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億万長者のお金の使い方

前回のメルマガで、昨年末の米国における億万長者の数が過去最多の1,460万人になったということを紹介しました。

なぜ、これほど多くの米国人が裕福になったのでしょうか?

『The Ten Roads to Riches(仮邦題:富豪への10の道)』の著者であるファンドマネジャーのケン・フィッシャー氏はこのように述べています。

お金持ちになる方法は、多額の遺産や宝くじの当選など、自分ではコントロールできない状況を除けば、基本的には10通りである…

前回のメルマガでは、そのうちの9つについてお話ししました。

  • 事業を成功させる
  • お金持ちと結婚する
  • 不動産を所有する…

などです。

今日は10番目である最も一般的な方法について、お話ししたいと思います。

多くの人は、自分でビジネスを立ち上げて運営する時間、資本、専門知識を持っていません。また、医者や弁護士、エンジニアになるための十分な教育も受けていません。しかし、貯蓄する意欲のある人なら誰でも、資金を株式に投資して、平均以上のリターンを狙うことができます。この方法には時間と規律が必要ですが、長期的に富を築き上げるベストな方法だと言えるでしょう。

「モカ・キャラメル・トリプルラテのような贅沢品は飲まないように」とフィッシャー氏は言います。そして、「クレジットカードの借金は返そう。デザイナーズ・ブランドは避けて、中古車を買おう。家での食事を増やし、外食を減らそう。とても簡単なことですが、これができない人もいるのです」とも言っています。

 

ここで例を出してみましょう。

健康で長生きしたいと思った時、基本的には2つの選択肢があります。

健康的な食事と定期的な運動。そして十分な睡眠をとって、人とのつながりを大切にする。
ほとんどが遺伝、つまり「運」だと結論づける。好きなものを食べ、ほとんど運動せず、朝から晩まで忙しく動き回り、家族や友人を消耗品のように扱う。
このどちらかです。

次に、経済的に自立した生活を送ろうと思った時、2つの選択肢があります。

教養を身につけ(あるいは経済的に価値のあるスキルを学び)、定期的に貯蓄し、賢く投資し、貯蓄を複利で増やしていく。
裕福になるためには、生まれた環境、つまり「運」次第だと結論づける。
このどちらかです。

1つ目の選択のように、経済的な成功を決定する主な要因は「自分の信念(さらに言えば習慣)」であると理解するには、どうすれば良いのでしょうか。

このことについて、クレディ・スイス、スペクトレム・グループ、フォーブスが研究を行っていますが、そのことが最もよく示されているのは『となりの億万長者』や『なぜ、この人たちは金持ちになったのか』といったベストセラーの著者であるトマス・スタンリー博士の研究でしょう。

米国における富裕層の特徴について第一人者である博士は、100万ドル以上の純資産を持つ人々は、一般的に質素な生活を送り、別荘やボートは持たず、デザイナーブランドや高級ブランドには、ほとんどお金を使わないということを発見しました。これは、驚くべきことでしょう。

そして、スタンリー博士は、著書『お金が“いやでも貯まる“5つの「生活」習慣』の中で、オプラの番組に出演した際に観客から何百回もされた質問のことを紹介しています。その質問とは「これだけお金を持っていても、使わなければ意味がないのでは?」というものです。質問したある女性は怒り、憤慨さえしていたようです。そして、「この人たちが幸せなわけがない」と言いました。

多くの人がそうであるように、この女性もお金を使えば使うほど良い暮らしができると心から信じていたのです。

スタンリー博士によれば、

疑似富裕層は、自分が周りの人からどのように位置づけられているのかを不安に感じている。彼らの自尊心は何度も窮地に追いやられる。「富の象徴」とも言えるような高級品をどれだけ買い続けられるかということが自尊心と密接に結びついているのだ。彼らは、経済的に成功している人は高級品で成功をアピールしていると強く信じている。逆に高級ブランドを持っていない人は成功者ではないと考えているのだ。

ですが、「一般的な」富裕層の見方は違います。ほとんどの人は、大金を使う人ではありません。
スタンリー博士の調査によると、彼らの中で最も一般的な活動は次のようなものです。

子供や孫との付き合い (95%)
投資計画を立てる (94%)
親しい友人をもてなす (87%)
美術館・博物館を訪れる (83%)
チャリティーのための資金集め(75%)
スポーツイベントに参加する(69%)
市民活動に参加する(69%)
芸術を学ぶ (63%)
業界・専門家団体の活動に参加する(56%)
ガーデニングをする(55%)
宗教行事に参加する(52%)
ジョギングをする(48%)
講演会に参加する(44%)
これらの活動にかかるのはわずかな費用だけです。

本当の喜びというのは所有する車や身につけている時計ではなく、家族や友人、仲間との活動で過ごす「質の高い時間」から生まれるということを大富豪の多くは分かっています。彼らは子供や孫の教育、あるいは価値ある活動への寄付に関しても、惜しみなくつぎ込みます。富裕層は規律正しい貯蓄家でありながら、慈善事業には最も寛大な人々です。

何百万人もの人たちが独りよがりな成功のイメージを追い求め、将来はゴミ廃棄場やヤード・セール、古着屋にたどり着くようなものを一生懸命買い漁る一方で、規律正しい貯蓄者と投資家は、身の丈にあった生活から得られる自由、満足、心の安らぎを享受しているのです。

そして、成功とは富をひけらかすことではないと認識しています。達成感、自立心、そしてそれに伴う経済的自由が重要なのです。必ずしも頭脳明晰な米国人ではなくとも、何が本当に値打ちのあるものかということが分かっています。

お金ではなく、自分自身をどう使い、どのようにすれば自分の人生が豊かになるのかを知っているのです。

良い投資を。

アレックス

 

P.S.
もしあなたが「資金を株式に投資して、平均以上のリターンを狙う」方法を選ぶのであれば、Oxford キャピタル・レターをご覧ください。

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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