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金融リテラシー | “あなたのお金を使う” トリリオネアたち


ビリオネアへの誤解と見落とされた存在


通りすがりの人に「世の中を動かしている存在は誰ですか?」と聞いたら、多くの人がこう答えるかもしれません。

「それはビリオネア(超お金持ち)です」と。

この言葉を聞くだけで、怒りや抗議、政治家の演説が浮かぶ人もいるでしょう。

ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、ビル・ゲイツ…

こうした名前を聞いて、「貪欲」「格差」「資本主義の暴走」と結びつける人も少なくありません。

しかし、この怒りには、実は見落とされているものがあります。

というのも、多くの人が日々使っている製品やサービスを生み出し、雇用をつくり、会社を立ち上げてきた彼らが、自分のお金をどう使うかで批判されている一方で――

もっと大きな「見えない存在」が、私たちの目の前にいるのです。

それが「トリリオネア(兆単位を動かす人たち)」です。

もちろん、個人で資産が1兆ドルを超えた人はいません。

しかし、アメリカのワシントンD.C.にいる政治家たち――しばしばビリオネアを批判しているような人たちが、毎年、兆単位の私たちのお金を使っているのです。

今、アメリカの国の借金は、4930兆円(34兆ドル)を超えています。

年間予算だけで870兆円(6兆ドル)以上。

これに加えて、将来の年金や医療制度など、まだ予算が確保されていない“約束”にも兆単位の支出が予定されています。


価値を「生み出す者」と「引き出す者」


ビリオネアは価値を「生み出す」人たち。

一方で、トリリオネア(政府)は価値を「引き出す」存在かもしれません。

しかも、それを透明性も、説明責任も、失敗の代償もないまま行っているのです。

ここで、一つだけ事実を見つめ直したいと思います。

ビリオネアはお金を印刷しているわけではありません。

彼らは自分でお金を稼いでいるのです。

アメリカの多くのビリオネアたちは、親の資産を受け継いだわけではありません。

一から築きあげてきました。

ジェフ・ベゾスは、ガレージで本を売るところからAmazonを始めました。

イーロン・マスクは、工場の床で寝泊まりしながら、何度もテスラを失いかけました。

スティーブ・ジョブズは、アップルを追い出された後に戻り、iPhoneを生み出しました。

これはおとぎ話ではありません。

カーネギーやフォードといった過去の偉人に並ぶ、現代のリアルな物語です。

マーク・ザッカーバーグやピーター・ティールのように、議論を呼ぶ存在もいます。

ただ、彼らが作ったFacebookやPayPalは、「誰かに押しつけられた」ものではありません。

便利だから、多くの人が自ら使って、広がったのです。

さらに言えば、彼らが稼いだお金の使い道にも目を向けてみてください。

もちろん、豪華なヨットやジェット機を買う人もいます。

ただ同時に、ロケットを作ったり、医療研究に投資したり、教育や再生可能エネルギーのために多額の寄付をしています。

一部の人たちは「富裕層はもっと税金を払うべき」と言いますが、実際にはアメリカのトップ1%の所得者が全体の40%以上の所得税を払っています。

そして彼らは、ビジネスを通じて雇用をつくり、給料を払い、経済を回している存在でもあるのです。

それに比べて、政府の支出はどうでしょう?

昨年、アメリカ政府は、入ってきたお金より200兆円(2兆ドル)以上多く使いました。

将来の年金・医療制度を含めれば、その「借金の時限爆弾」は、もう経済の足元に仕掛けられているようなものです。

政府は、誰かに選ばれて商品やサービスを提供しているわけではありません。

税金を集め、複雑な仕組みでお金を分配する。

その過程では、無駄や効率の悪さ、政治的な都合もたくさん入り込んでしまうのです。


政府支出の現実とイノベーションの欠如


例えば、こんな事例があります:

▼政府の犯した失敗

  • アフガニスタン戦争:20年間で260兆円(2.3兆ドル)以上を費やし、混乱の中で撤退。
  • コロナ対策の給付金詐欺:少なくとも15兆円(1000億ドル)以上が不正利用されたと報告。
  • 医療制度の無駄:メディケアやメディケイドでは、年間15兆円(1000億ドル)規模の不正やミスが発生。
  • 利息の支払い:今年度だけで140兆円(1兆ドル)以上が、借金の利息に。

これらの失敗に対して、誰も責任を問われません。

破産しても「交通省」や「教育省」が潰れるわけではないし、次の年にはまた予算を請求できるのです。

それは「自分たちのお金」ではなく、私たちのお金だからです。

一方で、ビリオネアたちは自分の資金をリスクにさらし、挑戦しています

失敗すれば、自分のお金を失う。だから本気になれる。

それが「スキン・イン・ザ・ゲーム(本気の覚悟)」という考え方です。

例えば、イーロン・マスクは:

▼マスクの偉業

  • 世界中のどの国よりも多くの衛星を打ち上げるロケット会社を創立
  • テスラを通じて、電気自動車を当たり前の存在へ
  • 言論の自由に疑問を感じて、X(旧Twitter)を自ら買収

これらを成し遂げました。

一方、政府の“イノベーション”はというと…

▼政府のイノベーション

  • 発表日にまともに動かなかった、2000億円の「オバマケア」専用サイト。
  • 1本50万円のペンタゴン製ハンマー。
  • 誰も読まない分厚い報告書を量産する重複機関の山。

もし政府が一つの会社だったら、とっくに倒産しているかもしれません。


【まとめ】真に問うべきものとは何か?


よく言われる「ビリオネアは格差を広げている」という批判もあります。

でも、本当に大事なのは「他人がどれだけ持ってるか」ではなく、「自分の暮らしがよくなっているか」なのじゃないでしょうか?

スマホ、フードデリバリー、リモートワーク――

今の私たちの生活の多くは、ビリオネアが支えた技術で成り立っています。

20年前には、夢か贅沢だったものが、今や日常です。

真に中間層を脅かしているのは、「ビリオネアが豊かになること」ではなく、「ワシントンのトリリオネアたちが、借金を重ね、インフレを招き、未来にツケをまわしていること」かもしれません。

さらに言えば、ビリオネアは報告義務があり、株主の目もあります。

間違えれば株価が下がり、職を失うこともあるのです。

でも政府はどうでしょうか?

2,000ページの予算案を誰も読まずに通したり、監査に落ち続けても平然としています。

確かに、ビリオネアがやることすべてが正しいとは限りません。

自己中心的だったり、政治的に物議を醸すこともあります。

しかし、彼らの成果の多くは、確かに私たちの暮らしに役立っているのです。

そして、ワシントンの「トリリオネア的支出」は、豊かさを育むどころか、依存・借金・混乱を生んでいるように思えます。

あなたがビリオネアを好きでなくてもかまいません。

ただ、トリリオネアには、少し警戒した方がいいかもしれません。

なぜなら、ビリオネアが使っているのは「自分のお金」ですが、トリリオネアが使っているのは「あなたのお金」なのですから。

P.S.

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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