
シンプルで低コストな「ターゲット・デート・ファンド」の魅力
先日「世界一シンプルなポートフォリオ」をご紹介しました。
(4/22にお送りした「やること1つ。“4分散”で資産は守れる」で配信しています)
▼ポートフォリオの特徴
- いつでも引き出せる
- 株や債券など、色んな資産に分散されている
- 定期的にバランスを自動調整してくれる
- プロが運用してくれて安心
しかも販売手数料ゼロ、年間の運用コストがたった0.1%未満ということです。
投資の最低金額も低く、1,000ドル(約14万5,000円)からスタートできます。
※1ドル=145円で計算
その後は、自由に追加できます。
では、その「シンプルな投資」とは何か?
それはバンガード・ターゲット・デート・リタイアメント・ファンドです。
いくつか種類があり、自分の退職予定年に合わせて選ぶ仕組みです。
このファンドは1つのパッケージ内で多様な資産に分散投資しており、退職予定日が近づくにつれて株式の比率を徐々に下げ、債券の比率を増やすように設計されています。
具体的には、以下の4つのインデックスファンドを中心に運用されています:
▼4つのインデックスファンド
- バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド
- バンガード・トータル・インターナショナル・ストック・インデックス・ファンド
- バンガード・トータル・ボンド・マーケット II インデックス・ファンド
- バンガード・トータル・インターナショナル・ボンド II インデックス・ファンド
「海外にまで投資を広げる必要はない」という方もいるかもしれません。
ですが、実は今年に入ってから海外市場は米国市場を上回る成績を出していますし、長期的に見れば国際分散の意義は非常に大きいのです。
なぜかというと、国際分散投資をすることで、経済状況や市場が違う複数の地域にリスクを分散できるからです。
ある地域が不調でも、他の地域が好調なら全体を支えてくれます。
こうした背景から、バンガードは全てのターゲット・デート・ファンドをこの方針で組んでいるのです。
ただし、正直に言えば、このポートフォリオが「最高の投資法」かというと、そうではありません。
個別調整はできませんし、課税口座では税効率もあまり高くありません。
また、個別株のような大きなリターンも期待しにくいかもしれません。
それでも、実際には多くの投資家が自分でやるより、あるいは高額な報酬を取る“投資のプロ”を雇うより、よほど優れた選択肢になることが多いのです。
最大の強みは、とにかくシンプルさです。
もし私に、投資を始めたいけど時間も知識もない友人や家族がいたら、迷わずこれらのファンドを勧めるでしょう。
現在は2070年までのプランが用意されています。
では、退職後はどうでしょう?
インフレリスクを抑えつつ、シンプルに収入を得られるファンドはあるのでしょうか?
実はあります。それが、バンガード・ターゲット・リタイアメント・インカム・ファンド(VTINX)です。
退職後も安心。「インカム・ファンド」で安定収入
保守的な資産配分ですが、その中身を知ればきっと驚くはずです。
このファンドは、バンガードのインデックスファンドを通じて、安定した収入と資本の成長を目指します。
現在の配分はおおよそ:
▼ファンドの配分
- 米国債券:38%
- 国際債券:16%
- 短期インフレ連動証券:17%
- 米国株:17%
- 国際株:12%
つまり、およそ債券70%、株式30%の構成です。
「株式が3割も?」と驚く方もいるかもしれませんが、これには理由があります。
このファンドは「保守的~中庸」のリスク分類で、4~10年程度の中期運用を想定した設計になっています。
実は、株式を適度に混ぜた方が、中期的には債券だけの運用よりリスクが低くなることが多いのです。
なぜなら、インフレは資産にとって最大の敵だからです。
インフレ時、企業は値上げで利益を守れます(=株価も守れる)。
ただ、債券は固定金利なので、物価が上がると価値が目減りします。
このファンドは、「短期的な値動きは苦手だけど、安定的に収入がほしい」という人向けです。
そして実際、2003年の登場以来、4度の大暴落を乗り越え、同カテゴリの平均を上回る成績を収めてきました。
もちろん、リターンは控えめです。運用開始以来の年平均リターンは約5%。
それでもこのカテゴリの中ではトップクラス。最大の理由は、やはり低コストです。
バンガードは非営利組織で、株主が会社を所有しています。つまり、ファンドは実費で運営されているのです。
1975年以降、バンガードは2,000回以上も手数料を引き下げてきました。
2024年2月には、史上最大規模の削減を実施し、87のファンドに影響しました。
ターゲット・リタイアメント・インカム・ファンドの年間経費率は0.08%、つまり、1,000ドル(約14万5,000円)あたり年間わずか約116円。
同様のファンドの平均は0.7%なので、9倍近い差があります。
この差が、長期では大きな違いを生みます。
例えば、2004年に10万ドル(約1,450万円)を投資し、配当を再投資した場合(※1ドル=145円で計算)、2024年末には約3,850万円(265,329ドル)に増えています。
同じリターンでも、平均的な経費率(0.7%)なら、約450万円も少なくなっていた計算です。
もちろん、このファンドが「最も高度な運用」だとは言いません。
リスクをとれば、より高い利回りを狙うこともできますし、逆に、株式を減らしてリスクを抑えることもできます。
ただ、結局のところ、投資は「リスクとリターンのバランス」を、適正なコストでどう選ぶかに尽きるのです。
迷わず大事な投資目標に向かえる仕組みを提供してくれます。
ただし、最大の課題は、運用を続ける覚悟です。
【まとめ】投資成功の鍵は「続ける覚悟」と「市場に居続けること」
次の危機が訪れたとき、誰かが手を引いて「大丈夫、一緒に頑張ろう」と励ましてくれるわけではありません。
(そもそも有料の投資アドバイザーですら、そうしてくれるとは限らず、むしろ手数料欲しさに無駄な売買をすすめてくるケースもあります。)
しかし、その分、余計な高額手数料を払わなくて済むのです。
結局、人生の多くのことと同じで、成功の鍵は「覚悟」と「自己責任」。
これからも、世界には予想外の危機や出来事が訪れるでしょう。
ただ、過去と同じように、そうした危機はやがて去っていきます。
長期的な経済的成功のカギは、「市場のタイミング」ではなく、「市場にいる時間」なのです。
どうか、不安をあおる人たちに惑わされないでくださいね。
P.S.
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