米国配当株投資

EPRプロパティは2020年で衰退か?配当の安全性をチェック

所要時間: 4分.

この記事のポイント

  1. EPRプロパティ(NYSE:EPR)を分析

  2. 米国人の個人消費の伸びという好材料、FFOの減少という懸念

  3. 配当安全性評価は「C」


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裕福な退職計画を考えている多くの投資家たちは、EPRプロパティ(NYSE:EPR)に注目してきました。EPRとは、エンターテイメント関連の不動産を購入および開発する不動産投資信託(REIT)です。彼らの所有する不動産には映画館、スキーとゴルフの複合施設、ウォーターパークなどが含まれています。

同社は長期のトリプルネット契約を使用し、不動産を購入してから元の所有者にリースします。このビジネスモデルは、テナントが固定資産税、保険、保守などの費用負担をする構造なので、EPRプロパティにとってメリットがあります。

テナントには、長期リースのおかげで改修のインセンティブがあります。実際、EPRプロパティの物件の平均残存リース期間は12.5年で、今後10年間で家賃収入の2.9%のみが期限切れとなります。

つまり、これによって、稼働率が99%に近くなります。その結果、2011年以降の収益は40%の増加をもたらしました。また、同じ期間に年間純利益は70%増加しました。EPRプロパティの現在の利回りは6.34%です。1998年に記録した4.25%をそれ以降常に上回っています。毎月の配当は1株あたり0.375ドルで、過去5年間で5.53%増加しています。

ただし、アナリストたちは、EPRの収益資金(FFO)が2019年に支払われる配当金の総額よりも少ないと予測しています。その場合、2011年以来初めての出来事になります。FFOは、彼らが賃料収入から、どれくらいのキャッシュを得ているか「収益力」を示す指標です。つまり、これが配当金の総額よりも少ないと予測されるのは、大きなターニングポイントとなるかもしれません。

EPRプロパティは衰退する?


だから、FFOは、私たちのような配当株を中心にする投資家とって、配当の健全性を判断する重要な指標です。特に、私たちの独自のシステムでは、FFOの減少は「負のラベル」を貼る基準になるものです。それを踏まえると、2020年のEPRの評価は、いったいどのようなものになるのでしょうか?そこで、同社を詳しく見ていきましょう。

【「映画館」部門の動向】
EPRプロパティの収益の45%を占めるのが「映画館」部門です。主に、オペレーターAMCシアターを通じて、この収益を上げています。AMCは先月、興行収入で8億8,610万ドルを記録し、前年比8.6%増加しました。ただし、この数字は、映画のリリースカレンダーに基づくと、年間で1.7%減少すると予測されています。

それにも関わらず、映画館の運営者は、リクライニングシート、インムービーダイニングサービス、フルサービスバーなどの設備に、さらに投資しています。おそらく、これは映画がストリーミングサービスと戦いになることを想定してのことでしょう。

【「ゴルフテナント」部門の動向】
EPRプロパティの収益の10.2%を占めるのが「ゴルフテナント」部門です。その収益のほとんどは、Topgolf社によって生み出されています。Topgolfは、ゴルフ練習場と飲食を組み合わせ、複合型施設として成長しました。2013年は10施設だったのが、現在は47施設まで増加しています。また、売上は3億ドル以上に増加しました。

Topgolfは、1日使い18ホールをプレイする通常のゴルフ場と違い、もっと手軽にビジネスの場としても使用されています。実は、私自身もTopgolfの顧客として、このあたりは強く実感しています。特に、私はシカゴ出身ですので、このゴルフを活用して冬を逃れることも多々ありました。

【ミレニアル世代の体験型消費の動向】
ミレニアル世代(2000年代に成人・社会人となる世代)は、体験型の消費が、ますます重要になっている傾向があります。彼らは、単純に「何を持っているか」のアイテムに関心を持つよりも、「何を体験・経験するか?」に重きを置き、そこで消費する傾向があります。

彼らの動向を考慮すると、彼らの存在は、EPRのビジネスモデルに不可欠な顧客層です。だから、彼らを今後、どのように囲い込めるかが、同社にとって重要な指標の一つとなるでしょう。

今、米国の個人消費は、2019年の第3四半期に米国の経済生産高の70%近くを占め、11月に2.4%増加しました。この割合は11年連続で増加しています。金利を低く保つというFRB(アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関)の決定により、歴史的に低い失業率が助長されてきました。これにより、借入コストが削減され、財政状態が改善されました。

したがって、FRBが利上げを決定した場合、EPRの見通しが損なわれます。同社のリースには、金利の変動を防ぐ保険が含まれていますが、結局のところ、REITは借入に依存しています。

配当の安全性は?


EPRプロパティは、配当を安全に保つためには、2019年に予想されるFFOの減少を克服する必要があります。今後、同社は、これまで強くなかった米国人の消費に依存し、それが同社の収益を左右するでしょう。

ただし、個人消費は賃金の上昇とともに増加しているので、良い材料もあります。それを考慮すると、近い将来の配当は比較的安全だと判断できるでしょう。EPRプロパティの入居率は、質の高いテナントが多いので、ほぼ完璧とも言えます。直近のFFOは少々好ましくない状況に陥るかもしれませんが、これは一時的なもので最終的には回復することが想定されます。それらを考慮すると、同社の配当の安全性は「C」と評価できるでしょう。

配当の安全性評価:C

不動産投資信託(REIT)は、裕福な退職計画を立てる私たちにとって重要なセクターの一つです。ぜひ、こちらの評価を参考にしながら、EPRの動向に注目してみましょう。

良い投資を!

アンドリュー・ハバース


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