投資情報

お金がどれだけあれば十分なのか?

お金に関する基本的な質問の一つ、「どれだけあれば十分なのか?」に関しては、ほとんどの人が同意しないものです。

競争が激化する現代社会では、能力や成功、さらには個人としての価値を測る方法がお金だと考える人もいます

ですが私の考えでは、これは単に間違っているだけでなく侮辱的ですらあります。

教師やコーチ、ソーシャルワーカー、看護師、兵士など、信じられないような技術を持ちながら低賃金で仕事をしている人たちはたくさんいます。

しかし多くの人々は、当然のことながら、自分たちの暮らしぶりと本来あるべき暮らしぶりとの間にはギャップがあり、その差を埋めるのはお金だと感じています。

おそらくそうかもしれません。私たちの生活の中でお金はとても重要な問題です。私たちは何かを必要とし、何かを求め、そしてそれを手に入れるためには、たいていお金が必要だからです。

ある人はお金を貯めることを第一の目的として堂々と生きていますし、お金は重要ではない、あるいは重要であるべきではないと考える人もいるでしょう。

しかし何百万人もの人々が、「十分なお金を決して手に入れることはできないのではないか」あるいは「それを維持することはできないのではないか」という慢性的な不安を抱えています。

お金を持っている人は、たとえ貧しい環境に生まれたとしても、お金がないと生活が苦しくなることを忘れがちです。

調査によると、米国人の大半は稼いだお金のほとんどを使ってしまい、多大なストレスを抱えながらその日暮らしをしています。

これは貧困層や低中産階級に限った話ではありません。

 

不動産仲介業者の友人は、ゲーテッド・コミュニティ(安全を確保し、資産価値を保つために周囲をゲートとフェンスで囲った住宅地[居住区域]。ここではそのような住宅地のうち富裕層の住むエリアのことを指している)で「住宅ローンの支払い2回分しか貯蓄がない」という隣人が何人いるのかを知ったら、きっとショックを受けるだろうと言っていました。

お金は素晴らしいことをしたり、重要な目的を推し進めたりすることができます。しかしお金はビジネスパートナーシップを解消したり、家族や友人との摩擦を引き起こしたり、結婚を終わらせたりすることもあります。

キャッシュフローが潤沢な家庭でも、「どれだけ使うか」「どれだけ貯めるか」「どのように投資するか」でパートナー同士が争うことがあります。

もしあなたがこのような投資コラムを読んでいるのであれば、あなたはほとんどの人よりもお金を持っているはずです(あるいはもうすぐそうなるでしょう)。

もちろんここでの一番の関心事は給料や貯蓄ではなく、富とその管理の成功です。

はっきりさせておきましょう。富とはあなたがいくら稼ぐかではありません。それは株式や債券、現金、不動産、貴金属、その他の金融資産の何を所有しているかなのです。

 

多くの人は、100万ドル、300万ドル、2,000万ドルといった特定の数字で「豊かさ」を判断します。

私は中流家庭で育った子供の頃、100万ドルの価値がある人は言葉にできないほどのお金持ちだと思っていました。今でもその金額は取るに足らないものではありませんが、もはや珍しいものではありません。

インフレと社会の豊かさのおかげで、100万ドルの純資産(総資産から総負債を引いた額が100万ドル以上)は、今や一般的になっています。

市場調査会社のスペクトラム・グループは、2020年に米国で1,360万人の富裕層が存在すると予測していて、これは9人に1人の割合です(昨年の好調な不動産市場と株式市場を考えると、2021年の数字はかなり大きくなるでしょう)。

これらのミリオネア世帯の人々は満足しているのでしょうか?彼らは資産が十分にあると感じているのでしょうか?

いいえ、必ずしもそうではありません。アメリプライズ・ファイナンシャル社のレポートによると、ミリオネアの回答者のうち、自分が裕福だと考えている人はわずか13%でした。

どんなに多くのものを持っていても、他の人が持っているものを知れば、自分の資産は不十分なものだと感じるのです(フォーブス400に名を連ねる人たちも、誰が自分よりも上か下かを敏感に感じ取っています)。

もちろんどれくらいの金額が「必要」なのかは、住む場所や家族の人数、月々の支出、旅行や人生を豊かにするものを楽しみたいと思う気持ちなどに大きく左右されます。

もちろん、「豊かなもの」は必需品ではありません。私はそれなしで育ったし、またそれなしでも簡単に生きていけます。

実際私が最も楽しかった時代の多くは、20代のほとんど一文無しの独身生活でした。

(グリルで小さな奇跡を起こせるなら、どんな車に乗っていようと気にしない女性もいることを知ったのです)。

肝心なことは、どれだけあれば十分なのかということに関しては、あなた自身の定義だけが重要だということです。

私の考えでは、自分が生きたいように生きるための資産を持っていれば、あなたは裕福です。

未使用のお金、つまり資本は力です。お金があれば、自由に選択したり、人を助けたり、自分にとって最も重要なことを楽しむことができます。

「私は金持ちになったことも、貧乏になったこともありますが、やはり金持ちの方が良い」というメイ・ウエストの言葉に反論するのは難しいのです。

良い投資を。

アレックス

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

関連する記事

Back to top button