ベストな投資とベストなトレーディングの違い
先日ある金融セミナーに招かれ、
「世界で最も偉大な投資家の秘密」というテーマで講演しました。
その秘密とは何でしょう。ヒントは3つあります。
1.最も裕福な一族、ロスチャイルド男爵は、「買い時とは通りに血が流れている時だ」と言いました。
2.たった一人でグローバル投資の分野を開拓したジョン・テンプルトン氏は、最高の掘り出し物は「最も悲観的な時」にしか見つからないとしました。
3.また、世界で最も成功した投資家であるウォーレン・バフェット氏は、「他人が貪欲なときこそ恐れを抱き、他人が恐れを抱いているときこそ貪欲になりたいものだ」と言っています。
優れた投資家の秘密は
逆張り思考であること。
市場予測に惑わされず、自分なりの結論を導き出すのです。
例えば1990年代後半、バフェット氏はインターネット銘柄のバブルについて警告しましたが、投資家の多くは取り合いませんでした。
多くの投資家は、
「バフェット氏はテクノロジー革命、
いわゆる『新しい時代』を全く理解していないのだ」と嘲笑したのです。
しかし、2000年3月から2002年10月にかけて、
インターネット銘柄の代表的な指数は80%以上下落したのです。
逆張り思考の賢い投資家は、恐怖心や貪欲さといった投資家の心理が、
株価を極端に吊り上げたり、下落させたりすることを知っています。
市場の変動は敵ではありません。味方につけるものです。
私が2023年を通じ株価の下落局面を捉えながら投資するよう皆さんに勧めたのは、そのためです。
楽観論とも呼べる私たちのスタンスが正しかったことは、10 – 12月期に証明されました。
S&P500種株価指数は最後の3ヶ月で11%上昇したのです。
ベストな投資
真の投資家とは長期的視点に立つものです。
そして株式とは何年にもわたり保有すべきものです。
実際バフェット氏は、ベストだと考える保有期間は「永遠」だと述べています。
長期的な視点を持っていれば、一時的に相場が不利な状況になったとしても不安になることはありません。
世の中には、何年も、ときには何十年にもわたり、市場に対する弱気な見方を変えようとしないアナリストもいます。
彼らは逆張り思考なのではなく、単に無知であるか、あるいは頑固なだけです。
そして長期的視点をもった株式投資家を愚か者呼ばわりするのです。
彼らは、たとえ大恥をかいたとしても、嬉々として同じスタンスを取り続けます。
正しくあることよりも、皆と逆であることに意味を見出しているのです。
それは賢い逆張りとはいえません。利益を最大化するあり方でもありません。
つまり、経済の後退とは常に一時的なものにすぎないと理解している逆張り投資家が、長期的に勝利するのです。
真の投資家は長期的な視点と逆張り思考で、市場の上がり下がりを味方につけるべきです。
一方、短期売買、いわゆるトレーディングは違います。
ベストなトレーディング
トレーダーは短期間で利益を上げることを目的としています。何年も待つことはありません。可能な限り早く利益を上げたいのです。
そのため、逆張りのアプローチを使うべきではありません。
ほとんどの場合、市場の大きなトレンドに従うトレーダーの方が正しいのです。
株式市場が2022年1月のように極端な高値をつけたり、同じ年の10月のように極端な安値をつけたりするのは、多くの投資家が共有していた見方が過去のものとなり、新しいトレンドが始まるときです。
優秀なトレーダーになりたければ、最も健全で利益を上げている企業に投資すればよいのです。
株価の上昇は、企業が軌道に乗り、売上を伸ばし、収益が改善していることを意味します。
最高のトレーダーは短期的なトレンドに従うべきなのです。
もちろん、長期投資家であることと短期トレーダーであることを両立させることも可能です。
ですが、投資先のポートフォリオはきちんと分けて考えるべきです。
逆張り投資家やトレンドを追うトレーダーの多くは成功しますが、
その一方で、トレンドを追う投資家や逆張りトレーダーには、決して成功は訪れないことを覚えておきましょう。
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