トレンド投資

新しいジーンズのトレンドが小売業界を復活へ

新型コロナウイルスによるパンデミックは、私たちの社会に長期的な影響をもたらし、その影響は私たちの消費傾向にも及びました。

この1年間、私のメルマガでは、ステイホーム経済の台頭、電気自動車、キャンピングカーの変革などについて詳しくお伝えして来ました。

そして、私たちはパンデミック後の世界に向けて、投資家の皆さんのために準備をしてきました。

今回は、消費者や小売業界が絶賛している、あるトレンドについて深堀りしていきたいと思います。全ての社会問題を解決するわけではありませんが、皆さんが少し心地良くなるようなポテンシャルがある話です。

パンデミック後のパンツスタイルのジレンマ1年間で起こる変化については常に驚かされますが、2020年は特にそうでした。

新型コロナウイルスによるパンデミックで生き残れなかったトレンドの一つに、ファッションの友であり敵でもあるスキニージーンズがあります。スキニージーンズが好きな人も嫌いな人もいるでしょう。

TikTokでは、ミレニアル世代(1981年〜1995年生まれ)とZ世代(1996年〜2012年生まれ)の間で、 ジーンズのスタイルの選択について話題を呼びました。

特に女性にとって、スキニージーンズは10年以上にわたってジーンズのトレンドを牽引してきたにも関わらず、パンデミックとは相性が悪かったようです。

この1年間、人々は家に閉じこもらざるを得なくなり、よりゆったりとした服を着るようになったので、このファッションの流行は一巡したという認識が広まっていました。

パンデミック後の世界は、「心地良さ」に尽きるのでしょう。そこで、新たなジーンズのトレンドが始まったのです。

これは、消費者や小売業界にとって喜ばしいニュースです。

このトレンドで一番注目すべき変化は、ゆったりとしたバギージーンズの再来です。個人的に90年代のファッションの再来を願うばかりですが…バギージーンの裾が濡れてグチャグチャになるのはもう見たくありません!

90年代のジーンズ(出所: レディット)

そして、今の10代の子供たちは「ニルヴァーナ」のTシャツを着て、スヌープ・ドッグの「ジン・アンド・ジュース」や、オアシスの「ワンダーウォール」などのクラシック・ロックを聞いているのです。

ですから、バギージーンズがゆっくりと復活してきているのは当然の流れなのでしょう。

さらに、投資家にとってこのジーンズのトレンドは、本当に利益をもたらす可能性があるのです。

さよなら、スキニージーンズ…
これは安堵のホッとしたため息が出てしまうような、単なる社会的な変動でないことを私たちは理解する必要があります。

この新たなジーンズのトレンドは、小売業界にとっても待ちに待った変化なのです。繰り返しになりますが、過去1年間、人々は外出自粛や在宅勤務をしていたことで、衣類や靴への消費が落ち込みました。

2020年3月、衣料品の売上高は50%減少し、4月には更に悪化して86.4%も減少幅となりました。2020年の終わりには多少の回復が見られましたが、同年の多くの衣料品業界の収益は2桁台の落ち込みとなりました。

消費者が再びオシャレに気を遣い、消費に前向きになるような新たなジーンズのトレンドは、アパレル企業に安堵のため息をもたらしています。

ジーンズのスタイルの変化により、アバクロンビー&フィッチ (NYSE: ANF)、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ (NYSE: AEO) 、リーバイ・ストラウス (NYSE: LEVI) 、ギャップ (NYSE: GPS) 、アーバン・アウトフィッターズ (Nasdaq: URBN) やその他のアパレル企業は、利益を得ることに準備万端…いえ、既に利益を得つつあるのです。

例えば、ゆったりとした「ママジーンズ」は人気が出てきています。リーバイスは他にも2016年には「ウェジージーンズ」、2020年には「バルーンジーンズ」といった身体を締め付けないスタイルのジーンズを導入しました。

その上、リーバイスの2021年第1四半期(12 – 2月期)の女性用衣料品の売上の40%は、ゆったりとしたパンツだと発表しました。また、バギータイプのゆったりとした男性用のジーンズの売上も50%急増したのです。

つまり、これは勢いのあるトレンドなのです。

リーバイスはここ数年、男性用のゆったりしたスタイルのジーンズの売上が芳しくないため廃止を検討していましたが、現在はその復活を謳歌しているのです。

さて、スキニージーンズは完全に廃れたわけではありません…少なくともまだ消えてはいません。

米国の市場調査会社であるNPDグループの発表では、米国の71億ドルの女性用ジーンズ市場のうち、スキニージーンズは依然として34%を占めています。つまり、スキニージーンズは市場の主要な製品なのですが、2021年2月までの12カ月間で市場シェアは7%減少し、大きく後退しているのです。

新たなトレンドである、バルーンジーンズ、ママジーンズ、リラックスフィット、ウェッジーなど、このトレンドから生まれたゆったりとしたジーンズは、2021年のアパレル業界の回復に大きく貢献することが期待されています。

アバクロンビー&フィッチの2021年の売上高は12%増加、ギャップの売上高は17%増加、アーバン・アウトフィッターズは23.2%増加と予想されています。

さらに、リーバイスは2021年の売上高が24%増加すると予測しており、アメリカン・イーグルは売上高が27.5%跳ね上がることを予測しています。

これらの背景には、新たなジーンズのトレンドがあります。スキニージーンズに「サヨナラ」を告げ、若かりし頃のゆったりとしたバギージーンズを受け入れようとしているのです。そして投資家は、小売業界が息を吹き返すことで利益を得ることができるでしょう。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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