充実した人生の秘訣

充実した人生の秘訣とは？

ハーバード・メディカル・スクールの教授であるジョージ・ヴァイラント博士は1966年以来、その後援者である百貨店の大物W.T.グラントの名を冠した「グラント・スタディ」の被験者たちを追跡することにキャリアを捧げています。

ヴァイラント博士の専門は、少数の人々を長期間にわたって総合的に研究する縦断的研究法です。

彼の研究対象は決して平均的な人たちではありません。彼らは皆ハーバード大学の学生で、比較的恵まれた環境にある若い男性だからです。

しかしヴァイラント博士の発見は、人間のありように対する深い洞察であり、普遍的な応用が可能なのです。その結果、老年期のポジティブな人生評価と最も高い相関を持つ、たった一つの要因が明らかになりました。

グラント・スタディは当初から徹底的な調査を行うことを目的としていました。

ハーバード大学の研究者は、医師、生理学者、心理学者、精神科医、ソーシャルワーカー、人類学者、その他の専門家を含むチームを結成しました。

そして80年以上にわたって、被験者の飲食習慣、運動、心身の健康、転職、経済的成功と失敗、結婚歴、親になること、祖父母になること、老年期など、考えられるあらゆる角度から監視、インタビュー、調査を行ったのです。

被験者は一般的な適性検査や性格診断も行われ、定期的な手紙や書類の提出も求められました。

グラント・スタディの被験者の中には、劇的な成功を収めた人も多くいました。

ある者は企業のトップになり、ある者はベストセラー作家になりました。4人の被験者は上院議員に立候補し、大統領府の閣僚になった人もいます。

そしてその中の1人、ジョン・F・ケネディは大統領になったのです。(彼のファイルは2040年まで封印されています。）

中には期待はずれの被験者もいました。例えば、47番目のケースは、文字通り酔っぱらって倒れ、亡くなってしまいました。

被験者のほとんどは匿名のままですが、ワシントンポスト紙の長年の編集長であったベン・ブラッドリー氏のように、公に名乗りを上げた人も存在します。

この数十年間、グラント・スタディの被験者の人生は、ヴァイラント博士の個人的、仕事上の関心事でした。

そしてその分析によって、いくつかの大きな結論に達したのです。

彼は身体的にも心理的にも健やかな老後を予測する要因が、教育、安定した結婚生活、健康体重、適度の運動、禁煙、アルコール依存症でないこと、そして「成熟した適応力を持つこと」の7つであると発見しました。

(ヴァイラント博士は、社会的スキルと対処法が人生全体の満足度を決定する上で重要であると考えています。)

しかし彼の最も重要な発見は、2008年のインタビューで、「グラント・スタディから何を学びましたか？」という質問に対して明らかにされました。

人生で本当に大切なもの

彼は、「人生で本当に大切なのは、人との繋がりだけだ」と答えました。

グラント・スタディが示した成功する人生とは、より多くを得よう、より多くを保有しようとする断固とした決意のことではありません。

またコレステロール値が低いことでも、知的な才能があることでも、キャリアを積んでいることでもないのです。

そうではなく、親、兄弟、配偶者、子供、友人、隣人、恩師など、人と人とのつながりが重要だと示したのです。

人とのつながりがなければ、物質的な成功があったとしても人生はすぐに味気がないものになってしまいます。

有意義な人間関係の外に、永続的な満足が得られることは稀なのです。

自分の人生を振り返ってみると、最も重要な瞬間は、誕生、死、結婚式、祝賀会であったことは間違いありません。

あなたの最も深い意義ある瞬間とは、あなたが他人に触れたとき、または彼らがあなたに触れたときではないでしょうか。

損失、病気、死などの苦しみの時、我々が求めるのは処方箋やアドバイスではなく、他の人の癒しの存在なのです。

このことを忘れたとき、つまり自分のことだけを考えるとき、我々は自分の成長の源を閉ざしてしまいます。

本当に意味のあることは、愛する人を大切にすること、自分の気持ちを伝えることから生まれます。

幸い我々は毎日、思いやりのある行動、感謝の言葉、理解の感覚を通じて、自分自身を少しずつ伝える機会を無数に持っています。

ヴァイラント博士が結論づけたように、最大の成功、つまり充実した人生の秘訣とは、「人との繋がり」なのです。