あの超有名企業の株価下落は 購入のチャンス?〜前編〜

最近、メタやツイッターといった米国企業が大規模人員削減を行うというニュースがしばしば報じられていますね。
ツイッターの人員削減のニュースは、日本法人で働く社員も人員削減の対象となったことから、日本のお昼のニュースでも取り上げられていました。
その人員削減の流れは、IT企業のみならず、ディズニーでも。
(出所:Bloombergニュース)
日本では終身雇用が一般的なので、人員削減と聞くと最終手段を投じるまで業績が悪いのか…と思われる方もいるかもしれません。
もちろんそのような場合もありますが、あくまで企業経営における合理化戦略の一つとして実施されることもあります。
そこで今回は、ディズニーの人員削減がどのような背景で行われようとしているのか、投資判断を変えるほどの何かが起こっているのかを、最近発表された7 – 9月期決算の内容を踏まえながら2回に分けて見ていきたいと思います。
2つの主要セグメント
まずディズニーの事業ですが、大きく次の2つの部門に分けられます。
・テーマパーク・エクスペリエンス・プロダクツ部門
―世界中のテーマパーク、リゾート、クルーズ船、ユニークなバケーション体験、消費財など、ディズニーのコンテンツ制作を手掛ける部門
みなさんよくご存知のディズニーランドやディズニーリゾートなどですね。
・ディズニーメディア&エンタメ配信部門
―コンテンツの流通(劇場、配信、テレビなど)、販売、広告に関する意思決定、および収益管理を一括して手掛ける部門
ちなみに東京ディズニーリゾートを運営しているオリエンタルランドはディズニーとの資本関係はなく、ライセンス料を支払う形でパークの運営をしています。
決算発表で株価は大きく下落
ディズニーの7 – 9月期決算は、売上高と1株当たり純利益(EPS)が市場予想を下回り、全体的に軟調な決算を発表。
その結果、株価は翌日13%超下落し、52週安値を更新しました。
(出所:yahoo! finance)
株価は新型コロナウイルス感染拡大直後の水準に迫る勢いです。
マクロ環境の違いはあれ、そこまで先行きは厳しいのでしょうか?
ここからは部門別に決算内容を見ていきましょう。
・テーマパーク・エクスペリエンス・プロダクツ部門
同部門の7 – 9月期における営業利益率は20.4%。
新型コロナウイルス感染拡大前の2019年7 – 9月期は20.8%でしたので、利益率は悪化しています。
利益率悪化の要因は次のとおり。
- ハリケーン「イアン」による損失
- クルーズ船の導入コスト
- テーマパークにおける人件費などの高騰
ただ、利益率悪化の要因を次のように分けることもできます。
【一過性の要因】
- ハリケーン「イアン」による損失
- クルーズ船の導入コスト
【中長期的な要因】
- テーマパークにおける人件費の高騰
こう見るとどうでしょう?
一過性の要因は継続性がある問題ではなく、影響は7 – 9月期限定と考えることができます。
特にクルーズ船の導入コストについては、将来的には収益に寄与すると考えられますね。
人件費の高騰は中長期的に継続する懸念がありますが、ディズニーは強いコンテンツ力を背景に、チケットの値上げやアトラクションに早く乗るための追加チケットの販売などを開始し、1人当たりの消費額を増加させる取り組みを行っています。
こうした取り組みを踏まえると、仮にインフレの長期化によって多少来場者数が減少しても、それをカバーできる施策を打っていると捉えることもできます。
中国政府による厳格な新型コロナウイルス規制による上海ディズニーランドの休園もあり、足元のテーマパーク部門は若干の軟調さはみられますが、長期的な懸念材料は少ないように思えます。
長期的な投資を考える上では、テーマパーク部門の状況は大きな問題なさそうです。
今回はここまで。
テーマパーク部門で見てみたように、業績がなぜ悪くなったのか、その要因は継続するものなのかを丁寧に見ていけば、長期投資においてどのように判断すべきか、見えてきやすくなります。
目先の情報をどう捉えるべきかは事実を伝えるニュースだけでなく、その先を予想するさまざまな意見に触れることで養うことができます。
ぜひいろいろな情報に触れながら、自分なりの判断軸を作ってみてくださいね。
次回のメルマガではディズニーの事業の中でも近年注目されている、ディズニーメディア&エンタメ配信部門の結果を見ていきます。
次回もお楽しみに(^^)
小島璃子
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