【News】これは最高のサインか?
最高の投資家は今、下げ相場を絶好の買い場にしています(一方、最悪の投資家は、下げ相場を売り場としています)。
その最高の投資家とは、一体誰なのかと言うと、米国の上場企業自身です。
現在、米国の自社株買いは記録的な水準に達しています。
S&P 500種株価指数構成企業の自社株買いは2021年に8,800億ドルとなり、2020年の5,200億ドルから増加しました。しかも、新たに発表された自社株買いは、1 – 3月期だけで3,000億ドルを超えています。
ゴールドマン・サックスは、今年の自社株買いは1兆ドルを軽く超えると予測しています。これはとても素晴らしいニュースだと言えるでしょう。
ある学術研究によると、平均的な株は自社株買いの発表直後に上昇するだけでなく、何年にもわたって市場に勝ち続けることが一貫して分かっています。
自社株買いと株価のアウトパフォームが相関関係にあることを理解するのは難しくありません。そこには主に2つの理由が挙げられます。
1. 経営陣が自社株買いを強く望んでいる
経営陣が自社株買いを強く望んでいる時というのはどういう時だと思いますか?
それはおそらく、経営陣が自社の株が割安であると強く感じている時です。そうでなければ自社株買いを強く望むということは考えにくいでしょう。
なぜなら、会社の資金を何億ドルも投じて市場に出回っている自社株を買い戻した後、株価が大幅に下落してしまった場合、その決定責任者は取締役会の席を維持することができなくなるからです。
2. 単純な計算
当然ですが、「純利益」を「少ない発行済み株式数」で割れば、1株当たり純利益(EPS)は高くなります。そして、それは最終的に株価を上昇させます。
しかし、ここで少し注意が必要です。
上級管理職はオプションを使うことで、市場より大幅に安い価格で株式を購入した後、すぐに売却して利益を確定することがあります。自社株買いは、その際に生じる希薄化*を相殺する以上の効果はないことが多いのです。
*企業の発行する株式数が増えることで、1株当たりの価値が減少すること。
その場合、発行済み株式数はほとんど変わりません。つまり、実際に発行済み株式数が減少しているかどうかを確認する必要があるのです。
また自社株買いの「意向」を表明した企業が、必ずしも実行に移すとは限りません。資金調達やキャッシュフローが確保できないかもしれません。業界の状況が悪化する可能性もあれば、経営陣が考えを変える可能性だってあり得ます。
しかし自社株買いが速やかに進み、発行済み株式数が減少すれば、それは朗報でしょう。そして長期的に見れば、自社株買いは非常に大きな意味を持つのです。
例えば、1993年のIBMの発行済み株式数は23億株でした。
しかし定期的に市場に出回っている株式を買い戻すことで、発行済み株式数は四半期ごとに約1%ずつ縮小しています。
現在、IBMの発行済み株式数は8億9,900万株で、30年前に比べて61%減少しています。
このような戦略を明確に認めているのが、ウォーレン・バフェット氏です。
彼の持ち株会社であるバークシャー・ハサウェイ(NYSE: BRK-A)は、積極的に自社株買いを行っている企業を探し出します。
またバークシャーも定期的に自社株買いを行っています。
実際同社は、1 -3月期だけで22億ドル相当を買い戻しており、過去数年で数百億ドル相当を買い戻しています。今年、バークシャーはIBMと同様、株価が下落しておらず、逆に上昇しています。
バフェット氏は、株数を減らしている企業が投資家に資本を還元していることを知っています。
これは株式市場における最高のシグナルの一つなのです。
もちろん、重要なのは自社株買いの総額ではなく、「誰がどれだけ買っているのか」ということです。
投資家はそれを見極めて選別しなければいけません。
良い投資を。
アレックス
P.S.
企業自身が大量に自社株を購入している中、私たちはどんな銘柄を買っておけばいいのでしょうか?
こちらの銘柄が参考になるでしょう…