与えることのサイエンス

ある時、国際救済委員会（IRC)の会長兼最高経営責任者（CEO）であるジョージ・ルップ氏から電話がかかってきました。

アルベルト・アインシュタインによって設立されたIRCは、抑圧や暴力的な紛争の犠牲になった難民や地域社会を支援する団体です。

自然災害、戦争、抑圧から何千人もの人々が避難するとき、IRCは彼らに寄り添い、食料、水、シェルター、ヘルスケア、教育を提供してきました。

私は、数年前のメルマガで、IRCについて次のようなことを書きました。

・私たちの生活がいかに豊かなものであるかを思い出すこと
・人道的緊急事態における世界的リーダーがいること
・そのリーダーであるIRCを忘れないようにすること

そんなIRCが大好きな私ですが、ジョージ・ルップという名前は聞いたことがありませんでした。

そんな中で、IRCのCEOであるジョージ・ルップ氏から電話がかかってきたのです。

ルップ氏からのメッセージはこうです。

「あなたの記事を読んで、私たち、つまり組織全体がどれだけ感銘を受けたかを伝えたくて電話しました」

私は恥ずかしくなって、電話をいただいたお礼を言うのが精一杯でした。

ルップ氏は続けて、このようなことも話してくれました。

「私たちは、年次取締役会でトム・ブロコー氏をはじめとする取締役たちに、あなたの記事を読み聞かせる予定です。また、資金調達のための広報レターにも掲載したいのですが、構わないでしょうか？」

幸せすぎて、気を失いそうになりました。
私はIRCが大好きです。
IRCの使命を共有することは願ってもないことです。

そのため、私がIRCに貢献できたことは、本当に嬉しいことでした。

ルップ氏との電話を切ったとき、私のテンションは人生の中でもトップクラスに高い状態。

それを見た妻は、今日はもう仕事を休んだ方がいいと言ってくれました。

少し時間ができた私は、外に出て散歩しました。

空はより青く、隣の犬はより友好的に感じ、鳥の歌声はBGMのように聞こえ、変な気分になったことを覚えています。

この不思議な幸福感は、誰もが味わえます。

事実、人を助けることで良い気分になり、長生きすることが、研究によって明らかになっています。

ストーニー・ブルック大学医学部の医療人文学・思いやりケア・生命倫理センターの創設者であるスティーブン・ポスト博士は、以下のように述べています。

「過去10年間におよぶ約500の研究により、他人への貢献が健康を増進することが実証されたのは、非常に良いニュースだ」と。

人に何かを与えること・貢献すること自体、幸福感を感じられることはあなたも知っているでしょう。

ですが、それ以上にさまざまな効果があったのです。

以下は、『人に何かを与えること・貢献すること』による効果の研究結果です。

その後の人生における死亡率も低下する。
2つ以上の団体でボランティア活動をしている人は、死亡する可能性が44％低下する。
※年齢、性別、配偶者の有無、運動頻度、喫煙習慣など、他の重要な要素を除外した後の結果。
与えることは、思春期のうつ病や自殺のリスクを軽減する。
与えることは、ストレスによる心身の不調の原因となる、恨み、怒り、妬みなどのネガティブな感情を軽減する。

人に何かを与えること・貢献する方法はたくさんあります。

もちろん、ほとんどの組織は“募金”で物事を成し遂げます。

しかし、あなたの”時間”を提供する効果的な方法もあるのです。

・ボランティア
カリフォルニア大学バークレー校のダグ・氏によると、ボランティア活動は、死亡率の大幅な低下と関連しているようだ。

・手を差し伸べるネットワークを作る
孤立している人、無視されている人を見つけ、一緒にやろうと誘う。
お互いに利益を得られる可能性が高いそうだ。

・相談相手になる
若い人にとって、自分を鼓舞してくれる思いやりのある大人とつながることほど有益なことはない。

・バトンを渡す
年配の方々は、一生分の知恵と経験を蓄積している。
自分の価値を認識し、それを他の人と分かち合おう。

人に何かを与えること・貢献することは単純な行為です。

しかし、研究によると、そのような行動は、ビタミン剤、緑茶、魚の油などよりも、あなたの健康を守り、長持ちさせる可能性があることが分かっています。

ポスト博士は、著書『「いい人」には「いいこと」が起こる！』の中で、次のように述べています。