べ物になりません。ただ、彼が生きる伝説であったとしても、年老いた億万長者は姿を消しつつあります。彼はバリュー投資で巨額な富を築き上げました。おそらく事業内容がわかりやすい企業の株だけを買ってきたからだと主張するでしょう。

しかし、バリュー投資の生み出す利益は魅力的ではなくなってきています。

ここ1、2年の話ではなく、もっと長い期間での話です。

最も稼げる資産最近の情報によると、バフェットは世界一の富豪ではなくなり、6番目だそうです。

変わりゆく世界経済の最先端にいる人々に追い抜かされたのです。そして、おそらく彼の順位は今後も下がっていくでしょう。

グロース株投資 vs. バリュー株投資の定説


数か月前まで、バリュー株は大ブームとなっていました。

バリュー株とグロース株の株価上昇率【2021年】「バリュー株の出番だ!」という見出しが躍り、メディアはバリュー株に注目していましたが、数か月後にはその勢いは無くなってしまいました。

それが、ここ数十年間の典型的なバリュー株で、大型または小型バリュー株が大きな利益を出す時もありますが、最終的には市場でのレースについていけなくなるのです。

下記のバンガード・グロースETF (NYSE: VUG) とバンガード・バリューETF(NYSE: VTV) の過去5年間の比較を見て下さい。

バリュー株とグロース株の株価上昇率【過去5年】バリュー株は短距離に向いていて、マラソン走者ではないということに多くの投資家は気付いていません。

彼らは逆の考え方をしています。

過去30年間、グロース株はバリュー株よりも利益を出してきました。そして、リーマンショックやコロナウィルスといったパンデミックの結果、利益の差は大きくなるばかりです。

世界は変化しているので、それに合わせて投資のポートフォリオも変化を反映しなければなりません。

これこそ、私自身がグロース株を熱心に支持している理由です。

そして、皆さんにもぜひ考慮していただきたいと思っています。

退職に備えて資金を形成していくのに、高成長している企業を狙うのは、理にかなっています。データからも分かるように、グロース株はバリュー株を大きく引き離して結果を出しています。もし皆さんのポートフォリオが、ウォーレン・バフェットのようにバリュー株に偏っているのなら、老後の資産計画は遅れてしまうかもしれませんね。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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