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暗号資産は下がった時が“買い”なのか?

最近、ある購読者から“アドバイス通りに、下げ相場を利用して下落している優良企業の株を購入している” という手紙が届きました。彼はその中で、暗号資産が下がった時も買うべきか?ということもたずねてきたので、今日はそのことについてお伝えしたいと思います。

まず、決して“下げだから買い!”とは考えないでください。

私は過去数ヶ月間、暗号資産の熱狂がピークに達した時から、読者の方には何度も警告してきました。

簡単にまとめておきましょう。

これまで紙幣の歴史において、通貨というものは政府の管理下に置かれてきました。しかし米国を含む政府は、その価値を保護するための役割を果たしてきませんでした。政府は不換紙幣、つまり金のような形のあるものに裏打ちされていない通貨を大量に印刷しています。そして、インフレが進行するにつれて、時間とともに価値が低下してきたのです。

そのため、ドルは過去25年間、歴史的に平均より低いインフレ率であったにもかかわらず、購買力が半分以上失われてしまったのです。

では、それに対する解決策はビットコインやその他のデジタル通貨のように、厳密に制限された個人所有の通貨なのでしょうか?

自由な精神と自由市場を重んじるリバタリアンとして、暗号資産とブロックチェーンがその答えだと言いたいところですが、私たちは、事実、理由、証拠に基づいて最善の結論を導き出す、現実主義の世界に生きています。

実際、暗号資産を推進してきた人が言ったことはすべて現実になっていません。

  • 彼らは暗号資産は取引を速くすると言いましたが、より遅くなっています。
  • 彼らは暗号資産は手頃な価格になると言いましたが、より高価なものになっています。
  • 彼らは暗号資産は容易になると言いましたが、より複雑になっています。
投資カンファレンスで、暗号資産を所有している人はいるか?と尋ねると、半分以上が手を挙げます。

それでは、暗号資産を使って何かを買ったことがある人はいるか?と尋ねると、誰も手を挙げないのです。

なぜでしょうか?

すでに述べたような欠点はさておき、デジタル通貨は通常の売買、特に高額商品の売買にはあまりにもボラティリティ(価格の変動性)が高すぎるからです。暗号資産でお金の貸し借りはしない方がいいでしょう。

貸し手であれば、貸した暗号資産の価値がすぐに数分の一になる可能性があります。借り手であれば、借りた暗号資産の価値がすぐに何倍にもなる可能性があります。

だから、ほとんどの人が「未来の通貨」と呼ばれる暗号資産で売買したり、貸し借りをしたりしていないのです。

「しかし、すぐにそれは実現する…」と、推進してきた人は言い続けています。

本当にそうでしょうか?

もちろん、例外はあります。テロ組織、麻薬カルテル、重火器商、人身売買、恐喝者、税金泥棒、経済制裁を避けようとする国家にとっては、暗号資産は天の恵みとなるでしょう。しかし、それ以外の人々にとって暗号資産が役立つのは投機だけです。

 

しかし、考えてみてください。

今、その投機はどうなっているでしょうか?

ビットコインは過去7ヶ月でその価値の半分以上を失っています。他の暗号資産も同じぐらいかそれ以上下落しています。

推進してきた人たちは、暗号資産が素晴らしいインフレ・ヘッジだと言っていました。彼らはそれを「デジタルゴールド」とさえ呼んだのです。

世界は過去40年間で最も高いインフレを経験しています。暗号資産は、金のように価値を維持したり上昇したりするのではなく、暴落のサインを連想させるようなチャートパターンを示しています。それはインターネットやクラウド、スマートフォン、5Gといった他の技術革新とは異なり、現実世界の問題を解決していないからなのかもしれません。

実際、詐欺に過ぎないような暗号資産も多く存在します。管理がされておらず崩壊してしまうものもあります。またハッキングに弱いという側面もあります。それに実は環境にも優しくありません(ビットコインの採掘者は、毎年アルゼンチンよりも多くのエネルギーを消費しています。)

中には賢く暗号資産と関わっている人がいることも知っていますが、彼らは必ずと言っていいほど、自分のサービスを宣伝しているだけか、なくなっても良いという余裕資金で投資をしているのです。

そして悲しいことに、多くの投資家がすでに貯蓄を失っています。暗号資産で最も安全と言われるステーブルコイン(“安全な”コイン)でさえも、人々を大きく失望させています。もはや“アンステーブル”コイン(“安定していない”コイン)と呼ぶべきなのかもしれません。

今、暗号資産の夢は、多くの人々にとって悪夢となっています。

ですから、私のアドバイスは変わりません。

もちろん個人の自由ではありますが、暗号資産を買って利益が出ている場合は、今すぐ売却することを検討した方が良いでしょう。暗号資産を買って損失が出ている場合も同様です。

暗号資産を扱うトレーダーは、ある日突然目を覚まし、自分が「裸の王様」だったということに気づくでしょう。その時、暗号資産はただ下落するだけでなく、パッと消えてなくなるのです。

アレックス

 

P.S.
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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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