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恐怖が世界市場を支配する理由

ここ数日の出来事で世界中の投資家が動揺しています。

海外市場は急落し(日本は弱気相場に陥った)、ナスダック総合指数は調整局面に入り、ウォール街で「恐怖指数」と呼ばれているVIX指数は2020年のパンデミック以来の最高値を記録しました。

出所:bloomberg

3つの理由

主な原因は3つあります。

・7月の米雇用統計が軟調だったこと
・景気後退への懸念
・AI株やその他の投機的な資産に対する新たな「リスクオフ」姿勢

それぞれを詳しく見てみましょう。

8月2日金曜日に発表された7月の米経済指標の雇用者数は前月比でわずか11万6,000人増加と、エコノミストが予想していた17万5,000人を大幅に下回りました。

失業率は4.3%上昇と、過去3年間で最も高い水準となりました。

突然、投資家はインフレ水準よりも
景気後退の可能性を懸念するようになったのです。

これにより、市場全体、特に7月初旬に高値をつけてから
下落していたテクノロジー株において、売りが加速されました。

調整前のS&P500テクノロジー・セクターは、
2022年10月の弱気相場の安値から80%以上上昇していました。

このようなアウトパフォーマンスをたたき出していた後は、
少し調整される必要がでていました。

特にAI関連の株についてはその傾向が顕著でした。

ドットコムバブルとの違い

2000年代初頭のインターネット・セクターのように、
AIは大手ハイテク企業にも中小企業にも
強力な売上と利益の機会を提供しています。

しかし、24年前のドットコムバブル(インターネットバブル)が
どのように崩壊したかを忘れてはなりません。

ナスダック総合指数は2002年10月に底を打つまで、
その価値の4分の3を失いました。

しかし、今日のAI銘柄には大きな違いがあります。

エヌビディア (Nasdaq: NVDA) 、マイクロソフト (Nasdaq: MSFT) 、グーグルの親会社であるアルファベット (Nasdaq: GOOG) など、

このセクターのリーダーたちは世界で最も収益性の高い企業です。

それとは対照的に、ドットコム時代の著名なハイテク企業は赤字経営でした。

一方、今日のAIイノベーターは、
自社ビジネスを取り巻く巨大な参入障壁を持っています。

数十年前のインターネットのリーダーのほとんどはそうではありませんでした。

現代経済において、テクノロジーは競争優位性の基本的な源泉となっています。

テクノロジーによって、企業などの組織は技術革新と生産性を高めることができるのです。

また規模の拡大や縮小、コストを削減など、企業の成長が可能になります。

AIは生産性を飛躍的に向上させます。

AIは、コンピューター、ロボット、その他の接続されたデバイスが、人間の知覚、学習、問題解決、意思決定を模倣することを可能にします。

これによって、機械は人間の介入なしに、より高い精度で特定のタスクを実行できます。

この強力な新技術は、短期的な市場の動向に関わらず、高い需要を維持するでしょう。

もちろん、市場が崩壊するような動きになるたびに、
多くの投資家の頭をよぎる疑問は、”今何をすべきか?”です。

今何をすべきか?

最初の答えは、パニックにならない(慌てない)ことです。

株式を手放して現金に逃避するのは短期的には賢明かもしれませんが、
後から振り返るといつも愚かな行動に見えるものです。

不安定な市場を賢く管理する方法があります。

Oxford クラブでは市場の売り時を事前に予測することはできないものの、常に市場の売りに備えています。

ここでは、私たちが投資を成功させるためにどのようにポートフォリオを設定しているかをご紹介します:

1. 資産配分モデルを使用する。

大型株と小型株、グロース株(成長株)とバリュー株、そして外国株を保有することで、株式市場の中でリスクを分散します。

また、高格付けの債券(投資適格債)、高利回りの債券(ハイイールド債)、物価連動米国債 (TIPS:Treasury Inflation-Protected Securities)も保有します。

さらに、ポートフォリオ全体の10%を貴金属株と不動産投資信託(REIT)に割り当てています。
当社の資産配分モデルは、ポートフォリオのリスクを大幅に軽減します。

 

2. 幅広く分散投資する。

ニュースの見出しを飾るような一握りの魅力的な銘柄を追いかけることはしません。

その代わり、複数の業界にまたがる数十銘柄を保有します。

そして、質の高い、経営の行き届いた企業にのみ投資します。

これにより、リスクをさらに軽減されます。

3. 短期売買には25%トレーリングストップを設定する。

(トレーリングストップについて詳しくはこちら

これは元本を守るだけではありません。

また、株価の下落局面で利益を全て失うようなことからも防ぐことが可能です。

これにより、リスクはさらに軽減されます。

ここ数週間、25%トレーリングストップを設定している投資家は、

いくつかの銘柄が下落し25%トレーリングストップに抵触したことから売却し利益を確定した人もいれば損失を抑えた人もいるでしょう。

もちろん、市場の全ての銘柄が暴落したわけではありません。
素晴らしい銘柄は株価を維持しています。

つまり、市場が反発したときに利益を得る方法はいくらでもあるということです。

昨夜の海外市場は大きく反発しました。
そして今日の米国市場も、それに続く展開になる可能性があります。

しかし、すべての劇的な暴落がそうであるように、
反発の後には、私がビッグ・ソート(The big Sort) と呼ぶものが待っています。

反発の後に訪れるビッグ・ソート

それは、投資家が自分のポートフォリオをよく見て、

どの企業が堅実なファンダメンタルズを持ち、
どの企業が単なる希望的観測で上昇していたかを判断すること
です

堅実な企業の価値は再び上昇し、そうでない企業は凋落するでしょう。

このプロセスは、誇大表現された企業の希望的観測ではなく、強力なファンダメンタルズに基づいているため、私たちが保有するすべての銘柄に利益をもたらすのです。

今後の見解とマインドセット

また、ある月の雇用統計が必ずしも景気後退を予兆するものではないことを認識することも重要です。

他の経済指標がプラスに転じる可能性もあり、
8月2日の数字は最終的には異常とみなされるのではないでしょうか。

しかし、もしそうではなく、他の経済指標で米国が景気後退に向かいつつあることが確認されれば……

一つのことが明らかになります。

3年前、インフレが過熱する中で金利引き上げが遅すぎた連邦準備制度理事会(FRB)が、再び出遅れたということです。

つまり、利下げは近いうちに、そしておそらく9月の次回FRB公式会合までに、0.5ポイント程度実施されることになるでしょう。

すでに「緊急利下げ」を求める声は多い。

7月30日から31日にかけて開催されたFRB会合で失敗したことを世界に知らしめることになるため、「緊急利下げ」はしたくありません。

しかし、もし利下げ圧力が高まれば、すぐに行われると予想できます。

そしてそれは、さらなる利下げへの期待とともに、市場の雰囲気は急速に変化するでしょう。

最終的な結論はどうなるのだろうか?

先週は不安定な市場環境が続きました。

この先数週間は、さらに不安定な展開が続くと予想しています。

そうなれば、短期取引を行なっているトレーダーには多くの投資機会が生まれ、
長期投資家にも魅力的な投資を執行する機会が提供されるでしょう

その一方で、資産配分、分散投資、25%トレーリングストップにより、
今回の下落局面で下げ幅が縮小したことを認識してください。

そして、私たちのような規律ある対応を行なっていれば、

この先数週間、数か月の間に、多くの新たな利益を得る機会が訪れるでしょう。

これまでも常にそうであったように。

良い投資を。

 

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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