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米国配当株投資 | 最良で“最悪”の年金保険

先週、米金融誌「バロンズ」が“最良の年金保険”を紹介しました。
正直、私はその記事が白紙であってほしいと願っていたのです。
なぜなら、たとえ「最良」と言われる年金保険であっても、「一番マシな胃腸炎」にすぎないと考えているからです。

残念ながら同誌は、手数料の高さなどマイナス面にも触れてはいたものの、これらの商品にが優良であるように報じていました。


変額年金は本当に“守り”になるのか?


年金保険とは、今すぐまたは将来から毎年一定額を受け取れる金融商品です。
もう少し利益を狙いたい人は、株式市場の動きに連動する「変額年金(バリアブル年金保険)」を選ぶこともできます。

多くの変額年金には、「損失は一定範囲に抑えるが、利益も上限がある」という特徴があります。
例えば「損失は年5%までに制限されるが、利益も最大で年10%まで」といった具合です。

たしかに、市場が年11%上昇した場合、「1%の上昇分を犠牲にしてでも損失を抑えたい」という考え方には一理あります。
しかし、昨年のように23%も市場が上昇したらどうでしょう?

株式市場は年平均で約10%のリターンを生み出していますが、上昇した年の平均は21%以上にもなります。
過去99年間で、市場は約75%の確率でプラスになってきました。

つまり、ざっくり言えば:

  • 4年のうち3年は株式市場が上昇
  • 上昇年の平均リターンは21%以上
  • 下がる年の平均下落率は14%

もちろん、市場は毎年この通りに動くわけではありませんが、統計的には年金保険が期待する“守り”よりも市場の“攻め”の方が成果を出しています。


年金保険の本質とは?本当に顧客の味方か?


年金保険会社は、「ウォール街のカジノで賭けをせずに資産を守れますよ」と、巧みに勧誘してきます。
しかし、仮にラスベガスのカジノに「4回に3回は平均21%の勝ち、1回は14%の負け」というゲームがあったら、人は列をなして参加するでしょう。

そこに現れて「年間6%固定で運用できますよ」とか「勝てば10%、負けても損は5%で済みます」と提案されたとしたら、果たしてその人にお金を預けたいと思うでしょうか?

年金保険は売れています。
昨年の販売額は4,340億ドルを超えました。
市場の不安からくる需要もあるでしょう。

しかし、ここで注目すべき事実があります。

  • 2016年:米労働省が「顧客利益を優先すべき」というルールを導入 → 年金保険の売上が激減

  • 2018年:このルールが撤廃される → 売上が一気に40%回復

この動きは、年金保険が“消費者本位”とはほど遠い商品であることを物語っています。

もちろん、一部の人にとっては年金保険の“安心感”が魅力的かもしれません。
特に固定型のものは、将来の収入を安定させる手段として一定の価値を見出す人もいるでしょう。
それ自体を否定するつもりはありません。ただし、途中解約には高額な手数料が発生することが多い点には注意が必要です。


【まとめ】年金保険よりも市場と向き合う


もし、あなたがまだ配当株に投資していないのなら、今この瞬間にも、大きなチャンスを逃しているかもしれません。

配当株は、リターンと安定性のバランスに優れた投資先です。若いうちから始めれば、そのメリットはさらに大きくなります。
「地味だけど強い」配当株投資を、ぜひご検討ください。

年金保険は高額で複雑、そして市場平均を下回るリターンしか期待できない商品です。

多くの投資家にとっては、

  • 必要な資金は現金または債券に分けて保有し、

  • それ以外の資産は市場に長期的に投資する

というシンプルな戦略の方が、はるかに効率的で合理的です。

手数料や制限に悩まされることもなく、市場平均の成長にしっかり乗ることができるからです。

私は大半の投資家に対し、「年金保険は避けた方がいい」とお伝えしています。

 

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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