トレンド投資

エジソンと電気自動車産業の未来

私たちの仕事はトレンドを伝えることです。
 
特に、投資家にとって収益性が高いと思うものを伝えています。
 
ですが、収益を上げるための秘訣として私たちが伝えているのは、トレンドと言っても、目新しいものだけではありません。
 
それは、数百年もしくは数千年前から存在していたものだったりもしています。
 
何が変わってきたのかと言うと、それらトレンドが数兆ドル規模の産業の「脅威」になりつつあるということです。
 
私たちはもう一つ別の秘訣として、注目を浴びている分野や大きなトレンドの可能性をアピールしています。投資家は超投機的な「ギャンブル」をして過度なリスクを取る必要はないのです。どんな分野であれ、私たちは、一生懸命に機会を掘り当て、そのことを楽しんでいます。その企業が再投資するためのビジョンを持っている場合は、特にです。
 
1884年、偉大な米国の発明家であるトーマス・エジソンはこのように熱意をもって大胆な発言をしました。
 
エジソンは電気の可能性に魅せられていました。
 
ガソリン自動車が導入されてからたった4年後の1899年、彼は電気自動車(EV)の構想を練り始めました。彼は電気自動車が、ガソリン車よりも経済的である可能性を信じていました。
 
そして、彼は電気自動車用のニッケル・アルカリ電池を開発し、それは電動の配送トラックに使用されました。
 
しかし、電気の未来を作るというエジソンの夢は、1908年に出現したフォードのモデルTにより消されました。フォードの組み立てラインから流れ出てくる安価なガソリン車と競合できる電気自動車が無かったのです。
 
そして、100年以上前にエジソンが見い出した、電池の費用と重さ、かつ長時間充電し続けられるかという問題は、その後も電気自動車業界を悩ませてきました。
 
しかし、企業はこういった問題の解決に取り組んできましたし、投資家は電気自動車メーカーが脚光を浴びることを望んできました。
 
それだけでなく、私たちはみな発明が大好きで、そのためには多少高価になってもいいとさえ思っています。
 
イーロン・マスクのテスラ (Nasdaq: TSLA) の時価総額は、フォード・モーター (NYSE: F) の10倍。2020年にテスラが50万台以上の車を生産した一方で、同年フォードは420万台販売したという事実にもかかわらずです。
 
そして、フィスカー (NYSE: FSR)、リーオート (Nasdaq: LI)、ローズタウン・モーターズ (Nasdaq: RIDE)、二コラ (Nasdaq: NKLA)、ニーオ (NYSE: NIO) 、ワークホースグループ (Nasdaq: WKHS) といった銘柄は、ウォール街の解説者や口先だけのアナリストの間で、毎週、厄介な問題だとして話題に上がっていました。
 
エジソンが1世紀以上前に発見したことであり、電気自動車は現在も不安定な業界です。しかし彼は、この分野を扱う最も安全で確実なやり方を見い出していたのかもしれません…
 

電気自動車の需要拡大


アルべマール (NYSE: ALB) は1887年から事業をしてきました。
 
しかし、創業150年近くの多くの企業に言えることですが、大きな改革やイメージ・チェンジを繰り返してきました。
 
ご存じかもしれませんが、同社は趣のある製紙企業として創業し、75年間その業界でやってきました。
 
1962年、規模が13倍のエチルコーポレーションを買収したことで、ガソリンと化学事業に特化するようになり、その後数十年にわたって、同社のアイデンティティは変貌しました。アルキルアルミニウム、臭素、油田化学の事業を優先し、製紙業を廃止しました。
 
次の展開は2011年4月、アルべマールが塩水からリチウムを抽出する独自の技術を開発したことを発表した時です。これにより、アーカンソー州の臭素塩水から炭酸リチウムを生産できるようになりました。同社は、需要の70%を海外へ輸出するため、リチウムの国内生産の必要性を強調しました。
 
アルべマールの発表は、2010年4月にテスラが新たなモデルSセダンの受注を発表してから、ほぼ1年後のことで、その生産は2011年から開始しました。
 
当時、テスラは異端者でした。欧州と北米で高速道路にも対応できる電気自動車を生産していたのは同社だけでした。
 
ここで、アルべマールの次の展開が始まります。同社は、地球上の高速道路に数百万台の電気自動車を走らせるというテスラの「常軌を逸した野望」と意気投合しました。
 
今日、テスラは時価総額の点でいえば世界で最も大きな自動車メーカーとは程遠いですが、アルベマールは電気自動車用の電池に使用されるリチウムの最大の提供者です。
 
パンデミックの中、電気自動車への関心が更に高まり、2020年3月以降、アルべマールの株価は急騰しました。
 
アルベマールの業績
実際のところ、ダウ・ジョーンズ工業株平均とS&P500種株価指数の3倍以上の業績をあげました。
 
第4四半期(9 – 12月)のリチウムの売り上げは、アルべマールの総売上高、8億7,910万ドルの40%を占めています。そして、世界経済が回復しているため、今年は全ての面で持ち直すことが予想されます。
 
私たちは、2013年にリチウムの商業生産が開始されて以来、リチウムの動向に非常に注目しています。そして、電気自動車の需要が高まる中、リチウムの価格が高騰すると予測しています。
 
2021年、アナリストは同社が1株当たり3.50ドルの収益で32億1,000万ドルの売り上げになると見込んでいます。
 
電気自動車のニーズに伴いリチウムの需要が拡大することで、私は今後の業績が右肩上がりになると思います。
 
エジソンは初の電気自動車という革新的な考えを持っていましたが、100年以上の時を超えて彼のビジョンがようやく現実になったのです。
 
ハイリターンを願って。
 
マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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