格言から紐解く、今の相場の攻略法

「安く買って高く売る」
株式投資の格言の一つとして、この言葉を聞いたことはありませんか?
これを聞いて
「これができたら誰も苦労しない!」
とか
「安いから勝ったのに全然上がらない…」
などと思う方も少なくないと思います。
我々も読者の方から
「100ドルの株と5ドルの株だったら、5ドルの方が安いから将来上がる可能性が高いですか?」
といったご質問をいただくこともあります。
「安く買って高く売る」
この言葉をそのままの意味で捉えると、株価が安ければいいだろうと思ってしまいますよね。
ただ、株における「安く買う」というのは「株価が安い」ということではありません。
株式投資でいう「安い」は「割安(わりやす)」だということ。
- 将来の業績成長見通しの割に株価が安い
- 業績は不変なのに、過去の株価水準の割に株価が安い
- 同業他社とビジネスモデルも遜色ない割に株価が安い
このように、将来的な成長には問題がないのに、市場の評価が企業の収益力に見合っていない場合を指します。
安い株は2つの理由で生まれる
では株価が安い株はどのようにして生まれるのか?
その理由は、大きく2つあります。
1. 企業固有のニュースで、その企業の株価だけが下がる
2. ほぼ全銘柄が一斉に下がる
1. 企業固有のニュースで、その企業の株価だけが下がる
この場合、多くはその企業のビジネスにとって何か悪いニュース(材料)があった場合が大半です。
ただ、ここでいう安い株はさらに2つに分けられます。
それは、株価下落のきっかけとなった材料が
- 一時的なものか
- 今後のビジネスに影響を与え続けるのか
ということ。
たとえば、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを運営するオリエンタルランド。
2020年度決算で、は1996年の上場以来、初の最終赤字を計上しました。
赤字となった理由は、新型コロナウイルスの影響による休業や入園者数の制限。
これはどっちにあてはまるかというと、一時的な影響です。
ディズニーの強さは、コンテンツ力や唯一無二の世界観。
コロナによってこの強みが崩れたわけでなく、時間はかかるかもしれないけれど、コロナが落ち着けば元に戻るであろうと考えられます。
足元の株価もコロナ前を大きく上回る水準で推移しています。
(出所: TradingView)
このように、根本的な収益構造には影響は与えない、一時的な材料であれば、株価は元に戻るケースが大半です。
2. ほぼ全銘柄が一斉に下がっている
これは、2008年9月に発生したリーマンショックや、2020年2月に発生したコロナショックに代表されるように、株式市場が全体的に下落する場合です。
企業のビジネスモデルを考えれば、オリエンタルランドのように大きな影響は受けないのに、多くの投資家がパニックに陥って、株式市場から誰よりも早く逃げ出そうとしてしまう。
その結果、優良銘柄であっても株価が下落するケースです。
ある業界における連れ安も同じ。
1社が悪い材料を発表したときに、同じ業界に属する銘柄の株価も下落することがあります。
販売先も収益構造も違うのに、一緒に株価が下落する。
ということは、良い銘柄も紛れて安くなっている可能性があるということです。
これもまた株式投資の格言ですが、
「大暴落の後、お金は正しい(正当な)持ち主に戻る」
という言葉があります。
暴落前に付けていた高値は市場の過熱で付いた、いわば仮の値段。
暴落で剥げたお金は正しい銘柄に戻っていくということです。
下の表は連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げ予想。
水色の部分が市場予想と言われるところです。
これをみると2023年6月に0.25%の利上げが行われて、その後は据置という見方が多いことを示しています。
(出所:FedWatch)
そしてこれはFOMC参加者による長期の政策金利予想。
(出所:FedWatch)
これは2022年12月のFOMCで公表されたものですが、2024年には利下げが始まると予想していることが見て取れます。
ちなみにドットプロットはFOMC終了後に公表され、次回のFOMCは米国時間3月21日・22日。
現在の株式市場は、金利政策の先行きの不透明感もあり、乱高下しやすい状況にありますが、長期視点で考えれば、2024年の利下げを踏まえた投資行動が必要になってきます。
株式投資の極意は、よい銘柄を見つけて、よいタイミングで買い、よい銘柄である限りそれを持ち続けること。これに尽きる。
これは、米国の著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏の言葉です。
そしてこんな格言もあります。
長期投資を本気でするつもりなら、弱気相場が稼ぎ時と考えるべきだ。
株式市場が不透明な時に株を買うのは怖いと思われるかもしれませんが、株式市場を熟知した人たちがこのように考え、それに異論を唱える人はいません。
…ということは、あなたが今とるべき行動は、今の株式市場の混乱を利用して良い銘柄を購入する、ということではないでしょうか?
小島璃子
P.S.
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